2015年5月29日金曜日

君が代不起立2件 処分は違法の合理的判決

 28日、東京高裁は卒業式で君が代を斉唱する際に起立しなかったことを理由に、教育委員会元教員女性)を停職6か月の懲戒処分にしたことについて、「個人の思想や良心の自由の実質的な侵害につながる」として、取り消す判決を言い渡しました。
 
 また25日には東京地裁が、都立高校の元教職員が卒業式などでの君が代斉唱で起立しなかったことを理由に、教育委員会定年退職後に再雇用しなかったことについて、「個人の思想信条に従った行為を理由に、大きな不利益を科すこと量権の範囲を超えるもので違法として、1人当たり200万円余りの賠償を東京都に命じました。
 
 思想信条の自由が司法の場で改めて認められたのは、あまりにも当然のこととはいえ喜ばしいことです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 
君が代不起立で懲戒処分 高裁が取り消す判決 
NHK NEWS WEB 2015年5月28日
東京の公立学校の卒業式で君が代を斉唱する際に起立しなかったことを理由に、元教員の女性が教育委員会から受けた停職6か月の懲戒処分について、東京高等裁判所は「個人の思想や良心の自由の実質的な侵害につながる」として、取り消す判決を言い渡しました。
 
この裁判は、東京・町田市の市立中学校の教員だった女性が、平成19年の卒業式で君が代を斉唱する際に起立しなかったことを理由に、東京都教育委員会から停職6か月の懲戒処分を受けたのは不当だと訴えていたものです。
1審は、元教員は過去にも減給や停職1か月と3か月の処分を受けたにもかかわらず、再び起立しなかったとして訴えを退けました。
28日の2審の判決で、東京高等裁判所の須藤典明裁判長は「処分を機械的に重くしていくと最後は免職処分になり、自分の思想を捨てるか、教員の身分を捨てるかの選択を迫られる。憲法が保障している個人の思想や良心の自由の実質的な侵害につながるものだ」と判断して、懲戒処分を取り消すとともに10万円の賠償を東京都に命じました。
判決について、元教員は「都の教育委員会が処分を機械的に重くすることに対してストップをかける内容で、うれしい」と話していました。
一方、東京都の中井敬三教育長は「誠に遺憾だ。教職員の職務命令違反に対しては、今後も厳正に対処していく」とするコメントを出しました。 
 
 
君が代斉唱 “不起立で再雇用しないのは違法” 
NHK NEWS WEB 2015年5月25日
東京の都立高校の元教職員が卒業式などでの君が代斉唱で起立しなかったことを理由に、定年退職後に再雇用されなかったのは不当だと訴えた裁判で、東京地方裁判所は「教育委員会の判断は裁量権の範囲を超えるもので違法だ」として、1人当たり200万円余りの賠償を東京都に命じました。
 
この裁判は、都立高校の元教職員22人が平成18年度から20年度にかけて卒業式や入学式での君が代斉唱で起立しなかったことを理由に、定年退職後に再雇用されなかったのは不当だと主張して都に賠償を求めていたものです。
25日の判決で東京地方裁判所の吉田徹裁判長は「個人の思想信条に従った行為を理由に、大きな不利益を科すことには慎重な考慮が必要だ。式の進行は混乱しておらず、都の教育委員会が起立しなかったことだけを不当に重く扱ったのは、裁量権の範囲を超えるもので違法だ」と判断し、都に対し、1人当たり200万円余りの賠償を命じました。
判決について、原告の1人は「教育委員会の言うことを聞かなければ再雇用されず、学校現場が萎縮していたが、違法だと明確に示してくれたので影響は大きい」と話していました。
一方、東京都の中井敬三教育長は「大変遺憾だ。内容を精査して対応を検討する」とのコメントを出しました。