2015年5月23日土曜日

右寄りの若者が増えた理由 元愛知大教授が分析

 安全保障法制を巡る国会議論が本格化しようとする中、別所興一・元愛知大学教授(日本史)は21日、愛知県豊橋市で講演し、非人間的な振る舞いを強いる戦争の悲惨さを語りました。
 そして右寄りの政治家を支持する若者が増えている現状について、
 「近現代史を教えるには教師自身の政治認識を出さざるを得ないが、そうするとPTAなどからクレームが来るので、結局そこには触れないようにする教師が多くなった」とし、「それが現在の状況をもたらした」と分析しました。
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世論の右傾化懸念 「右寄り」支持する若者増のなぜ分析
 元愛大教授別所氏が講演
東日本新聞 2015年5月22日
歴史教育現場にひるみ ネグレクトされた近現代史
  自身の経験から指摘
 新たな安全保障法制を巡る国会議論が本格化する中、世の中が右傾化しているのではないかと懸念する声が東三河からも上がり始めている。日本史が専門の別所興一・元愛知大学教授(75)は21日、穂の国とよはし芸術劇場プラットで講演し、非人間的な振る舞いを強いる戦争の悲惨さと、戦後教育の問題点を指摘した。
 
 市民の文化サロン「窓の会」の例会の会場。時節柄、様々な問題意識を持つ会員が大勢集まった。
 
 別所さんは講演の中で、太平洋戦争中にインド洋アンダマンのカーニコバル島で起きたスパイ事件で、容疑者を棒で打って死なせたとしてB級戦犯に問われ、処刑された木村久夫氏のエピソードを紹介。「戦争の大きな問題は、普通の人間が人を殺す場に立たされることだ」と訴えた。
 昨今の風潮を見渡し、右寄りとされる政治家などを支持する若者が増えているとして、懸念を示した。自身が長年、高校の社会科教員として歴史を教えてきた経験から「近現代史教育がネグレクトされてきた」と、戦後教育の問題点を指摘した。
 「近現代史を教えるには教師自身の政治認識を出さざるを得ず、そうするとPTAなどからクレームが来るので『さわらぬ神にたたりなし』の教師が多かった」と振り返り、こうした要素が「今の現状をもたらした」と右傾化の原因を分析した。