LITERAによれば8日夜、厚労省が公式ツイッターで
〈新型コロナウイルス感染症の「相談・受診の目安」が、「PCR検査」の能力との関係で厳しく設定されているとの報道がCNNなどでありました。しかしながら、両者は別のものです。〉
〈検査体制能力については、国立感染症研究所・検疫所に加え、地方衛生研究所、民間検査会社や大学などの協力を得ながら、1日6,000件を超えています。そして現在も、検査能力を拡大しています。〉
と述べたということです。しかし東洋経済オンランの「新型コロナウイルス国内感染の状況 コーナー」 https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/ によると、PCR検査の累積件数が3月5日に6000件を超えたということであって、1日当たりの検査数は、直近の4日間でも僅かに7日-583件、8日-147件、9日-110件、10日-1341件に過ぎません。累積の件数を1日当たりの件数と偽るのは大ボラというしかありません。
そもそも厳しい関門を経てようやく実施された検査が1日6000件も以上もあるのであれば、1日当たりの平均で新規感染者が僅か36人(7日~10日の平均)に留まるということはあり得ません。
「相談・受診の目安」と「PCR検査」の能力は別のものなどと、愚にもつかない(で意味も不明の)ことを書くのではなく、なぜそんなに少ないのかの理由をこそ厚労省は明らかにすべきでしょう。
いずれにしても厚労省担当者の間違いだらけの投げやりな態度は異常です。意に染まない仕事を無理やり押し付けられたからとしか思われません。
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厚労省が『モーニングショー』に続きCNNにイチャモン!
官邸の「言論弾圧」指示で日曜夜にわざわざツイート
LITERA 2020.03.10
やっぱり安倍政権はこれからもメディアに圧力をかけまくるつもりらしい。新型コロナ報道で、厚生労働省、内閣官房、自民党広報のSNSが『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)や『Nスタ』(TBS)などの番組名を名指しして反論。その反論じたいがデマだったことが発覚して「官製デマによる批判封じ」「番組名を名指しするのは萎縮効果を狙った言論弾圧」などと批判を浴びているが、そのさなか、厚生労働省のSNSがまたも、メディアを名指しして反論したのだ。
今度の標的は、CNNに中央日報という海外メディアだ。まず、3月8日21時59分、厚労省の公式ツイッターがこんなツイートをした。
〈新型コロナウイルス感染症の「相談・受診の目安」が、「PCR検査」の能力との関係で厳しく設定されているとの報道がCNNなどでありました。しかしながら、両者は別のものです。〉
〈検査体制能力については、国立感染症研究所・検疫所に加え、地方衛生研究所、民間検査会社や大学などの協力を得ながら、1日6,000件を超えています。そして現在も、検査能力を拡大しています。〉
「日本だけが相談・受診のハードルを高く設定したのは、政府のPCR検査体制の能力が低いからではない」ということらしいのだが、いったいどの口でこんなことが言えるのか。そもそも厚労省自身が検査体制がまったく追いついていないことを認めていたはずだ。厚労省は検査が当初、「人員や試薬が不足し、フル稼働できなかった」と述べている(日本経済新聞3月1日付)。実際は民間に委託るなど体制を整えれば、検査数を飛躍的に伸ばすことは可能だったのだが、厚労省が政府機関の検査にこだわったため検査数は当初、1日300件程度が限界だった。
厚労省は現在、「検査体制能力は1日6000件を超えている」などといっているが、実際の検査数は3月に入っても4日に3800人を記録しただけで、あとは1日数百人以下にとどまっている。結局、今回もまた、自分たちの不備をごまかすため、論評を頭から否定し、ごまかしの情報を垂れ流しただけなのだ。
さらに厚労省は、この直後にも、やはりCNNと中央日報の記事を否定にかかっている。厚労省が問題にしたのは、CNNが北海道大学・西浦博教授への取材をもとに「日本の感染者数は氷山の一角」と報じ、中央日報がそのCNNのニュースを受けて、「日本の感染者は1万人以上」と書いたことだった。
厚労省は〈3月6日 CNN[日本で発表の感染者数は「氷山の一角」専門家が検査態勢の強化促す]などについて、CNNのインタビューを受けられた西浦教授の考えは以下のとおりです〉とツイート。厚労省HPに、西浦教授がCNNと中央日報の報道内容を「明確に誤りです」などと否定した文書を公開した。
しかし、内容を読むと、西浦教授は「北海道の感染者は報告の10 倍を超える程度」と語ったことは認めていて、「同様の推定を日本全体に妥当性をもって適用することは困難」と述べているにすぎない。中央日報については、クルーズ船を含む感染者数に10倍をかけて「1万人以上」としているので、たしかに無理があるが、CNNのほうはどうみても、報道内容が否定されるものではない。
だいたいこうした推測が飛び交っているのは、政府がきちんとした検査をしようとせず、感染者数の数字だけを低く抑え込んでいることに不信感がもたれているからではないか。それをいちいちメディアを名指しして否定にかかるとは、報道圧力以外の何物でもない。しかも、これ、日曜日の夜中のことである。日曜出勤して、こんなものにエネルギーを費やしている暇があったら、それこそ医療体制やマスク供給体制を整えろ、という話だろう。
安倍首相は圧力指示否定のため「私はほとんどテレビを見ている時間がない」とおとぼけ
しかし、官僚がこうした本末転倒な動きをしているのは、すべて「官邸の指示」があるためだ。
そのことは本サイトが『モーニングショー』への一斉攻撃があった直後から指摘しているし、毎日新聞も3月7日朝刊で「新型コロナ 政府、ワイドショーに何度も反論 官邸幹部が指示」と打っている。同紙によると、首相官邸幹部が「事実と異なる報道には反論するよう指示した」と明かしたという。
「指示した首相官邸幹部は、“影の総理”の異名を持つ今井尚哉首相補佐官ではないかと言われている。これまでのパターンだと、メディアに圧力をかけるのは菅義偉官房長官の役目だが、最近、菅官房長官は安倍首相から外され気味で、コロナ対応はほとんど今井補佐官が仕切っている。ところが、その対応策がことごとく裏目に出ているため、今度は必死になって批判を潰そうとしはじめたということだろう」(全国紙政治部デスク)
いずれにせよ、状況から考えて、首相官邸から各省庁に「反論しろ」と指令がいっていたのは明らかであり、これは紛れもなく、安倍政権が自分たちの失態を隠すための批判封じ込め、言論弾圧に動いていたのは間違いない。
しかも、安倍政権はこの『モーニングショー』への一斉攻撃が批判を浴びたあとも、一向に反省する姿勢を見せず、開き直り続けてきた。菅官房長官は記者会見で「事実関係の誤りを指摘するなど政府から必要な発信をすることが自由な論評を阻害することになるとは考えられない」と強弁し、安倍首相も昨日9日の国会で「そもそも私はほとんどテレビを見ている時間はございませんから」などととぼけたうえ、「事実関係を間違って伝えられることによって、不安を呼び起こすこともありうる。政府はしっかりと正しい情報を発信していくのは当然の役割ではないか」などと、圧力を正当化した。
一時は相当に追い詰められていた安倍政権だが、内閣支持率が予想ほど落ち込んでいないことに、安倍首相は自信を取り戻していると聞く。中身のない“やってる感”演出とともに、このメディアへの言論弾圧もこれからさらにエスカレートしていく可能性が高い。 (編集部)