中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)創立加盟問題では、主要50カ国以上が創設メンバーとなりましたが、日本だけは米国に殉じる形で参加せずに孤立しました。
既に米国の一極支配は終焉し、覇権国家不在の「Gゼロ時代」を前提に世界は動いているのですが、米国ベッタリの安倍首相にはそういう認識は全くなく、逆に米国の第一の子分になったと大満足しているようです。
そして中国、韓国、北朝鮮、ロシアなどの隣国との関係は悪くなる一方です。
この1年間だけでも、安倍首相は6兆円といわれる国費を海外にバラ撒いてきましたが、現実は時代錯誤の外交によって急速に孤立化しています。
安倍首相はひたすら米国だけを見ていれば良しとして、中国のことは逆に敵視していますが、米国の側には勿論そんな位置づけはなくて、着々と中国との共存を深める現実路線を歩んでいます。
つまり日・米・中の三カ国の関係でも日本は浮き上がっているわけです。
安倍首相は自分に都合のよい空想で舞い上がるのではなくて、冷静に現実をよく見て地道に進むべきです。
そして何よりも先ず世界から信頼されていたかつての日本に早く戻すべきです。
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右傾化に狂乱する人々…この国は再び道を誤りつつあるのか
日刊ゲンダイ 2015年5月5日
大手メディアは、真相を伝えようとしないが、安倍首相の時代錯誤の外交によって、いま日本は国際社会で急速に孤立化しつつある。
歴史認識や領土問題で対立する中国や韓国との外交だけではない。対ロ関係も冷え込みプーチン大統領の訪日は実現せず、北朝鮮にまでなめられて拉致問題は進展なし。中国、韓国、北朝鮮、ロシア……すべての近隣国と関係が悪化しているのは、世界中で日本くらいだ。
近隣諸国から嫌われ、頼れるのは太平洋の向こうの米国のみ。だから、安倍首相は、新ガイドラインで自衛隊の戦力を米軍に差し出すなど、思いつく限りの“手土産”を持参して訪米した。だが、その米国にまで「歴史修正主義者」と警戒され、信用されていないのだからバカみたいな話だ。
それもこれも、いまだに安倍首相が“冷戦時代”の古い発想から抜け出せず、世界の潮流が見えていないからだ。すでに米国の一極支配は終焉し、世界各国は覇権国家不在の「Gゼロ時代」を前提に動いている。米国ベッタリの指導者は安倍首相くらいなものだ。その不見識が露呈したのが、中国主導のAIIBへの不参加だ
「安倍首相はAIIBを“悪い高利貸”とあげつらいましたが、日本の参加見送りは『米国が参加しない国際機関に入るわけにはいかない』が実態でしょう。その米国は、中国との共存を深める現実路線を着々と歩んでいます。米国にとって中国は第3の輸出国であり、第1の輸入国。1兆ドル以上の米国債も握られ、切っても切れない経済パートナーです」(経済アナリスト・菊池英博氏)
怖いのは歴史認識を踏みにじる安倍首相の右傾化・軍事路線が、一部の国民感情とシンクロしていることだ。この国には「近隣諸国になめられるな」というナショナリズムが蔓延しはじめている。安倍首相も意図的に国民の愛国心や排他心を刺激し、支持者を増やしている。ヒトラーと同じやり方だ。
実際、ナショナリズムが高まると同時に、安倍政権の独裁体制が急ピッチで築かれている。党内に逆らう者はなく、国会は自民党の1強支配、メディアも抑え込んだ。安倍独裁がエスカレートしていけば、この国はますます世界から孤立してしまうだろう。戦前と同じように再び道を誤りかねない。