毎日新聞が憲法記念日を前に実施した全国世論調査によると、憲法9条を「改正すべきだと思わない」が55%で、「思う」の27%を大きく上回りました。
昨年4月の調査では「改正すべきだと思わない」51%、「思う」36%で、改正反対が増加しています。
一方、憲法一般については、「改正すべきだと思う」は45%、「思わない」は43%でほぼ拮抗しました。
朝日新聞が行った全国郵送世論調査では、憲法9条について「変えない方がよい」が63%(昨年2月は64%)で、「変える方がよい」の29%(同29%)を大きく上回りました。特に女性は「変えない方がよい」が69%に及びました。
憲法一般の改正の是非については、「変える必要はない」が48%(昨年2月の調査は50%)で、「変える必要がある」43%(同44%)をやや上回りました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
本社世論調査:9条改正、反対55%…昨年より増
毎日新聞 2015年05月04日
毎日新聞が憲法記念日を前に実施した全国世論調査によると、憲法9条を「改正すべきだと思わない」が55%で、「思う」の27%を大きく上回った。昨年4月の調査では「改正すべきだと思わない」51%、「思う」36%だった。政府・与党が集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法案の準備を進める中、9条改正慎重派は増えている。
一方、憲法を「改正すべきだと思う」は45%、「思わない」は43%でほぼ拮抗(きっこう)した。
安倍内閣支持層では、憲法を「改正すべきだと思う」57%、「思わない」31%、9条を「改正すべきだと思う」40%、「思わない」42%で、全体傾向より改憲派が多い。
不支持層では、憲法を「改正すべきだと思う」30%、「思わない」61%、9条を「改正すべきだと思う」13%、「思わない」75%だった。
支持政党別にみると、憲法を「改正すべきだと思う」は自民支持層で54%、維新支持層で62%に上り、公明支持層は「思う」と「思わない」がともに40%だった。民主支持層の58%、共産支持層の83%は「思わない」と回答した。支持政党はないと答えた無党派層は「思わない」46%、「思う」42%だった。
9条に関しては、主要政党の支持層でいずれも「改正すべきだと思わない」が「思う」を上回った。
ただ、安保関連法案を今国会で成立させる政府の方針に「賛成」(34%)と答えた層では、9条を「改正すべきだと思う」52%、「思わない」34%だった。憲法解釈変更だけでなく、条文改正を望む意識が強いことが読み取れる。
参院では現在、改憲の発議に必要な「3分の2以上」の賛成を与党だけでは確保できない。来年の参院選で改憲を争点として重視するかどうかという問いでは、「重視する」が56%、「重視しない」が33%だった。憲法を「改正すべきだと思う」層と「思わない」層のいずれも「重視する」が60%を占めており、改憲への賛否が選挙結果にどう影響するかは現時点で見通せない。
調査は4月18、19の両日に実施した。【中田卓二】
◇全国世論調査の質問と回答◇
◆憲法を改正すべきだと思いますか、思いませんか。
全体 男性 女性
思う 45 47 43
思わない 43 44 42
◆憲法9条を改正すべきだと思いますか、思いませんか。
全体 男性 女性
思う 27 34 22
(36) ← 昨年の調査
思わない. 55 57 53
. (51) ← 昨年の調査
◆憲法改正には、まず衆議院と参議院でそれぞれ「3分の2以上」の議員の賛成が必要です。来年行われる次の参院選で、あなたは憲法改正を争点として重視しますか、重視しませんか。
全体 男性 女性
重視する 56 58 54
重視しない 33 34 31
(注)数字は%、小数点以下を四捨五入。無回答は省略。カッコ内の数字は昨年4月19、20日の調査結果。
◇調査の方法◇
4月18、19日の2日間、コンピューターで無作為に数字を組み合わせて作った電話番号に、調査員が電話をかけるRDS法で調査した。福島第1原発事故で帰還困難区域などに指定されている市町村の電話番号は除いた。有権者のいる1704世帯から、1015人の回答を得た。回答率は60%。
憲法世論調査―質問と回答〈3・4月実施〉
朝日新聞 2015年5月1日
― (憲法関連を抜粋) ―
◆憲法では、国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利があるとされています。これは、どの程度実現されていると思いますか。
ほぼ実現されている . 6
ある程度実現されている 57
あまり実現されていない . 29
ほとんど実現されていない 5
◆憲法では、国民は、ひとしく教育を受ける機会を有するとされています。これは、どの程度実現されていると思いますか。
ほぼ実現されている 15
ある程度実現されている 60
あまり実現されていない 20
ほとんど実現されていない 3
◆以下は、憲法第9条の条文です。(憲法9条条文は省略)憲法第9条を変える方がよいと思いますか。変えない方がよいと思いますか。
変える方がよい 29
変えない方がよい 63
◇(「変える方がよい」と答えた29%の人に)それはどうしてですか。
国際平和に、より貢献すべきだから 33〈9〉
今の自衛隊の存在を明記すべきだから 31〈9〉
日米同盟の強化や東アジア情勢の安定につながるから. 28〈8〉
〈 〉内の数字は全体に対する比率
◇(「変えない方がよい」と答えた63%の人に)それはどうしてですか。
戦争を放棄し、戦力を持たないとうたっているから 53〈34〉
今のままでも自衛隊が活動できるから . 31〈20〉
変えると東アジア情勢が不安定になるから . . 12 〈7〉
〈 〉内の数字は全体に対する比率
◇
〈調査方法〉 全国の有権者から3千人を選び、郵送法で実施した。対象者の選び方は層化無作為2段抽出法。全国の縮図になるように338の投票区を選び、各投票区の選挙人名簿から平均9人を選んだ。3月18日に調査票を発送し、4月27日までに届いた返送総数は2115。無記入の多いものや対象者以外の人が回答したと明記されたものを除いた有効回答は2052で、回答率は68%。
有効回答の男女比は男48%、女51%、無記入1%。年代別は20代11%、30代12%、40代16%、50代17%、60代22%、70代13%、80歳以上8%、無記入1%。