2015年5月31日日曜日

「たかつ九条の会」10周年 平和運動も正念場 来月3日、記念の集い

東京新聞 2015年5月30日
 憲法九条を守ろうと川崎市高津区の住民らが結成した「たかつ九条の会」が発足十周年を迎え、六月三日に記念の集いを開く。代表の山本武彦さん(76)は、他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法案の国会審議などを踏まえ「九条を守り生かす運動も正念場」と話し、集いへの参加を呼び掛けている。 (山本哲正)
 
 同会は、自民党の新憲法起草委員会が二〇〇四年から〇五年にかけて自衛隊を「自衛軍」とし、軍事裁判所を設置する案を出すなど改憲への動きを強めたことに対抗し、〇五年に発足。会員は約八百人で、月一回、九条関連の話題をまとめた会員向けニュースを発行してきた。
 
 〇六年の一周年集会ではイラクで武装勢力に拘束され「自己責任」とバッシングされたイラク支援ボランティアの高遠菜穂子さんの講演を企画。一四年には閲覧制限問題で話題になった原爆の悲惨さを伝える漫画「はだしのゲン」の実写版映画の上映会を開いた。
 
 山本さんは、安全保障関連法案の成立に向けて審議を急ぐ安倍晋三政権に「世界中に軍隊を送る米国に付き合うと敵側から反撃やテロの対象になる。今まで九条により付き合いを断れたが、法案が通ると断れなくなる。その危険性を伝えたい」と話す。
 
 山本さんは小学一年で終戦を迎え、母は弟二人を戦争で亡くした。「高校一年の孫が戦争に行くのは困る。少しでも良い日本を残したい」
 
 集いは高津市民館で午後六時半から。九条の会事務局長の小森陽一東京大大学院教授が「夏目漱石と憲法九条」と題して講演する。「草枕」などを取り上げ戦争に際して国家が個人を軽視していくことを漱石が描写していたとし、個人と国家の対立という難問に憲法九条が答えを出したと指摘する。
 
 シャンソン歌手の紫村千恵子さんが、谷川俊太郎さん作詞の反戦歌「死んだ男の残したものは」などを歌うコンサート「平和への願いをこめて」もある。参加費五百円。問い合わせは、たかつ九条の会=電080(1213)5133=へ。
 
写真
会員向けのニュースを手にする山本武彦さん