いま「アベノミクス」として政府と日銀が行っている異次元金融緩和は、国が発行する国債の7割を日銀が買うという異常な事態になっています。
従来は民間銀行が国債を買いその利息を収入源とするという健全なあり方でしたが、いまはその民間銀行が国債暴落の危険を感じて急ピッチで国債を手放しているということです。それを放置すれば国債は暴落するので、その手放した国債をまた日銀が買うという繰り返しになります。
自分の脚を自分が食うという異状な状態が長続きする筈はありません。その行き着く先は「終戦直後に起きたようなハイパー(=極端な)インフレ」しかないというのが、経済学者金子勝慶大教授の説くところです。※
※ 4月25日 もう引き返せない-アベノミクスの行き着く惨状(金子勝氏)
このことは経済に明るい人が見ればそれしかないということのようで、6日付の日刊ゲンダイも「異次元の金融緩和がもたらすハイパーインフレという大災厄」とする記事を出しました。要するにその破綻が日程に上ってきたということです。
一方で安倍政権はいまの虚構=株高を来年6月の参院選のときまで続けることで、参議院でも改憲勢力2/3以上を確保することで、改憲を果たすのが狙いと言われています。
しかし破綻は何かのきっかけで起きてしまうものなので、そんなに引き伸ばすことが果たして可能なのでしょうか。
いずれにしても、政治家としては邪道というしかない改憲を果たすために国を転覆させてしまうことは許されないことです。
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異次元の金融緩和がもたらすハイパーインフレという大災厄
日刊ゲンダイ 2015年5月6日
株価が15年ぶりに2万円を回復し、大マスコミはアベノミクスを持てはやしているが、意外にも、株で儲けた富裕層は浮かれていないらしい。
駐中国大使を務めた丹羽宇一郎・伊藤忠商事元社長が、新聞コラムに〈(彼らは)どこか不景気であり、心配げである〉と書いていた。さすがに富裕層もこの「官製相場」はいつまでもつづかないと分かっているのだろう。いま富裕層は、儲けたカネをドルや金に換えているようだ。
もはや、日銀の「異次元緩和」が失敗に終わったことは明らかだ。GDPはゼロ成長に沈み、アベノミクスの恩恵を享受している富裕層まで疑念を持ち始めている。
この「異次元緩和」、結末はどうなるのか。このままつづけていたら、いずれ「国債暴落」を引き起こすのは目に見えている。すでに民間銀行は、国債暴落の危険を感じ、急ピッチで国債を手放している。「異次元の金融緩和」を実施している黒田日銀総裁までが「経済財政諮問会議」に出席し、国債暴落の危険性を切々と訴えているほどだ。日銀は政府が発行する国債の7割を買い占めているが、緩和をやめれば、その瞬間、国債の投げ売りが始まるからやめられない。危機はパンパンに膨らみ、ある日、はじける。
過去、国債が暴落した国は、どこもハイパーインフレに見舞われている。
「ハイパーインフレに直撃された時、苦しむのは庶民です。その時、起こりうるのが政府による財産税の創設です。『預金封鎖』をして、預金の2割程度を強制的に召し上げる。戦後、軍事国債の支払いに苦しめられた時も、預金封鎖をしています。70年ぶりに預金封鎖が現実のものになるかもしれません」(経済評論家・斎藤満氏)
そうなったら、ドルや金を買い込んだ金持ちは、日本脱出を図るだろう。逃げられない庶民がツケを払わされることになるのである。