安倍晋三首相は9日、日米両国の政財界人が参加する「パシフィック・ビジョン21」でのあいさつでTPP交渉の妥結に意欲を示したということです。
自民党は2012年の総選挙で「TPP交渉参加の判断基準」として、
自民党は2012年の総選挙で「TPP交渉参加の判断基準」として、
・国民皆保険制度を守る
・国の主権を損なうようなISD条項は合意しない
など6項目を挙げていましたが、いまやものの見事に反故にされてしまいました。売国の行為です。
ブログ「晴耕雨読」には、「TPPの最大の目的は医療」とする北海道がんセンター名誉院長のインタビュー記事が掲載されました。
TPP問題が起きたときに最も早く組織的な反対を表明したのが実は医療関係団体でした。アメリカ流の高額医療システムでいずれは日本も席巻されてしまうという警告がその内容でした。
西尾名誉院長はインタビューでアメリカの医療の高額ぶりを紹介し、一番の問題として、TPPが発効すればすぐに薬価の高騰が起きると述べました。
薬価は今は中医協が管理しているのでまあまあ抑えられていますが、TPPに入れば日本(病院側)で勝手に値段を決められずに、製薬会社の設定した薬価しか認められなくなると述べています。日本が国内製薬会社分の価格を抑えれば、競争力を失う米国企業からISD条項により(営業妨害による損失で)提訴されるという意味でしょう。
アメリカの殺人的高額医療システムが押し寄せて来て、国民皆保険が結果として破壊されるのも時間の問題です。
註 「医療 TPP 問題」で検索すると百万件以上がヒットします。
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首相「TPP出口見えた」 日米政財界人に
東京新聞 2015年5月9日
安倍晋三首相は9日、日米両国の政財界人が参加する「パシフィック・ビジョン21」東京会合の昼食会であいさつし、環太平洋連携協定(TPP)交渉の妥結に意欲を示した。「最終的な出口が見えてきた。日米が協力してアジア太平洋地域にしっかりとしたルールを作り、人、モノ、資本が自由に飛び交う経済圏をつくりたい」と述べた。
安全保障分野に関しては、日米が合意した新たな日米防衛協力指針(ガイドライン)に触れ「地域の平和と安定に貢献したい」と強調した。 (共同)
TPPの最大の目的は医療です。これはほとんど報じられません
西尾正道氏(北海道がんセンター名誉院長)
晴耕雨読 2015年5月9日
岩上安見インタビュー 2015年5月8日)
岩上安身による北海道がんセンター名誉院長インタビュー(前半)を実況します。
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西尾正道氏「TPP、この情報社会でその中身が全く知らされないのは異常なこと。妥結
したら50以上の法律を変えなければいけないと言われています。
したら50以上の法律を変えなければいけないと言われています。
岩上「米国は、かたや欧州で『TTIP』を仕掛けています。これに対し欧州各国の反対運動はすさまじく、十万人単位の抗議デモが起こっています。
西尾氏「昔は経済的利益のためには戦争を仕掛けていた。今は経済的利益のために司法を変えるTPPを仕掛ける。
TPPの最大の目的は医療です。これはほとんど報じられません。ポイントは『ISD条項』です。例えば薬の値段が高過ぎる、国として薬価を下げるとなっても、それは認められないとなる。企業の利益のためのISD条項がその国の法律よりも上位にきます。
ではTPPで日本はどうなるか? 日本の医療は医療法第7条で、『営利を目的としてはいけない』と定められている。これがTPPで米国のように変えられます。
米国では盲腸手術・8日入院で700万円、今の日本だったら10万円前後の自腹で済みます。」
岩上 「私は狭心症の発作でICUに入ったのですが、これが米国で無保険だったら?」
西尾氏「 1億円近くかかったでしょうね。米国では貧血で2日間入院したら200万円。腕をちょっと骨折して手術しただけで150万円です。これが日本に入ってくる可能性がある。
米国での民間保険は、掛け金がかなり高い。また様々な条件をつけて支払いを渋る、さらに保険会社とタイアップしている病院や医療技術しか使えません。医者は、『この治療法が最適だけど保険会社が認めていないから使えません』と言うはめになります。
医療の面で言えば、食の安全の問題もあります。残留農薬の基準が緩くなったり、食品表示や成分表示が規制される可能性。そうしたら道の駅もなくなります。遺伝子組み換え食品かどうかの表示も撤廃される可能性もあります。
TPPの何が問題なのかと言うと、米国企業の凄まじいロビー活動です。ロビー費は米製薬・医療業界は5300億円、防衛・ミサイル業界が1500億円です。これを見ればTPPの目的が明らかです。米国では家庭破産の62%が医療費です。」
岩上 「推進派は混合診療解禁は国民皆保険は潰しませんよ、と喧伝しますが。」
西尾氏「新薬や新しい治療については国民皆保険の適用外となります。それによって国民皆保険の規模がどんどん縮小していきます。
民間保険会社への加入も増えるでしょう。今は2000万人位が加入しています。また医療への株式会社参入も進みます。日本においてこれから右肩上がりの分野は医療と介護だけです。日本人の年間医療費平均は30万円位ですが、高齢者は90万円以上です。
一番問題なのは、直接的にすぐ影響が出てくるのが薬価の高騰です。今は中医協が薬価を管理している。しかしTPPに入れば日本(病院側)で勝手に値段を決められず、製薬会社の設定した薬価しか認められなくなります。
今、国民皆保険制度は日本、ドイツ、フランス、オランダのみ。イギリス、スウェーデン、カナダは税金を主とする国民保険組織によって(外国人も)無料です。しかし例えば子宮がんは2カ月待ちなど順番待ちがあります。また医師の給料も安く医療の質も悪い。
米国は1985年から医療分野の市場開放を要求しています。2001年には年次改革要望書で医療に市場原理の導入を要求、2011年にはUSTRが医薬品の関税撤廃などを要求。いかに米国が日本の医療を狙っているか。
日本では薬価は2002年から10年間で5倍、20年間で10倍になっています。海外からの輸入医薬品は2.5兆円です。そして2014年10月4日の日経新聞のトップ記事は『医師以外も病院のトップに 特区で追加緩和』です。
国内の製薬会社で最大規模の武田薬品でも世界では14位。ベスト10に米国企業が5社。次に、現在の日本では国民皆保険とセットで高額療養費限度額制度という非常に良い制度があります。患者負担をあまり気にせず治療薬を使用できる環境です。
(後 略)