橋下大阪市長が唱えた「大阪都構想」は住民投票の結果、僅差で否決されました。同氏は12月の任期満了をもって政治の世界から引退することを表明しました。
維新の党の江田憲司代表も辞任しました。それは維新を出て行くという意志のあらわれで、かなりの数の議員が江田氏と行動を共にし、維新に残る議員は少なくなるかもしれないといわれています。
来年夏の参院選での維新の惨敗が必至なのは、護憲のために喜ばしいことです。
ブログ「Everyone says I love you!」が、大阪市の住民投票の教訓として、「憲法改悪の国民投票だけはしてはならない」とする意見を述べています。
まず「橋下氏が大阪府知事になってもう7年半になるのに大阪の景気が全く良くなっていない責任の大半は、橋下維新と大阪『都』構想にある」としています。
そして投票の結果、大阪は、大阪「都」構想の賛否に二分され、深く傷つき、市民の関係を修復するのは容易なことではないとして、これを教訓にして、日本の経済や福祉に何のプラスもない憲法「改正」の発議を国会に出させて、国民投票をするようなことになってはならないと述べています。
以下に紹介します。
以下に紹介します。
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大阪「都」構想住民投票の教訓
憲法改悪の国民投票だけはしてはならない
Everyone says I love you! 2015年05月18日
昨日、2015年5月17日、大阪市を廃止して5つの特別区に解体するという大阪「都」構想の協定書の是非を問う住民投票と即日開票が行われ、反対票が辛うじて賛成票を上回り、否決されました。
その差、0.8%。70万票対69万票で1万票差。
これまで橋下維新の会とハシズムシリーズを150本近く書き、大阪「都」構想についても徹底的に反対し続けてきた私も開票速報にくぎ付けになっていましたが、ほんとうに心臓に悪い夜となりました。なにしろ、反対票が賛成票より多かったのは開票数%までで、あとはNHKが開票80%を超えたところで賛成票が多いまま、反対多数確定とテロップを流すまで、ずっと敗色濃厚な様相を呈していたからです。
まず、第一の感想は、憲法改悪の国民投票は絶対にやってはならないということでした。
大阪「都」構想を橋下氏が本格的に持ち出してから5年。この間、どれだけ多くのお金と時間、エネルギーがこの構想について割かれてきたことでしょう。
橋下氏が大阪府知事になってもう七年半になるのですが、大阪の景気は全く良くなりません。大阪府知事と大阪市長と議会第一党を維新の会が占め続けているのですから、その責任の大半は橋下維新と大阪「都」構想にあるといえます。
せめて大阪「都」構想論議と並行して、大阪が目に見えて良くなっていれば、橋下氏らの政治手腕が評価され、昨日のような敗北を喫することはなかったのです。
そして、大阪は大阪「都」構想の賛否に二分され、深く傷つきました。ノーサイドと言うのはたやすいが、長年にわたって争った市民の関係を修復するのは容易なことではありません。
そういう意味でも、橋下氏らのやってきたことの罪は大きいと私は思います。
これが、憲法「改正」国民投票として、日本全体のレベルで起こったらどうでしょうか。
国民が真に望んでいるのは、日本経済の成長や福祉などの充実なのですが、行政組織をいじる大阪「都」構想と同じかそれ以上に、改憲は日本の経済や福祉と何の関係もありません。
そして、争いの間、貴重な時間もエネルギーも無駄になり、大阪と同様に日本はかえってダメージを受け、二分された国論のもと相争いあった国民の亀裂は、長く我々の心と生活に傷跡を残すことになるのです。
昨晩、数時間、テレビの前で一喜一憂し続ける中で、これが日本国憲法が改悪されてしまうかもしれないという国民投票の速報だったら、本当に身が持たないだろうと思いました。
改憲のための国民投票の前哨戦、予行だと当事者が言っていた今回の住民投票。
もし、我々が、こんなふうに相争ってはならない、憲法「改正」の発議を国会に出させて国民投票をするようなことにだけはなってはならないという教訓を得たならば、大阪の方々も少しは報われると思っていただけるのではないでしょうか。
改憲を目指す安倍政権の最大の協力者であった橋下維新をストップしたという点でも、大阪市民の功績は本当に大きいです。