2015年5月25日月曜日

戦後レジーム論者の首相がポツダム宣言読んでいない!

それはあり得ないこと!
 
 20日の党首討論で安倍首相「ポツダム宣言をつまびらかには読んでいない」と述べて世間を唖然とさせました。
 
 九大名誉教授の斎藤文男氏(憲法)は、
 「『ポツダム宣言』は戦後の民主化、非軍事化を進めた世界秩序。それを『読んでいない』というのが本当なら『政治家になるな』と言いたい。『戦後レジームからの脱却』は、ポツダム宣言以降の体制否定なのだから、(その信念があるのであれば)国会で堂々と論戦すればいい
と述べています
 
 安倍首相はいつも犬の遠吠えのように、対立する相手のいないところでは特異なこじつけ的な発言をしますが、キチンと論理立った批判をする人に対しては常に論戦を回避しています。自分が論破される危険性を察知する感覚だけは、不思議と研ぎ澄まされているようです。(^○^)
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「ポツダム宣言読んでいない」安倍首相に憲法学者が怒りの声
日刊ゲンダイ 2015年5月22日
 世界中がアングリしたに違いない。20日の党首討論で「ポツダム宣言を読んでいない」と言い放った安倍首相。ライフワークのように「憲法改正」を唱えながら、憲法学の大家である芦部信喜氏を知らないなど、これまでも政治家としての資質に「失格」の烙印が押される言動は多々あったが、今回ばかりは驚天動地の発言だ。
 
 「私はまだ、つまびらかに読んでいない。論評は差し控えたい」
 共産党の志位和夫委員長から「ポツダム宣言」の認識を問われ、こう答えた安倍首相。「つまびらかに」なんてモゴモゴ言っていたが、ゴマカシていたのは明らかだ。
 「ポツダム宣言」は45年7月に米英中が大日本帝国に対して発した降伏勧告で、軍国主義を民主主義に改めるよう求めた。日本は8月15日にこの宣言を受諾。方針を具現化するために作られたのが日本国憲法だ。言葉や経緯は中高生でも知っている。
 そもそも安倍首相の持論は「戦後レジームからの脱却」だ。その戦後体制が始まったのが「ポツダム宣言」であり、「脱却」を主張するなら、「つまびらか」に知っているのは当然だろう。さらに言えば、終戦直前に当時の鈴木貫太郎首相は会見で「ポツダム宣言」について「黙殺して断固戦争完遂に邁進」と発言したため、米国が激怒。広島・長崎の原爆投下を決断するきっかけになったとも指摘されている。
 
 安倍首相の「読んでいない」という発言は、この鈴木元首相の「黙殺」に並ぶ失言だ。仮にドイツのメルケル首相が「ベルリン宣言」を「読んでない」と国会で発言したら、たちまち世界から総スカンを食らうのは間違いない。安倍首相の発言は、それぐらい非常識なのである。
 
 九大名誉教授の斎藤文男氏(憲法)が言う。
 「『ポツダム宣言』は戦後の民主化、非軍事化を進めた世界秩序であり、民主主義国家となった日本の出発点です。政治家として(経緯や詳細を)知っているのは当たり前で、『読んでいない』というのが本当なら『政治家になるな』と言いたい。それに安倍首相は『戦後レジームからの脱却』を叫び、ポツダム宣言以降の体制を否定しているのだから、国会で堂々と論戦すればいい。ノラリクラリはぐらかすなんて許されないし、国会軽視も甚だしい。そんな政治家が自衛隊を世界中に派遣し、戦争に加担させる安保政策の大転換法案を国会に提出している。まったく許せません」
 
 その通りだ。結局、安倍首相は国民のためでも、深い政治信条があって動いているワケでもない。「憲法改正」も「(先の大戦は)侵略戦争ではなかった」という主張も、祖父の故・岸信介元首相の“遺言”を実践しているだけ。A級戦犯の亡霊首相の妄言に、今も付き合わされる国民は、つくづく不幸である。