川崎市の江川せせらぎ九条の会は10年3月に「小さな勉強室」を開き、憲法の条文の学習を始め、この21日、55回目で憲法99条に到達しました。
講師は置かず、メンバーがそれぞれ、「あたらしい憲法のはなし」や井上ひさしさんの「子どもにつたえる日本国憲法」などの文献から条文に関連しそうなページをコピーして持ち寄り、意見を述べ合うというやり方で続けてきました。
東京新聞の記事を紹介します。
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憲法条文学び 9合目 江川せせらぎ九条の会「勉強室」
東京新聞 2015年5月24日
百三条ある日本国憲法を毎月一、二条のペースで声に出して学ぶ、江川せせらぎ九条の会(川崎市中原区、高津区)の「小さな勉強室」が五十五回目の開催で九九条まで到達し、条文が残りわずかとなった。自ら工夫して憲法の本質を学ぼうとする取り組みが九合目まで来た。 (山本哲正)
高津と中原区の境にある「江川せせらぎ遊歩道」の江川から名付けられた同会は、両区在住の元大学教授や元教員、元人形劇団関係者らが呼び掛け二〇〇八年に結成された。会員は主婦や会社員ら約二百二十人いる。年三回ほど戦争遺跡の見学会や講演会を開き、会員向けニュースを発行してきた。
「小さな勉強室」は一〇年三月、長坂陽子さん(69)=高津区子母口=が「九条の会なのだから、憲法の条文を知らなくては」と呼び掛け、有志約十人で始めた。中原区内の施設で約二時間、条文のコピーを配って音読したりする。暗唱まではしないが、声に出すことで「小学生のような真っさらな気持ちで学べる」と長坂さん。
講師は置かず、メンバーがそれぞれ、「あたらしい憲法のはなし」や井上ひさしさんの「子どもにつたえる日本国憲法」などの文献から条文に関連しそうなページをコピーして持ち寄り、意見を述べ合ってきた。
長坂さんは「憲法が権力を縛って私たち国民を守ってくれていることがよく分かる」と話し「だから、縛られないよう、ちゃちな憲法に変えたい人たちがいる」と改憲の動きの背景をとらえる。
二十一日は、参加者たちが九九条「…国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」を読み上げ「自民党は憲法改正草案で『基本的人権は侵すことのできない永久の権利』という九七条を削除しようとしている。尊重、擁護していない」と、話が進んだ。また、四十代の参加者からは「おしゃれな会場で憲法を弁護士に解説してもらえる『憲法カフェ』を私たちも開きたい」との提案があった。
勉強室は今後数回行われ、夏場に一段落する見通し。メンバーからは学習成果を冊子にまとめたい、との意見も出ている。
安倍晋三政権が安全保障関連法案の審議入りを目指す中、メンバーらは「平和憲法が実質変えられてしまう。市民が支持政党を超えて止められないか」と、政治の現状にも危機感を強める。江川せせらぎ九条の会の問い合わせは、松本浩次郎さん=電090(8813)1076=へ。
憲法の条文を読み上げ、話し合う、江川せせらぎ九条の会
の「小さな勉強室」=川崎市中原区で