2020年3月5日木曜日

コロナ対応後手の安倍首相が“緊急事態宣言”にだけ前のめりの恐怖

 安倍首相が民主党政権下で成立した新型インフルエンザ特措法」の改正に向けて動き始めたのは、新型コロナで緊急事態宣言を出したいためといわれています。
 新型コロナウィルス感染症は、ウイルスが既知だから上記の措置法の対象にならないというのはマヤカシで、十分に対象になるのですが、いまさらそれを認めるのは何故これまでそうしなかったと責められるのと、安倍首相が忌み嫌う民主党政権下で成立した法律を用いたくないという思いからだと言われています。相変わらず低劣な思想の持ち主です。
 改正法が通り次第「緊急事態宣言」を出す意向ということですが、強権意識の旺盛な安倍首相がそうするのは恐怖以外のものではありません。
 政府がいまやることはそれではなくPCR検査体制の拡大や、学校の一斉休校に拠って収入の道を絶たれた人たちへの救済です。
 LITERAの記事を紹介します。
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コロナ対応後手の安倍首相が“緊急事態宣言”にだけ前のめりな理由…
右派の支持回復と批判封じ、安倍応援団は早くも「今は戦時中」
LITERA 2020.03.04
 その前にもっとやることがあるだろう。多くの国民がそうつっこんだはずだ。安倍首相が新型コロナで緊急事態宣言を出すために、民主党政権下で成立した新型インフルエンザ特措法改正に向けて動き始めた。
 同法では首相が期限や区域を定めて緊急事態を宣言できると規定しているが、これを新型コロナにも適用できるよう改正するのだという。しかし、首相が緊急事態を宣言すれば、都道府県知事は感染を防止するため、不要不急の外出自粛、学校などの使用制限を要請できる。ようするに、国民に大幅な私権の制限を強いることができるようになるのだ。
 そのため、同法の緊急事態宣言は2013年に施行されて以降、宣言されたケースは一度もないが、安倍首相は今回、改正が成立したら、即座に緊急事態を宣言する計画だと報じられている。
 自分たちの後手後手かつ場当たり対応とずさんな管理で感染拡大と混乱を引き起こしたうえ、いまだ検査体制も医療体制も整えられず、大見得切ったマスクの供給も確保できていないくせに、突然やる気を見せたと思ったら、国民にだけ不自由を強いる私権制限とは……。
 しかも、謎なのが、前述したように緊急事態宣言の条項はすでに新型インフル特措法にあるのに、わざわざ法改正しようとしていることだ。新型インフル特措法は新型コロナと病原菌が違うから同法を適用できないというのが安倍首相の説明だが、新型インフル特措法の条文を見ても「新型インフルエンザ等」となっている。それよりなにより、安倍政権はこれまで、集団的自衛権容認、黒川検事長の定年延長への国家公務員法適用など、さんざん法解釈を捻じ曲げてきたのではなかったか。にもかかわらず、なぜ今回だけ、厳密さを求め、法律を改正しようというのか。全国紙のベテラン政治部記者が解説する。
「安倍首相はとにかく自分の手ではじめて緊急事態宣言を出して、決断力をアピールしたいと考えている。緊急事態宣言は私権を制限するため右派受けもいいから、コロナ以降、右派の“安倍離れ”食い止められるという計算もあるんだろう。ただし、アピールのためには、民主党政権下で作られた新型インフル特措法をそのまま使いたくない。それに、私権制限には慎重論も多いため、少しでも要件がずれると反対派に口実をあたえることになる。だから、自分たちの手で法律を改正して、一気に自分の手で緊急事態を宣言しようとしているわけだ。野党が反対しても、逆に『野党は危機意識がない』『野党がコロナ対策の足を引っ張っている』などと反撃材料になるから、いまの追い込まれた状況を逆転できるし、一気に今の追い詰められた状況を逆転できると考えたんだろう」
 安倍首相の頭の中にあるのは結局、政治的な“やってる感”アピールだけ。国民の生命や健康なんてどうでもいいのである。
 しかも、恐ろしいのは、安倍首相とその取り巻き政治家たちの発言の端々に、新型コロナで“緊急事態”をもちだすことで、国民を黙らせ、政府の指示に唯々諾々と従う戦前並みの体制をつくろうという意思が垣間見えることだ。

安倍応援団のアルピニスト・野口健は「今や戦時中と同等とみなすべき」
 たとえば、2日の参院予算委員会で「高齢者は歩かない」とヤジを飛ばして批判を受けた自民党の安倍チルドレン・松川るい参院議員は、こんなツイートをしていた。
〈国難においては、責任をもって決断し、そして国民にその決断を信じて一致結束するよう鼓舞することがリーダーの役目。私は総理の真摯な言葉を信じる。我々日本人ならウィルスとの闘いに必ず勝てる。新たな働き方とICT(情報通信技術)を駆使し、危機をチャンスに変えましょう。〉(2月29日)
「新たな働き方とICTを駆使」というが、日本では新型コロナ対応をめぐってテレワークさえも正社員と非正規社員の格差を生み、中国や韓国などの国では休校中もICTの活用で授業をおこなう取り組みがなされている一方で日本は遅れだけが浮き彫りになっている。なのに、なぜ「我々日本人ならウィルスとの闘いに必ず勝てる」ということになるのか、さっぱり意味がわからないではないか。
 国会議員だけではない。安倍政権擁護や右派的発言、最近ではグレタ・トゥンベリさんへの攻撃でも注目された自称・アルピニストの野口健氏も、こんな恐ろしいツイートをしている。
〈総理のお願いに「決断に至った根拠を示せ」との意見も理解できる。しかし、今や戦時中と同等だとみなすべき。細かな検証はコロナが収まった後に、今後の教訓として徹底的にやればいい。今はこの国難の最中において与野党、そして国民が一致団結するべき。痛みを伴いながらも乗りこえるしかない!〉(3月1日)
「今や戦時中と同等」って、戦時中のようなパニック状態に追い込んでいるのは安倍首相の後手後手かつ思いつきの対応のせいなのだが、野口氏は「戦時中と同等」だから「国民は痛みをこらえろ」と迫り、「検証は後でいい」と問題の本質から目を逸らせようとするのである。
 安倍首相も2月29日の会見で「よく見えない、よくわからない敵との戦いは容易ではありません。政府の力だけでこの戦いに勝利を収めることはできません」と新型コロナ対応を戦に見立て、「一人ひとりの国民のみなさんのご理解とご協力が欠かせません」と述べたが、結局、安倍首相や安倍自民党の議員、支持者たちがやろうとしているのは、「戦時中と同じだから我慢しろ」「協力しないのは非国民」という押さえつけばかり。そして、国民の生命を守るための具体策を打ち出さないために批判が起こっていることさえ、「こんな非常時に」と封じ込めようとしているのである。
 だからこそ、危惧しなければならないのは、安倍首相が進めている緊急事態宣言の実施も含めた立法措置についてだ。しかも、前述した松川議員をはじめ自民党議員は新型コロナの混乱に乗じて憲法改正での「緊急事態条項」の新設まで訴え始めている。また、安倍首相にしても新型コロナを利用して総理権限の強化なでやろうとしかねない。──これは決して妄想ではない。こうしたことをやりかねないのが安倍政権の恐ろしさなのだ。(編集部)