2015年5月13日水曜日

戦争体験16人の証言掲載 「津市民文化」戦後70年特集

中日新聞 2015年5月12日
 第二次世界大戦中の津市内の様子を、体験者が語った話をまとめた「津市民文化 戦中・戦後の津-七十年前のあの日、あの刻(とき)」が、市内の書店や市の施設で販売されている。約一年かけて内容をまとめた編集委員会のメンバーは「戦争体験者に当時の記憶を聞く最後のチャンスだと思った。若い方にも読んでほしい」と呼び掛ける。
 
 「津市民文化」は、合併前の一九七四年から年一回発行している総合文化誌。「街道」や「災害」など、各号でテーマを決めて特集を組み、市民の川柳や短歌などを掲載している。ことしが戦後七十年の節目の年に当たることから、戦争をテーマに設定。市民や有識者ら六人でつくる編集委員会が、昨年五月から取材を進めてきた。
 
 特集では、津市とゆかりのある十六人から、津空襲や学徒動員の日々、シベリア抑留の体験などのインタビュー記事や寄稿を掲載。現在の美杉町川上出身の文化功労者で歌人の岡野弘彦さんは、戦時中に機関砲の銃身を作る工場で働いた様子などをつづった原稿を寄せている。
 
 空襲を受けた日時を色別に分けて示した市内の地図や、空襲で焼け野原となった市内の写真も紹介している。
 
 市民のエッセーや俳句を紹介するコーナーでも、戦争に触れた作品を扱った。編集委員会メンバーの藤田明さん(82)=津市一身田町=は「戦後七十年の機運が高まる前に発行したかった。最近の日本の雲行きを怪しく感じる面もあり、当時を記憶している人から問題提起をしてもらいたかった」と特集に込めた思いを語った。
 
 カラーA4判、八十ページ。一部五百円で、千五百部を発行した。津市北河路町のメッセウイングみえ内の市文化振興課や各総合支所地域振興課(平日のみ)のほか、市内の主要な書店で販売している。(問)市文化振興課=059(229)3250(畑間香織)
 
写真
16人の戦争体験者が戦時中の津市内の様子を語った総合
文化誌「津市民文化」を紹介する編集委員ら=津市内で