2020年3月5日木曜日

05- 日本の感染隠蔽を見抜いているWHO ~ (世に倦む日々)

「やってる振り」だけはしたいけれども感染拡大の実態を調べる肝心なPCR検査は抑えたいでは事態は悪化する一方です。これまで全てにおいて「隠蔽」と「捏造」を旨としてきた安倍政権は、新型コロナウィルス禍においても、検査数を抑えればいいとごく自然に考えたようですが、そんなゴマカシは世界中から見抜かれています。

 WHOのテドロス事務局長は2日、感染が広がっている「最大の懸念国」として韓国、イタリア、イラン、日本を挙げました。
 トランプも入国拒否対象の国としてイタリア、韓国それに日本を検討しています(FNN 4日)。実態が不明なので当然の対応です。

 中国で2月20日までに感染が確認された5万5924人のデータについて、WHOなどの専門家チームが行った共同調査によると、致死率は、最も深刻な湖北省武漢は5.8%なのに対し、その他の地域では0.7%でした。また1月1日から10日までに発病した患者の致死率17.3%であったのに対し、2月1日以降に発病した患者の致死率は0.7%と低くなっていました(調査団は医療水準向上によると評価)。

 それに対して日本では、4日18時時点で 致死率は207%(国内感染者数290人・死亡者6人)と武漢を除く中国の平均値の3倍になっています。これは感染者数を実態よりも低く操作しているためで、そうした政府の欺瞞が 医療先進国らしからぬ結果を招来したということです。

 兎に角、PCR検査を抑制していては話になりません。早急に韓国のレベルである1日1万5千件以上の検査体制を構築すべきです。そのためには何よりもまず非人道的な「基本政策」を改め、民間の検査機関を活用すべきです。ヒトーヒト感染が起きているときに、「渡航歴の有無など」に一体どんな意味があるというのでしょうか。
 検査規模を拡大すると今度は新たに見つかる膨大な感染者をどう隔離するかが問題となります。政府はこれまで隔離施設の増設を全く手掛けて来なかったからです。
「世に倦む日々」氏は、単に(家族や社会から)隔離するだけなら、客が来なくなったホテルや学童が居なくなった学校などが使えるとしたうえで、隔離者を世話する食費や人件費は政府が面倒を見て、仕事のなくなった観光業等の関係者をニューディール的に政府雇用して、臨時のサナトリウム職員にすればよいと述べています。卓見です。
「世に倦む日々」の記事を紹介します。
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日本の感染隠蔽を見抜いているWHO - 中国提供の検査キットは何処
世に倦む日々 2020-03-04
3月2日、WHOが声明を発表し、韓国、イタリア、イラン、日本の4か国を感染拡大の「最大の懸念国」として指定した。この名指しの意味はきわめて大きく、今後、日本を渡航禁止にしたり、日本からの入国を拒否する国が相次ぐことになる。早速、インドは日本人に発給していた査証を無効にすると発表、上海市と北京市は日本からの渡航者を14日間隔離観察にすると決定した。他の国も倣うだろう。国内の日本人は全く気づいてないが、世界の中で日本は特別な「汚染国」になっていて、要注意のアンタッチャブルな存在になっている。発表が報道された後、右翼がネットでこの指定を不服としてWHOを糾弾・罵倒する動きがあった。感染者の数だけを見ると、他の3か国と日本とでは桁が一つ違っていて、日本の感染状況はフランスやドイツより少し多いという程度であり、世界でも意外に感じた者は少なくなかっただろう。だが、WHOは日本の姑息な隠蔽工作を知っているのだ。 

日本が不当に検査をせず、感染の実態を正しく把握しようとせず、感染拡大防止の努力を怠っていることを、WHOはよく知っている。そして、公表された数値よりも実際にははるかに多い感染者が市中にいて、自由に徘徊していて、新たな感染者を増やしているという蔓延の事実を知っている。だから、警告とペナルティの意味もこめて、WHOは「最大懸念国」の中に日本を含めたのだろう。この指定は、事実上、指定国からヒトを入国させてはいけないという勧告であり、パンデミックを防ぐためにはこの4か国を世界から隔離する必要があるという意味である。日本人は不満に思うかもしれないが、WHOのこの厳しい視線は、進藤奈邦子が2月中旬に来日したときから忠告が発され、伏線が張られていた。「WHOが最も注視しているのは中国ではなく日本」だと直言した事実を想起すべきである。進藤奈邦子はWHOのシニアアドバイザーの要職にあり、意思決定に関わる幹部の一人である。

進藤奈邦子の目から見て、武漢で感染が発生し伝播した当初から、何も対策せず、必要な検査を行わず、国内感染実態を追跡・捕捉しようとしない日本の対応は、不審の極みに映っただろう。2009年の新型インフルエンザのときと全然違うじゃないかと思っただろうし、事態を放置し、隠蔽工作で凌いでいる元凶が安倍政権であることも察知し、テドロスら首脳陣に内々に進言していたに違いない。何より、進藤奈邦子に日本から真実の情報を届け、日本の政府と専門家(御用医師)の出鱈目さに憤っている感染症研の関係者がいるはずだ。テドロスからすれば、先進国の中でもお手本となる高度な保健衛生体制と医療科学基盤を持つ日本こそが、率先して検査して実態把握に努め、このウィルス感染の研究分析をリードし、有効な知見と対策モデルを発信してもらいたかっただろう。日本にそういう役割を期待しただろう。だが、日本はWHOの期待とは全く裏腹に、検査を抑えて感染を隠蔽するという愚挙に出た

さて、中国から無償提供されたPCR検査キット1万2500セットはどうなったのだろう。加藤勝信が国会で答弁した日本の検査数は、2月26日が1061人、2月27日が1229人で、中国から寄贈されたPCR検査キット数の10分の1でしかない。中国からのPCR検査キットの提供の事実は、日本のテレビ報道は口を閉ざして禁句にしている。この事実を最初にリークしたのは、2月17日のプライムニュースの生放送での小池百合子だった。2月25日に毎日が記事にしている。キット不足で検査ができないという日本の窮状を見かねて、中国政府が厚意で手持ちの検査キットを回してくれた。送付先は国立感染症研で2月14日に届けられている。そこからすでに2週間以上経っているが、このロシュ製の1万2500キットが活用されている気配がない。国会で質問を受けた加藤勝信は、1分半の間答弁を沈黙したまま真相を語らなかった。この事実こそが、国産キットを無理やり使おうとする政府の不作為と隠蔽の証明ではないか。

このところ、上昌広と岡田晴恵に対する右翼(ランサーズ)の猛攻が凄まじく、それに左翼の一部(しばき隊)が乗っかって挟み撃ちのネットリンチ状態になっている。例によって「陰謀論者」というレッテル貼りの非難に血道を上げている。PCR検査を政府がなぜ押さえ込んでいるかの疑問について、これまでのところ理由づけをして説明したのはこの二人だけである。上昌広によれば、感染症研が政府から補助金を受けて新簡易キットを開発中であり、大量に民間で検査する段階ではこれを標準で使いたいため、邪魔なロシュ製を故意に排除しているのだと言う。岡田晴恵によれば、新型コロナウィルス感染症について論文を書くため、黒幕の感染症研専門家が症例等のデータを独占して、「相談センター」と「帰国者・接触者外来」の関所で一切を管理し、検査数を押さえ込んでいるのだと言う。私自身は、上昌広の説明が説得的で腑に落ちる。安倍晋三の会見内容とも符牒が合う。感染症研が簡易PCRキットを開発するまで、電話縛りと門前払いを続けるのだろう。

ネットでもマスコミでも、検査を絞り込む政府の方針を支持する声が急に増えてきた。しばき隊が上昌広と岡田晴恵を叩き、どうやら共産党もその言論工作に一枚噛んでいるフシがある。最近のマスコミとネットの言論でコンセンサスになっているのは、症状の重い患者だけ検査を受けさせるべきとか、ハイリスクの患者だけに検査を絞るべきだという主張である。他ならぬ岡田晴恵と大谷義夫がこの言説に追随していて、希望者には全員検査を受けさせるべきだという声は国内に全くない。そうした主張の根拠として、希望者に全員検査を受けさせたら病院がパンクするだとか、院内感染を惹き起こしてしまうという話がある。だが、よく考えないといけないが、院内感染を恐れるのは、病院に行く患者も同じことだ。外来を訪れるのは勇気の要る行為で、気軽にできることではない。費用もかかるし、時間を割かないといけない。それを押しても病院へ駆け込むのは、命の危険があるからと、家族にうつしたくないからである

自覚症状のない者が遊び半分で病院に行くことはない。スリカエてはいけない。不安を解消するのが検査の目的ではないという説明は、さらに間違っていて、問題の本質を歪めている。不安なしに病院へ行く者はいない。上昌広が言っているように、医療の基本は早期発見・早期治療である。検査は重症者の確定診断のためのものなどと、一体いつから定義が決まったのだろう。この感染症については、早期発見・早期隔離しか対策法がなく、感染拡大を止める手段がない。だから、中国も韓国もその原則に従って対策している。中国は大胆かつ強烈にそれをやり、湖北省以外の地域では成果を上げる進行となった。中国の湖北省では、発熱を自ら申告したら1万元(15万円)報奨金が出る。発熱を申告して検査を受け、陽性が出た者には1万元。「感染の可能性がある」として検査を受け、陰性になった者でも1千元(1万5千円)をもらえる。この日本との違いは何だろうか。日本は病院に来るなと言い、検査は重症者の確定診断のためだと言い、ひたすら自力で治すように指導する

中国では、自宅に籠もっている者を検査に来いと促し、そのために報奨金を出す。政府が受診者にお金を渡して検査を受けさせている。それは、とにかく検査させて感染者をあぶり出すためだ。感染の連鎖を止めるためだ。日本もこうした積極策に転じるべきである。岡田晴恵が言っているように、町のクリニックの駐車場にテントかプレハブを置き、無論、政府が費用全額を拠出してだが、そこに「発熱外来」を仮設し、全身防護の医師・看護師・事務が対応すればよいのである。国難の事態なのだから、それくらいやるのが当然ではないか。そして、陽性反応者はすぐに隔離するのであり、隔離療養施設を大規模に準備すればよいのである。軽症者なのだから、病院に収容するのではなく、今回の影響で空室で赤字になったホテルを使えばよい。ホテルの部屋が埋まれば、空っぽになった学校の教室を使えばいい。隔離者を世話する食費や人件費は政府が面倒を見るのだ。仕事のなくなった観光業等の関係者をニューディール的に政府雇用して、臨時のサナトリウム職員にすればよいではないか。一石二鳥。

そうすれば、感染者をしらみつぶしに発見して隔離し、感染の連鎖を強力に止めることができ、家族への感染も防ぐことができる。大量の感染データを収集分析して研究と治療薬開発に役立てることができる。生活支援・休業補償等と合わせて、新型コロナウィルス対策に1兆円でも2兆円でも予算を使えばいい。財源がないのなら、イージスアショアとF35をキャンセルし、辺野古基地の埋め立て工事を中止して捻出すればいい。何でもできるはずだ