2020年3月15日日曜日

早期の財政出動に意欲を示すも具体策は示さず 首相会見

 安倍首相は14日、新型コロナウイルス感染症への対応に関する記者会見を開き、  世界経済の動向を注意深く見極めながら、機動的に必要かつ十分な経済・財政政策を間髪を入れずに講じる」と財政出動への意欲示しましが、具体策や予算規模については「政府・与党で練り上げていく」と述べるにとどめました。
 要するに具体策の提示ではなく、「今後真剣に取り組む」というポーズを示したに過ぎないもので、PCR検査体制拡大についての具体的言及もありませんでした。
 前回14日の会見で質問を途中で打ち切り不評を買ったため、今回は予定時間を大幅に超えという構図演出されましたが、メモを読み上げて答弁するスタイルは変わりませんでした。

 西日本新聞は、リーダー像のアピールを狙いワンチームで乗り越えたいなど情緒的な言葉を重ねたものの、具体性に欠けるものと評しました。
 毎日新聞も、早期に追加の財政出動する意欲を示したものの。具体策や予算規模については「政府・与党で練り上げていく」と述べるに留めたとしました。
 二つの記事を紹介します。

 註 NHKは下記のとおり政府の意向に沿った報道をしています。
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首相、丁寧な説明に腐心 新型コロナで異例の土曜会見 
西日本新聞 2020/03/15
腐心の演出が随所に見えた52分だった。改正新型インフルエンザ等対策特別措置法の施行に伴い、安倍晋三首相が14日に開いた記者会見。国民に丁寧に説明しつつ、見えない敵と立ち向かうリーダー像のアピールを狙い、「ワンチームで乗り越えたい」など情緒的な言葉を重ねた。特措法の定めに基づく私権制限への懸念などの質問に対しては、具体性に欠ける回答が目立った。

冒頭、首相は約20分間演説した。「人口1万人当たりの感染者数は中国、韓国や欧州より少ない」と国内対策の成果を強調。追加の経済対策については「思い切った措置を講じる」としたが、詳細は「総力を挙げて練り上げる」と述べるにとどめた。
続く質疑では、私権制限が可能となる特措法の緊急事態宣言の要件を問われたが、「慎重に行う」。記者からの「(ウイルス拡大抑止の)水際対策が遅れたのでは」との質問には、「適切に判断してきた」と声に力を込めて反論した。
会見場が白熱したのは、首相が記者8人の質問に答えた約40分経過後だった。
司会役の長谷川栄一首相補佐官が「会見を終わらせたい」とアナウンスすると、「まだ質問がある」と記者十数人が声を上げた。長谷川氏が「最後に1問だけ」と告げ、首相が1人に応答。その後も挙手が続くと首相は立ち去らず、長谷川氏に「まだいいんじゃないの」と促した。結局、追加で計4人に対応。国会で紛糾している検察官の定年延長問題を聞かれても、拒むことはなかった。
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新型コロナウイルスでは、2月29日に続く首相会見。2週間に2度目となる頻度も、いずれも土曜日の開催となったのも「異例中の異例」(政権周辺)と言える。
「桜を見る会」問題などではかたくなに会見を拒んできた首相だが、14日の会見は「時間に余裕があるから」と自ら開催を指示していた。「2月の前回会見で、質問を途中で打ち切ったことへの非難を拭い去りたいとの首相の強い思いがあった」と政権幹部は打ち明ける。
今年に入ってからの政権の一連のウイルス対応に対し、「後手に回った」「唐突すぎる」との批判が寄せられる中、政権の要である麻生太郎副総理兼財務相も首相に電話し、「『トゥー・レイト』(遅すぎる)なのは良くない」「総理のリーダーシップを前面に出すべきだ」と促していた。
迎えたこの日。官邸はあらかじめ予定時間を20分と短く通知しておいた上で、「大幅に時間を超えて対応」した構図を演出。首相が追加質問を受け付けるのも筋書き通りだった。公明党の斉藤鉄夫幹事長は「国民に安心を与えた」と評価。立憲民主党の福山哲郎幹事長は「不安に全く応えていない。混乱を大きくするばかりだ」と切り捨てた。 (湯之前八州、川口安子)


早期の財政出動に意欲も具体策示さず
「世界経済の落ち込み懸念」 首相会見
毎日新聞 2020年3月14日
 安倍晋三首相は14日、首相官邸で、新型コロナウイルス感染症への対応に関する記者会見を開いた。新型コロナウイルスの影響で世界的な株安や経済活動の縮小が続いていることを受け、「日本を含む世界中のマーケットが動揺しており、世界経済のさらなる落ち込みが懸念される。動向を注意深く見極めながら、機動的に必要かつ十分な経済・財政政策を間髪を入れずに講じる」と述べ、追加の財政出動に意欲を示した。だが、具体的政策や予算規模については「政府・与党で練り上げていく」と述べるにとどめた。 

 首相は「感染拡大防止が最優先だが、その後には日本経済を確かな成長軌道へと戻し、これまでにない発想で思い切った措置を講じていく。具体的な方策について、地域経済の実情を十分踏まえながら、政府・与党の総力を挙げて練り上げていく。現場の声に耳を傾けることで『ワンチーム』で現在の苦境を乗り越えていきたい」と述べた。 
 与野党からは、10兆円を超える大規模な財政出動を求める声が強まっている。米国など各国も金融緩和や大規模な財政出動を次々と明らかにしている。 
 新型コロナに関する首相の記者会見は、全国の小中高校への臨時休校要請を受けて行った2月29日に続いて2回目。【秋山信一】