2020年3月25日水曜日

五輪延期を機に緊急事態宣言から都市封鎖へ ~ (世に倦む日々)

 小池都知事は、五輪の延期がほぼ確実となった途端に東京都をロックダウン(封鎖)する可能性に言及しました。直前まで五輪の中止はあり得ないと口にしていた舌の根も乾かないうちにです。
 安倍首相についても全く同様です。「検査数が圧倒的に低いのは隠蔽のため」と世界中から批判されながらも、頑として検査数を桁外れの低さに抑えてきた理由は偏に東京五輪の開催に支障がないようにするためでした(PCR検査を増やせば感染者は増加すると自らも認めています)。逆に言えば今後は感染の急拡大はいつでも演出できるので、好きな時に非常事態宣言を出せるわけです。
 共に極右として知られる都知事も首相もいまやそのフリーハンドを握りました。
 五輪の延期は都知事の再選に有利に働くと見られています。今井首席首相補佐官も、あろうことか安倍4選の可能性を探りだしたと言われています。「いまだけ、カネだけ、自分だけ」の精神は常に健在なのです。

 当初米国は水際作戦に成功したかに見えましたが、実際はそうではなく、いまや感染爆発を抑え込む能力がないことが明らかになりました(社会保険制度がないことも当然大きく影響しています)。
 その点で韓国は感染対応の途中の段階で、新興宗教団体が集会で集団感染を起こす(関連する被害は約5千人)という不幸がありましたが、感染者の早期発見・早期隔離・早期治療に努めた結果いまや増加曲線は平坦になり、中国と共に感染爆発の抑え込みに成功したと見られています。WHOはそれを評価し、フランスやスウェーデンの首相は直接文大統領に電話を入れ、同国のコロナ対策について聞いたということです。韓国はPCRキット製造競争においても欧米列強に伍して、日産10万キットの能力を持つに至ったとされています。
 安倍首相はそうした真摯な姿勢をこそ見習うべきです。
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五輪延期を機に緊急事態宣言から都市封鎖へ持ちこたえられなくなった隠蔽
 世に倦む日々 2020-03-23
他の国では懸命に検査して感染者を見つけているのに、なぜ日本だけが検査を抑えているのか。それは、感染者の数を増やしたくなかったからだ。安倍晋三も国会で、検査数を増やせば感染者の絶対数は増えると答弁していた。感染者の数を増やしたくない動機は、幾つかあるけれど、最も大きいのは、東京五輪への影響を考えて安倍晋三が最初に方針を出したという点にある。その基本方針が現在までずっと続き、御用学者や右翼やマスコミによって擁護され、さまざまな正当化の理由づけがされ、批判を受けつつ日本ではまかり通ってきた。その結果、数字の上では日本は他国と比べて感染者が少ない国となっている。だが、欧米で感染が劇的に広がり、とても7月に五輪を開催できる状況ではなくなって、東京五輪は延期の方向で調整される展開になった。ということは、検査を抑えて感染者数を無理に低く見せる必要はなくなったということだ。 

おそらく、近日中に特措法に基づく緊急事態宣言が安倍晋三の口から発表されるだろう。それに続いて、東京など都市圏で封鎖(ロックダウン・外出制限)が発動されるだろう。東京五輪の問題が半ば片づいたから、無理に感染実態を化粧して見せる必要はなくなる。封鎖発令に向けた布石として、今週からはデイリーの感染者数の急増が続き、近々の緊急事態入りを徐々に納得せしめて行くものと思われる。また、今週は封鎖による混乱を想定して対処の手を打つための準備期間となり、医療や物資流通等、行政と業界の裏側で計画が立てられるはずだ。特に東京は、いわば緊縛から解放された自由な立場になり、隠蔽していた感染者数(検査数)を増やして実情を都民に知らしめるに違いない。3月19日の専門家会議の「オーバーシュート」そのものが、大衆に向けた予告機会であり、緊急事態宣言に向けた地均しの意味を持っていたと言える。

感染対策について日本政府が何をしようとしているのか、誰が采配しているのかも含めてよく分からない。私から見れば、日本は、集団免疫の放置方針を基本にしつつ、まずはとにかく東京五輪の7月開催が優先で、そのため徹底的に感染実態を隠蔽することを推進、肝心な医療手当て等は自治体に丸投げして閑却してきた感が強い。政府には危機感がなく、対策のコンセプトが寸毫もない。政府やマスコミに危機感がない理由は、皆が安倍晋三の方を向いて仕事しているからであり、安倍晋三に気に入られるよう忖度することしか関心がないからだ。政府=専門家会議には、国民を守るための対策のコンセプトはないが、この感染症のシナリオは持っていた。私には、最初から全ての流れが一つのシナリオに沿って順に進行しているように見え、「瀬戸際」だの、「クラスター」だの、「オーバーシュート」だのの空疎な言葉を発信し、その言語を刷り込んで「説明」を信じ込ませる形で、着々とシナリオを運んでいるように見える。

そのシナリオとタイムテーブルに沿って、発表する感染者数が予め設定されていて、計画どおりに数が出るよう検査数を揃え(抑制し)てきたように見える。厚労省発表の感染者数と死者数は、意図的で操作的なプログラムされた数字であり、市中感染の発生ベースをそのまま反映させた統計値ではない。人為的な数字が並べられつつ、それを自然な発生ベースだとスリ替えて議論するトリックが行われている。専門家会議は、自ら作為的に数字を細工しながら、「この発生状況からはこう言える」と、勝手な現象分析を行い、それを政策の前提となる知見にしているのだ。日本の感染者数と死者数は中国以上に信用できない。それは、森友や加計の公文書改竄と同類であり、安倍晋三の私欲と専横に奉仕するために官僚が偽造した偽データに他ならない

専門家会議は最近になって、先週から、クラスター以外のところで感染経路を追えないケースが出てきたと強調している。だが、この説明は得心できない。東京などは、最初から、2月の時点から、感覚的には半分以上の感染者が、感染経路不明と発表されてきた。記憶を辿れば、東京で感染経路が明らかにされてきたのは、屋形船と、牧田総合病院と、佼成病院くらいではなかったか。集団感染の現場の固有名詞がニュースで明らかにされたのは、2月の僅かのケースで、後は東京の感染者の経路は報道から捨象された。2月末から焦点は北海道に移り、東京での新たな感染者の数も減る。その間、ポツリポツリと発生した感染者について、東京都が念入りに周辺を検査してクラスターを探索した気配はなく、また、相談センターに殺到するサスペクト(症状を疑う者)からの電話は片っ端から拒絶していた。日本の場合はすべてが管理されていて、感染者は政府が選ぶように計画的に出している。シナリオに沿って数字を出している。

専門家会議が「クラスター」の語を喧伝し始めたのが3月初で、そこから、大都市のPCR検査は既存クラスターに関係し接触が疑われる者ばかりが対象になり、症状を疑う一般市民からの相談はますます排除される進行になる。専門家会議の説明では、日本には15のクラスターが存在するという話だった。常識で考えて、その程度で済んでいるはずがなく、感染経路を追えないとされる個々の感染者の周辺にウィルス保持者がいなかったはずがない。2月の段階から、首都圏や大阪では感染が蔓延し、岡田晴恵の指摘どおり1万人の感染者ベースに広がっていたと見てよい。韓国の2月末の感染者数が3150人だから、中国からの入国者が多かった日本に2月末で1万人の感染者がいたとして何の不思議もない。2月中、日本は何も感染防止の対策を施さなかった。検査しなかった。市中に蔓延した感染の勢いを、休校と自粛の発令で押さえたのが3月前半の経過である。

3月中旬からは中東や欧州から帰国した感染者が目立つようになったが、それは、そこだけにPCR検査を集中しているからそうなるのであり、2月に蔓延した市中感染が完全に消えたとは考えられない。テレビで専門家会議の押谷仁が、「もう持ちこたえられない」とか言っているが、あれは、感染者の拡大抑止を持ちこたえられないのではなくて、感染者の隠蔽を持ちこたえられなくなったという意味だろう。これまで「ただの肺炎死」で処理していた隠蔽工作が難しくなり、感染者も死者も増やさざるを得なくなったという意味に違いない。日本は、検査も隔離も何もやらず、マスクや防護服の増産手当をすることもなく、国民に犠牲を引き受けさせる形でこの感染症禍を凌ごうとしているのであり、国家はレッセフェール自由放任を貫き、集団免疫でやりすごす路線を選択している。その放置政策を合理化し、あれこれと理屈にならない理屈を並べ、日本の対策は正しいと合理化しているのが専門家会議だ。

普通に考えて、日本の感染程度がシンガポール並みの低さなら、日本で都市封鎖や医療崩壊など起こるはずがないではないか。欺瞞が破綻しつつあるのである。東京の都市封鎖は間近と考えてよい。首都圏の病床は満杯になり、重症者が病院から溢れ、湖北省・ロンバルディア州的な過酷な状況になるだろう。検査と隔離を正しく行って、医療崩壊も起こさなかった韓国は、この感染症禍を克服した模範国となり、世界から賞賛されることになるだろう。


「首都封鎖もあり得る」(小池百合)・・・五輪延期が見えてきたとたんにこれだ! コロナの危機感を煽って、夏の都知事選に利用しようって腹か!?
くろねこの短語 2020年3月24日
 オリンピック延期がほぼ確実になったのを待っていたかのように、ぼったくりバーのチーママ小池君が「首都封鎖もあり得る」って言い出した。おそらく、東京の潜在的患者数ってのはかなりのレベルってことが分かっていた上での発言なのだろう。でも、開催都市がそんなことを口にしたら、オリンピック延期の責任をとらされかねないから、IOCが動き出すまでじっと口をつぐんできたのに違いない。
 そして、もうひとつは夏の都知事選だ。オリンピックが延期となれば、都知事選は一躍注目の的となりますからね。それに向けて少しでもリーダーシップを誇示したいという思惑もあるに違いない
 これは、初老の小学生・ペテン総理も同じで、オリンピック延期となれば患者数が増加しようがかまうこっちゃないってんで、コロナ・ヒステリーを煽りまくって、一気に緊急事態宣言に持っていこうという腹積もりなんじゃないのか・・・妄想だけど。

 小松左京の作品に『首都消失』があるけど、「首都封鎖」ってのはそれに匹敵するくらいオドロオドロしい響きがある。ひょっとしたら、首都圏におけるオーバーシュート(感染者の爆発的増加)の確率はかなり高いんじゃないのか。だからこその「首都封鎖」発言のような気がしてならない、火曜の朝である。