2020年3月28日土曜日

自死された関西財務局職員の奥さんが再調査を求めるネット署名を開始

 森友事件をめぐ公文書改ざんを強制されて命を絶った財務省近畿財務局の赤木俊夫さん(享年54歳)の妻、昌子さん(仮名)が代理人の弁護士とともに「なぜ自死に追い込まれたのか、第三者委員会を立ち上げ公正中立な調査を実施して下さい」と要求するインターネット署名を立ち上げました。
 YAHOO NEWSを紹介します(文中の太字強調は原文に拠っています)。
 文中にもありますがネット署名は下記にアクセスすれば出来ます。
 記事の右欄赤帯の「賛同する」をクリックすることで電子署名が行われます。
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森友事件で自死 財務局職員の妻がネットで再調査求める署名活動開始

相澤冬樹 YAHOO NEWS  2020/3/27

 性暴力被害者への支援など様々なキャンペーンについてインターネット上で賛同の署名を募るサイトとして有名なChange.org(チェンジ・ドット・オーグ)。そこにきょう27日、新たな署名活動への賛同を求める呼びかけが登録された。その題は「私の夫、赤木俊夫がなぜ自死に追い込まれたのか。有識者によって構成される第三者委員会を立ち上げ、公正中立な調査を実施して下さい!」
 そう、これは、森友事件をめぐる公文書改ざんを無理強いされて命を絶った財務省近畿財務局の上席国有財産管理官、赤木俊夫さん(享年54歳)の妻、昌子さん(仮名)が代理人の弁護士とともに立ち上げたものだ。昌子さんはこの活動で何を訴えているのか?全文を掲載する。

赤木俊夫さんの妻が訴える真相解明

              「二度と夫のような方が現れないように」

 私の夫、赤木俊夫は2018月3月7日に自死しました。
 私は夫の自死によって体の半分をもぎ取られたような苦痛を受けました。その苦痛は今も続いています。
 優しかった夫がなぜ自死に追い込まれたのか、私には知る権利がありますし、知る義務があると思います。
 財務省は2018年6月4日に「森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書」を発表しました。しかし、この報告書の内容は曖昧で、なぜ夫が自死に追い込まれたのか、その経緯や原因を知ることはできません。
 私は、発表から4か月もたった後、この報告書を作成した職員から説明を受けました。その職員の方は、夫が遺した手記や遺書を読まずに報告書を作成したと仰っていました。しかし、夫の手記や遺書を読まずに作った報告書に信用性は無いと思います。
 私は、2018年10月以降、佐川宣寿さんに対して3回、決裁文書の改ざんを指示した経緯に関する説明と謝罪をお願いしました。しかし返答はありませんでした。
 夫の自死は公務災害と認められましたが、自死に追い込まれた理由を知りたくて情報開示請求をしても、資料の大部分は真っ黒にマスキングされていました。
 やむを得ず、私は、2020年3月18日、夫がなぜ自死に追い込まれなければならなかったのか、その原因と経緯を明らかにするため、国と佐川宣寿さんを被告とする民事訴訟を提起しました。
 しかし、国や佐川宣寿さんが民事訴訟で私の請求をそのまま認めてしまえば、真相解明のための証人尋問や、夫が作成したとされるファイルについての文書提出命令の機会も与えられず、民事訴訟が終わってしまう可能性もあります。
 また、民事訴訟提起後の報道によると、安倍総理や麻生財務大臣は再調査はしないと仰っています。私は「この2人は調査される側で、再調査しないと発言する立場ではないと思います」というメモを発表しましたが、それでも再調査が実施される見通しは現在のところありません。
 このままでは夫の死が無駄になってしまいます。
 そこで、有識者や専門家(弁護士、大学教授、精神科産業医など)によって構成される第三者委員会を立ち上げ、公正中立な調査を実施して下さい。
 地方自治体や民間企業では、過労自殺が発生した多くのケースにおいて、第三者委員会を立ち上げ、公正中立な調査を実施しています。
 決裁文書の改ざんはなぜ行われたのか、誰のどのような指示に基づいて夫はどのような改ざんを行わざるを得なかったのか、改ざんにかかわった人達はどのような発言をして何を思ったのか、改ざんによる自責の念に苦しんでいた夫に対して財務省や近畿財務局は支援ができなかったのか、うつ病で休職していた夫をフォロー出来なかったのかなど、夫がなぜ自死に追い込まれなければならなかったのか、その原因と経緯が明らかになることを私は心から望んでいます。そして、夫もきっとそのことを望んでいると思います。
 夫と同じように文書改ざんに多かれ少なかれ関与した職員や、改ざんに関与した職員でなくても現場で詳細を知っている職員がおられます。上司の内部調査では言えない方もかなりおられると聞いていました。

 公文書改ざんは「あってはならない」と安倍総理や麻生財務大臣が仰るのであれば、二度と夫のような方が現れないためには真実を解明することが、二度と「あってはならない」為の再発防止策であると考えています。
 二度と夫のような方が現れないように、どうか皆様の力を貸してください。宜しくお願い致します。

 

赤木さんの訴えに共感と賛同のメッセージ続々

 この赤木昌子さんの訴えに対し、早くも続々と賛同の署名が寄せられているほか、応援のメッセージも書き込まれている。
国のために働いた一人の人間の死の真相を知りたいという思いを汲みとれる社会であってほしいと思います。
事実が闇の中に入り、まったくわからない。政府が全て白日のもとにさらすことを要求します。情けない。
●赤木さんの様な、正直で仕事に真摯に取り組んでいた人が、なぜこんな風に亡くならなくてはならなかったのでしょうか。真実はひとつです。ぜひ、明らかにして欲しいと思っています。また、奥様の勇気には本当に敬服いたします。私も心から応援しております。

代理人弁護士「お金ではなく賛同の署名を」

 赤木昌子さんの代理人で、署名の呼びかけ人にも名を連ねている生越照幸弁護士は次のように話す。
「赤木さんを支援したい、裁判費用を援助したいという申し出が私のところにも多数来ています。ありがたいと思いますが、原告の赤木さんは金銭の支援を望んでいませんので、丁重にお断りしています。お金ではなく、ぜひ真相究明、第三者による再調査をしてほしいというこの署名活動に賛同してください。それが赤木昌子さんも亡くなった俊夫さんも一番喜ぶし励みになると思います」
 署名の募集は以下のサイトで行っている。

週刊文春にもメッセージ多数 先週号は完売御礼

 最初に赤木さんの手記を全文掲載した週刊文春編集部にも、大阪日日新聞にも、応援のメッセージが相次いでいる。手記と妻、昌子さんの思いを掲載した週刊文春の先週号は2年半ぶりに完売御礼となった。

 その後も「記事が読みたい」という問い合わせが相次ぎ、編集部は急きょ、先週号の記事「妻は佐川元理財局長と国を提訴へ 森友自殺<財務省>職員遺書全文公開『すべて佐川局長の指示です』」の全文について、文春オンラインでの無料公開を始めた。発売中のメイン記事を無料で全文公開するのは文春史上初めて
 さらに文春オンラインは急きょ、昌子さんが求める公文書改ざんの再調査に賛成か反対か、アンケート調査を実施したという。その結果、回答総数939票で、再調査に「賛成」が824票(87.8%)、「反対」は115票(12.2%)。昌子さんの願いに共感が広がっているようだ。
 文春オンラインの読者アンケートでここまで結果に偏りが出ることはまずないという。何もかも超異例の事態が続いている。その記事は以下の通り。
 週刊文春の今週26日発売号では、森友事件の本丸と言える国有地の8億円値引き売却について、当時の売却担当者が「算出に問題がある」「撤去費用が8億になるという確証がない」と述べていたという新事実を紹介している。
「新事実はない」と言う安倍首相と麻生財務大臣は、これらの新事実を前にどう語るのだろうか?

 相澤冬樹  大阪日日新聞編集局長・記者(元NHK記者)
1962年宮崎県生まれ。1987年NHK記者に。山口、神戸、東京、徳島、大阪で勤務。神戸で阪神・淡路大震災を取材。大阪でJR福知山線脱線事故を取材。大阪司法記者クラブ担当の2017年に森友事件に遭遇して取材を進めるが、2018年記者を外されてNHKを退職。この時の経緯を「安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由」(文藝春秋刊)という本にまとめた。現在、大阪日日新聞に務めながらYahoo!ニュースをはじめ日刊ゲンダイや週刊文春など様々な媒体で記事を書いている。