15日付の国連人権理事会の対米審査報告書に、中国、アルゼンチンなど少なくとも6カ国が沖縄の米軍基地に関し、沖縄の人々の自己決定権や土地権、環境権、女性の人権などが侵害されているとし、米国に改善を勧告したことが盛り込まれました。米国の対応が国際的に注目されます。
また、同報告書が採択される9月の人権理事会本会合で、沖縄の状況を訴えるため翁長雄志知事を登壇させることが計画されています。
それとは別に、20日沖縄県の翁長知事は東京都内の日本記者クラブで会見し、政府が進める名護市辺野古への新基地建設工事の現状は、銃剣とブルドーザーによる基地建設の様相を呈してきたとし、「とにかく工事を中断して話し合いを」と訴えました。
そして今月27日からの米国訪問に関しては、「日本政府を相手にしていたらどうにもならないので、米国に行く」と説明し、「新辺野古基地を造ることができない場合、米国は当事者であり、日米安全保障体制にひびが入るということを申しあげてきたい」と訪米への意欲を示しました。
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在沖米基地に改善勧告 国連審査報告書、人権侵害など指摘
琉球新報 2015年5月20日
中国、アルゼンチンなど少なくとも6カ国が沖縄の米軍基地に関し、沖縄の人々の自己決定権や土地権、環境権、女性の人権などが侵害されているとし、米国に改善を勧告したことが19日分かった。19日までに採択された、国連人権理事会の普遍定期審査(UPR)対米審査報告書に盛り込まれた。同定期審査は国連全加盟国を対象にしている。
報告書に沖縄のことを盛り込むよう48理事国に働き掛けた「沖縄『建白書』を実現し未来を拓(ひら)く島ぐるみ会議」の島袋純国連部会長(琉球大教授)がこの日、県庁で会見し、明らかにした。
報告書は15日付。9月の人権理事会本会合で採択される見通し。勧告に拘束力はないが、米国の対応は国際的に注目される。同会議は本会合で沖縄の状況を訴えるため、翁長雄志知事を登壇させることを目指す。
同会議は4月1~2日、スイスのジュネーブで開かれた事前セッションで7カ国の代表者に働き掛け、他の国にも資料を送付。(1)自己決定権と土地権(2)環境権(3)女性の権利(4)表現の自由-の侵害を訴えた。
島袋教授によると報告書で中国は「自治、自己決定権を尊重し、土地や環境、言語などの問題に関し(国内外の)先住民と十分に対話すべきだ」と勧告した。
この種の報告書に「沖縄」などの固有名詞が書かれることはほぼないというが、少なくともアルゼンチン、マケドニア、フィンランド、ユーゴスラビアも沖縄をはじめとする米国外の米軍基地に関連するとみられる記述を盛り込んだ。
翁長知事「沖縄、平和の緩衝地帯に」 辺野古中止重ねて要求
東京新聞 2015年5月20日
沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事は二十日午前、東京都内の日本記者クラブで会見し、政府が進める米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設に伴う名護市辺野古(へのこ)への新基地建設を中止するよう強く求めた。
翁長氏は、政府が新基地建設に向けて海底ボーリング調査を強行していることについて「工事の現状は、銃剣とブルドーザーによる基地建設の様相を呈してきた」と戦後に行われた米軍による強制的な土地接収に例えて批判。「政府にはとにかく、工事を中断して話し合いを」と訴えた。
その上で「基地で平和を維持するのは本当に難しい」と指摘。「沖縄は日本とアジアの懸け橋になれる可能性を秘めている。平和の緩衝地帯として、沖縄がアジアや日本に貢献したい」と強調した。
今月二十七日からの米国訪問に関しては「日本政府を相手にしていたらどうにもならないので、米国に行く」と説明。「新辺野古基地を造ることができない場合、米国は当事者であり、日米安全保障体制にひびが入るということを申しあげてきたい」と訪米への意欲を示した。
政府が沖縄の負担軽減策を示して、辺野古への新基地建設に理解を求めていることには「沖縄は今日まで自ら基地を提供したことは一度もない。土地を奪っておいて、辺野古が唯一の解決策だという話をすること自体、日本の国の政治の堕落だ」と語った。
翁長氏は、今月二十七日~六月五日の日程で米国のワシントンとハワイを訪問する。訪米は知事就任後初めてで、米政府高官や上下両院の議員、シンクタンクの有識者らと会談し、辺野古新基地の建設中止への理解を求める。