毎日新聞 2015年05月27日
参院憲法審査会が27日開かれ、今国会初の実質審議を行った。憲法改正を視野に2院制のあり方を議論したい自民党と、安全保障関連法案を巡り、憲法9条の解釈変更で政府を追及したい野党側の意見は折り合わず、各党の意見表明にとどまった。次回以降、2院制のあり方について各党が意見表明し、参院のあるべき姿について議論を本格化させる。
審査会の審議は昨年11月以来。自民党の阿達雅志氏は、参院のあり方と選挙制度を併せて議論するよう提案した。最高裁は2013年参院選の「1票の格差」が違憲状態と判断したが、参院自民の若手議員は都道府県単位の選挙区の維持を求めており、「最高裁の憲法解釈と異なる制度を構築するなら、憲法改正が必要だ」と主張した。公明党の西田実仁氏も参院改革で「行政監視機能を強化すべきだ」と言及した。
これに対し、民主党の前川清成氏は関連法案を念頭に「歯止めがない解釈変更を許したら憲法がルールではなくなる」と批判。共産党の仁比聡平氏も「多くの国民が『戦争法案』に反対だ」として審査会の開催に反発した。社民、生活両党も「関連法案は憲法違反だ」と主張した。
一方、無所属クラブの水野賢一氏は衆参統合の1院制の実現を主張。維新の党、日本を元気にする会、次世代の党も改憲論議に前向きな姿勢を示した。
終了後、柳本卓治審査会長(自民)は「各党の合意が得られておらず、当面は改憲を念頭に置いた議論はしない。参院らしく腰を落ち着けた議論を進めたい」と語った。【高橋克哉、田中裕之】