コロナの影響で収入の途を絶たれた人たちにいまだに具体的に救済の手は届いていません。給料日の25日を過ぎても収入がなければ家賃や公共料金が払えなくなり、食べ物を買う現金も尽きます。
安倍首相のツルの一声で一斉休業、自粛となったのだから、国が補填してしかるべき事態と田中龍作ジャーナルは述べています。
美食と宴会を常としていた2世3世の国会議員や貧困の経験のない官僚に任せていてはいつまで経っても何も行き届きません。
+ 沖縄タイムスの社説「新型コロナで困窮 暮らし守る直接支援を」を併せて紹介します。
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家賃が払えず、食費も尽きる 25日がヤマ
田中龍作ジャーナル 2020年3月22日
「(給料日であるはずの)25日をまたぐと大変なことになる。リーマンショックなんてもんじゃない」。長年、生活困窮者の相談にあたってきた法律家は表情を険しくした。
25日を過ぎても収入がなかったら、家賃や公共料金が払えなくなるということだ。食べ物を買う現金も尽きる。
コロナの影響で仕事がなくなる。会社都合の休業なのに賃金は払われない。コロナをもっけの幸いとばかりに雇止めにする・・・現状は違法が当たり前のようになっている。
非正規労働者は全労働者の4割を占める。その数2,187万人(総務省統計局調べ・2019年10‐12月)。今後の展開によっては大量のホームレスが発生する恐れがある。
最大の労働組合である連合は度重なる派遣法改正にも、本気で反対してこなかった。
SNS上では収入が激減したレストランにビルのオーナーが家賃を免除する話が登場して美談となった。
安倍首相のツルの一声で一斉休業、自粛となったのだから、国が補填してしかるべき事態だ。
自営業者に10万円貸し付けるという意味のない政策では、みるみる干上がってしまう。ビルオーナーの温情がいつまで続くものではない。
民の悲痛な叫びは政治の中枢に聞こえないのだろうか。
「お国がこういう時だから挙国一致で乗り切ろう」・・・野党は与党に追随する。
安倍首相に強権を与える新型インフルエンザ特措法の改正が事態を象徴していた。共産党とれいわを除く野党は、自公とともに同法の改正案に賛成した。安倍首相を名実ともに独裁者にしてしまったのである。
新聞は特措法の法案が可決成立した後になって、その危険性を指摘するありさまだった。
新聞社とテレビ局はクロスオーナーシップという甘い蜜を吸い続ける。先進国には例を見ない規制により彼らの既得権益は守られているのである。
政府に庇護されているマスコミが政府を批判できるわけがない。
野党第一党と第二党は経団連労働部の連合がオンブに抱っこする。
翼賛体制の向かう先は「一億総野垂れ死に」だろうか。
~終わり~
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社説[新型コロナで困窮]暮らし守る直接支援を
沖縄タイムス 2020年3月22日
コロナ不況の中、物入りな季節を迎え、思い悩んでいる親子が多いのではないか。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて始まった臨時休校などの影響で、シングルマザーの半数近くが家計の維持にきゅうきゅうとしている状況が、母子家庭を支援するNPO法人の調査で明らかになった。
「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」が実施したアンケートによると、「収入が減る」と見込んでいる人が43%に上り、「収入がなくなる」と回答した5%を合わせて48%となった。
子どもを預かってくれる人がいないため仕事を休まざるを得なかったり、仕事が少なくなり勤務時間を減らされたことなどの危機感を反映した内容である。給食が無くなり昼食代がかかるといった切実な声も含まれていた。
安倍晋三首相が要請した小中高校の一斉休校は、既に再開している沖縄など一部自治体を除いて、春休みまで延長するところが多い。
政府は20日に開いた感染症対策本部会合で新学期から学校再開の方針を示したが、一方で大規模イベント開催に関しては主催者に慎重な判断を求めている。
新年度から学校は始まったとしても、経済活動の停滞が勤務時間の減少につながり、非正規労働者ら立場の弱い人たちの収入を脅かす恐れがある。
既に派遣社員の「雇い止め」の相談が急増。イベント自粛などが長期化すれば雇用不安はさらに広がる。
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政府が打ち出している休業補償策は、有効に機能するのか。
子どもの世話をするために従業員が仕事を休む場合、国は事業主に対して特別な有給休暇制度を作り、休業中の賃金を全額支払うよう促している。対応すれば日額上限8330円の助成金が支払われるが、制度を作るかどうかは事業主の判断に委ねられている。賃金が助成金を上回った場合は、会社側の持ち出しとなる。
働くシングルマザーのおよそ半数がパートやアルバイトなど非正規労働者で、有給休暇が認められにくい立場にある。
企業が制度に後ろ向きで負担を避けようとすれば、補償が受けられないケースも出てくるだろう。
加えて生活費融資の支援策も、いつ終息するかが見通せない現状では、手が出しにくい。
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しんぐるまざあず・ふぉーらむなど支援団体が政府に求めているのは、子ども1人につき3万円の臨時給付金の支給だ。
ランドセルやカバン、制服、体操着、副教材費など小学校、中学校の入学準備にかかる費用は約10万円とされている。
子育て世帯にとって最もお金を必要とする時期だが、母子世帯の約4割は貯蓄がない、厳しい生活を強いられている。
現金給付という直接的支援が果たす役割は大きい。子どもの門出を祝うためにも、家計支援を急ぐ必要がある。