2015年5月8日金曜日

自民「緊急事態優先を」 衆院憲法審実質討議入り

 衆院憲法審査会は7日午前、憲法改正に関する実質討議を行いました
 会議では憲法改正についての総論的な主張を各党が行った感じですが、自民党の船田元氏は、優先すべきテーマとして、(1)緊急事態条項(2)環境権をはじめとする新しい人権(3)財政規律条項-の三つを挙げました。
 いよいよ「緊急事態条項」が審査会の場に登場しました。
 
 緊急事態条項は大規模な災害などに対応するものとして自民党が主張し報道もその線で行われていますが、日本には既に世界に類を見ないほど精緻に整備された災害対策基本法があり1憲法に謳う必要は全くありません
1 2月21日 「国家緊急権」創設=改憲 の危険性 
 
 それを敢えて大規模災害対策に必要と主張するのはその方が国民に通りがいいと判断したからで、真の理由は「非常(時)大権」、「戒厳令下の独裁体制」を確立する2ことにあり、そうなれば国民の権利はことごとく奪われることになります。
2 5月4日 自民党改憲案に見る緊急事態条項の恐怖
 
 改憲の論議では何よりもまずこのことの周知が優先されるべきです。
 ちなみのこの緊急事態条項は2005年に定められた最初の自民党憲法改正草案で登場したもので、2012年の改訂版でもその条項は不変でした。従って決して東日本大震災を機に創設されたものではありません。
 政府の震災対応の施策が極めて不十分なのは偏に安倍政権の庶民に対する冷淡さにあります。
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衆院憲法審査会 初の実質的な議論
NHK NEWS WEB 2015年5月7日
衆議院憲法審査会は、去年の衆議院選挙後初めて、憲法改正を巡って実質的な議論を行いました。
自民党が憲法改正の最初の発議に向けて、大規模な災害などに対応する「緊急事態」の条項を設けることなどを優先して議論すべきだとしたのに対し、民主党は、政権側の憲法観などを確認する必要があるとして、慎重な姿勢を示しました。
衆議院憲法審査会は7日、去年の衆議院選挙後初めて、憲法改正を巡って実質的な議論を行い、今後、審査会で議論すべき内容について、各党による意見表明や自由討議を行いました。
 
この中で、自民党の船田憲法改正推進本部長は、「時代に合った前向きな憲法改正を議論し、結論を導き出すことは、国会に課せられた重要な責務だ。去年11月の自由討議で、各党が共通して取り上げたのが、緊急事態条項、環境権をはじめとする新しい人権、そして財政規律条項の設定などであり、これらのテーマを優先して議論してはどうか。特に緊急事態条項は統治システム整備の基本だ」と述べました。
 
民主党の武正憲法調査会副会長は、「政府は憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使容認の閣議決定を行ったが、立憲主義から言えばあらざるものと言わざるをえず、いわゆる『押しつけ憲法論』と併せて、各党の考え方を確認し丁寧に議論を進めるべきだ。現行憲法を補う点から、総理大臣の解散権や地域主権、新しい人権の在り方などは議論する必要がある」と述べました。
維新の党の井上憲法調査会事務局長は、「わが国の国益を守り、将来を切り開くためには、より効率的な統治機構を確立することが急務だ。道州制の導入など、維新の党が主張する統治機構改革のためには憲法改正が必要であり、国民的な議論が活発になるよう、憲法改正の発議の要件を緩和すべきだ」と述べました。
公明党の斉藤憲法調査会長代理は、「新たな理念を加え補強する『加憲』こそ、最も現実的で妥当で、環境権などの新しい人権や、地方自治、緊急事態などを議論すべきだ。憲法が国の根本規範で、あるべき姿を示すものである以上、国民的な合意形成に向けて、冷静かつ慎重な議論を進めていくべきだ」と述べました。
共産党の赤嶺安全保障部会長は、「改憲のために憲法審査会を動かす必要はない。憲法の規定が変えられていないのに、なぜ安全保障法制の整備が許されるのか、憲法の基本原則を根底から覆す現実の動きにこそ、国会は目を向けるべきだ」と述べました。
次世代の党の園田顧問は、「わが党は、現行憲法は国民が作った憲法ではないという前提に立っており、新しい憲法を作ることを党是としている。なるべく早く合意できるところから合意して、国民投票の機会が得られるようにすべきだ」と述べました。
また、衆議院憲法審査会は、各党の意見表明などに先立って憲法改正を巡る国民の意見を幅広く聞くため、去年11月に続き2回目となる地方公聴会を来月15日に高知市で開くことを議決しました。
 
 
自民「緊急事態優先を」 衆院憲法審、実質討議入り
北海道新聞 2015年5月7日
 衆院憲法審査会は7日午前、憲法改正に関する今国会初の実質討議に入った。各党は今後議論すべき内容について見解を表明。自民党は現行憲法について「連合国軍総司令部(GHQ)の強い影響下で制定された歴史的事実は否定できない」として改正の必要性を主張。大規模災害時の対応を定める「緊急事態条項」などの創設から優先して議論するべきだと訴えた。
 
 実質討議は昨年11月以降、約半年ぶり。自民党憲法改正推進本部長の船田元氏は優先して議論するべき項目として、緊急事態条項のほか、環境権と財政規律条項の創設を挙げた。特に緊急事態条項については「東京直下型地震などの発生時に国会議員の任期を延長できることを憲法で規定しておくことは急務だ」と述べた。
 
 これに対し民主党の武正公一氏は、安倍晋三政権が憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認したことに対し「一内閣が都合のいいように恣意(しい)的に憲法解釈を変更した」と述べ、立憲主義の観点から問題があると指摘。さらに安倍首相が強調するGHQによる「押しつけ憲法論」に対しても「それをもって改正理由とすることの是非も確認する必要がある」と慎重論を唱えた。
 
 維新の党や公明党、次世代の党も緊急事態条項の創設については理解を示し、共産党は改憲に向けた議論そのものに反対する考えを強調した。