自民党は延期した党大会に代わって17日、両院議員総会を党本部で開き20年運動方針を採択しました。
問題の改憲については「改正原案の国会発議に向けた環境を整えるべく力を尽くす」と決意を明記しました。安倍首相はあいさつで、「憲法改正を含めて、一致結束して全力を尽くしていきたい」と述べました。
二階幹事長は記者団に対し「このような時に『憲法改正がどうだこうだ』と持ち出すのは適当でなく、どさくさの感じがある」と語りました。
「東京五輪が中止になれば、安倍首相は好機として総選挙をするのでは」という見方があるようですが、この時期にそんな党利党略、私利私略に奔るのは狂気の沙汰です。
それとは別に野党側は、新型コロナウイルスの感染拡大は「国難だ」として、東日本大震災の際と同様に政府と各党が協議する場を設けるよう求め、追加の経済対策などを協議するため政府と与野党の連絡協議会を設置することを決めましたした。
東京新聞とNHKの記事を紹介します。
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自民、改憲推進へ運動方針を採択 両院議員総会で
東京新聞 2020年3月17日
自民党は17日、両院議員総会を党本部で開き、延期した党大会に代わって2020年運動方針を採択した。憲法について「改正原案の国会発議に向けた環境を整えるべく力を尽くす」と決意を明記。安倍晋三首相は「憲法改正を含めて運動方針にのっとり、一致結束して全力を尽くしていきたい」とあいさつし、協力を呼び掛けた。
新型コロナウイルス感染拡大に対して政府、与党一体となった取り組みも要請。「経済をV字回復させなければならない。思い切った強大な経済政策を、前例にとらわれず大胆に練り上げよう」と訴えた。(共同)
安倍首相 経済のV字回復へ 強大で大胆な政策の考え強調
NHK NEWS WEB 2020年3月17日
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、自民党が党大会に代わって開いた両院議員総会で、安倍総理大臣は、厳しい状況の経済をV字回復させるため、強大な経済政策を大胆に練り上げていく考えを強調しました。
自民党は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、今月予定していた党大会を延期し、代わって17日両院議員総会を開きました。
この中で安倍総理大臣は「経済に大きなマグニチュードの悪影響が懸念される。経済における政治の最大の責任は雇用を守ることだ。そのためにも事業の継続を可能にしなければならない。日々の生活に不安を感じている皆様に対し、セーフティーネットを強化しなければならない」と述べました。
そのうえで、「事態の変化を見極めながら、必要かつ十分な経済財政政策を間髪入れずに講じていかなければならない。今こそ自民党が力を発揮して雇用を守り抜き、厳しい状況の経済をV字回復させるため、思い切った強大な経済政策を大胆に練り上げていこうではないか」と強調しました。
そして、「世界が結束してウイルスに打ち勝った証しとして、完全な形の東京オリンピック・パラリンピックを開催しよう」と述べました。
また、安倍総理大臣は「憲法改正も含め、運動方針にのっとって一致結束して全力を尽くしていきたい」と述べました。
総会では、憲法改正原案の国会発議に向けて環境整備に力を尽くすことや、次の衆議院選挙に向けて態勢を整えることなどを盛り込んだ、ことしの運動方針を採択しました。
二階幹事長「憲法改正については落ち着いてから」
自民党の二階幹事長は、記者団に対し、「安倍総理大臣は新型コロナウイルス対策について信念を吐露していた。国民にも通じるのではないか」と述べました。
一方、憲法改正について、「このような時に『憲法改正がどうだこうだ』と持ち出すのは適当でなく、どさくさの感じがある。もう少し落ち着いてから対応すべきことではないか。じっくり対応していけばいい」と述べました。
岸田政調会長「五輪延期は全く考えず」
自民党の岸田政務調査会長は記者団に対し、「安倍総理大臣のあいさつは現状への強い危機感と新たな経済対策への強い思いが表れていた。党としても意欲的な対策をまとめて、政府の対策に反映させられるよう取り組みたい。東京オリンピック・パラリンピックの延期などは全く考えておらず、予定どおり成功裏に終えられるよう努力したい」と述べました。
石破元幹事長「今は感染拡大防止と雇用」
自民党の石破元幹事長は、記者団に対し、「安倍総理大臣のあいさつでは憲法改正についてほとんど言及がなかったが、今は感染拡大を防ぎ、雇用が失われないようにするという2つ以外にない。簡素でよかったと思う」と述べました。
また、東京オリンピック・パラリンピックについて、「万が一、開催できないとなれば、日本に与える影響は計り知れないものがある。予定どおり開催できるよう、あらゆる手だてを講じることに尽きる」と述べました。
政府と与野党の「連絡協議会」を設置 近く初会合へ
NHK NEWS WEB 2020年3月17日
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、与野党の幹事長や書記局長らが会談し、追加の経済対策などを協議するため、政府と与野党の連絡協議会を設置することを決めました。
会談には、自民・公明両党のほか、立憲民主党、国民民主党、共産党、日本維新の会、社民党の幹事長や書記局長らが出席しました。
この中で、野党側は、新型コロナウイルスの感染拡大について「国難だ」として、東日本大震災の際と同様に、政府と各党が協議する場を設けるよう求めました。
そのうえで、ウイルス検査の拡充や、フリーランスの人などへの給付措置、それに、事業者の資金繰り対策などを講じるよう要請しました。
これに対し、与党側は「新型コロナウイルスへの対応を一致協力して進めていきたい」として、追加の経済対策などを協議するため、政府と与野党の「連絡協議会」を設置し、近く初会合を開くことを決めました。
与野党は今後、メンバーなどを調整することにしています。
自民 二階幹事長「しっかり協力と約束してやっていく」
自民党の二階幹事長は、記者団に対し「経済対策がいちばん大きいが、法律を作らなければならない場合もある。与野党が対立し、思うように進まないのでは、国民に申し訳ない。与野党がしっかり協力してやっていく約束ができたことはよかった」と述べました。
立民 福山幹事長「野党の意見を取り入れてもらいたい」
立憲民主党の福山幹事長は記者団に対し「国会の行政監視機能を維持しながら、協力できるところでは要望を伝えることが非常に重要で、その役割を果たしていきたい。今後出てくるであろう補正予算や緊急対策に、野党の意見を取り入れてもらいたい」と述べました。
国民 平野幹事長「経済対策を早く進めるよう提言」
国民民主党の平野幹事長は記者団に対し「国難に対しては与党も野党もないという立場から協議会の設置を決めた。株価の急落などの経済危機に、しっかり対応することが国会としての責務であり、党としても経済対策を早く進めるよう提言する」と述べました。
公明 斉藤幹事長「素早く決断できるようになる」
公明党の斉藤幹事長は記者団に対し「今後の対策について、与野党で協議することで素早く決断できるようになる。こうした体制ができたのは、大変いいことではないか」と述べました。
維新 馬場幹事長「全面的に協力する」
日本維新の会の馬場幹事長は記者会見で「早期の協議会の設置を求めてきたので、やや遅きに失した感はあるが、歓迎すべきことであり、全面的に協力する。企業の資金調達や、自粛したイベントへの補償などについて検討するよう求めたい」と述べました。
共産 小池書記局長「中小の事業者などへの支援策を訴える」
共産党の小池書記局長は記者会見で「安倍政権の政治姿勢については、追及の手はいささかも緩めないが、国民が大きな不安を抱える問題を議論する場を作ることには意義がある。生活困窮世帯や中小の事業者などへの支援策を訴えたい」と述べました。
社民 吉田幹事長「知恵を出し合って施策を進める」
社民党の吉田幹事長は記者団に対し「まさに国難であり、与野党で知恵を出し合って、施策を進めることが必要だ。非正規雇用やフリーランスの人たちなどにも、できることはすべてやる。建設的に議論し、決まったことはすぐに実行したい」と述べました。