2020年3月20日金曜日

「森友問題」自殺した関西財務局職員の遺族が国に賠償を請求

「森友学園」への国有地売却を巡る財務省の決裁文書改ざん問題で、18年3月に自殺した近畿財務局の男性職員の妻が18日、国と佐川宣寿・元国税庁長官に計約1億1000万円の損害賠償を求める訴訟を起こしました。遺族は、自殺に追い込まれた原因を明らかにしてほしいと訴えています。
 また18日発売の「週刊文春」では同職員の遺書や、決裁文書の改ざんは「すべて、佐川局長の指示です」と書かれた手記などを公表しました。
 この問題は即日国会でも取り上げられ、野党は、財務省がまとめた報告書はこれらの遺書・手記の内容とかなり違うと追及しましたが、財務省側は「調査を尽くした結果を示した。新たな事実は見つかっていないと考えられることから、再調査を行うことは考えていない」と突っぱねました。

 財務省が計14の公文書を改竄したのは、安倍首相が国会で「私や妻が関わっていたら総理も議員も辞める」と高言した直後から始まりました。
 安倍首相は同記者団に「麻生大臣の下、財務省で事実を徹底的に明らかにしたが、改ざんは二度とあってはならず、今後もしっかりと適正に対応していく」と答えました。いつもながら何とも驚くべき神経です。「盗人猛々しい」とはこういうことを指すのでしょう。

 野党の共同会派は18日、自殺した近畿財務局職員の遺書全文が報じられ、妻が国を提訴したことを受け、「森友問題再検証チーム」を立ち上げました。これを機に欺瞞に満ちた財務省の報告書で済まされたこの問題を徹底的に洗い直してほしいものです。


 職員は遺書の他に2通の手記を残しました。それについて関西NHKが極めて長文の記事(約6700字)を載せています。

 毎日新聞、しんぶん赤旗、関西NHKの記事を紹介します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
森友問題 自殺職員の妻が国と元国税庁長官を提訴 
「すべて佐川氏の指示」と手記
毎日新聞 2020年3月18日
 学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却を巡る財務省の決裁文書改ざん問題で、2018年3月に自殺した近畿財務局の男性職員の妻が18日、国と佐川宣寿・元国税庁長官に計約1億1000万円の損害賠償を求め、大阪地裁に提訴した。遺族は、自殺に追い込まれた原因を明らかにしてほしいと訴えている

裁文書改ざんを巡る問題の経緯
 男性職員は、近畿財務局の上席国有財産管理官だった赤木俊夫さん(当時54歳)。遺族側は、赤木さんが残した手記や遺書を公表した。上司の指示で文書を書き換えさせられたとして「すべて佐川氏の指示だった」などとつづられている。
 訴状などによると、赤木さんは国有地売買の交渉・契約を担当する部署に所属。大阪府豊中市の土地が大幅に値引きされて学園に売却された問題が発覚した17年2月以降、何度も指示を受けて改ざん作業をさせられた。手記には指示に抵抗した経緯が記され、「経験したことがないほど異例な事案」「財務省が国会等で虚偽の答弁を貫いている」などと書かれている。

 赤木さんは体調を崩し、17年7月から休職。改ざんが報道で表面化した直後の18年3月7日、自宅で命を絶った。遺書には「手がふるえる 恐い 命 大切な命 終止符」などと記されている。
 改ざんを巡っては、財務省が18年6月、理財局長だった佐川氏=発覚後に国税庁長官を辞任=が主導したとする調査報告書を公表。17年2~4月にかけて文書14件が改ざんされ、安倍晋三首相の妻昭恵氏の名前などが削除されていた。
 告発を受けた大阪地検特捜部は有印公文書変造などの容疑で捜査したが、佐川氏や改ざんに関与した財務省職員ら計38人全員を不起訴処分にした。【松本紫帆、山本康介】


野党が「再検証チーム」 「発端は首相答弁」 真相解明へ
「命じた側は誰も責任とらず出世。こんな不条理許せぬ」
しんぶん赤旗 2020年3月19日
 日本共産党と、立憲民主党、国民民主党、社民党などの共同会派は18日、財務省による森友公文書改ざんに関与し自殺した近畿財務局職員の遺書全文が報じられ、妻が国を提訴したことを受け、「森友問題再検証チーム」を立ち上げ、国会内で記者会見しました。

 座長に川内博史衆院議員、事務局長に今井雅人衆院議員(共に共同会派)が就き、共産党から大門実紀史参院議員(副座長)、清水忠史衆院議員(副事務局長)が加わります。
 会見で、遺書について「大変な衝撃を改めて受けた」と切り出した川内氏は、遺書には、佐川宣寿・財務省理財局長(当時)が改ざんを指示したと明記してある一方で、財務省の調査報告書は「佐川氏の指示」を明確に認めていないと指摘。「財務省の確認した事実は真実ではない。全ては安倍晋三首相の『自分や妻が関わっていたら総理も議員も辞める』との答弁に端を発しており、全責任は安倍首相にある。現地調査やヒアリングを通じて真相を明らかにしたい」と述べました。
 清水氏は、国有地の不当値引きや公文書改ざんの背景に、安倍首相の妻・昭恵氏の関与や首相答弁があると指摘。「まじめに働いてきた職員が苦悩の末に命を絶ち、改ざんを命じた側は誰ひとり責任を取らずに出世した。このような不条理を絶対に許すわけにはいかない。他の野党と協力して徹底追及する」と決意を述べました。
 共同会派の森ゆうこ参院議員(副座長)は、「苦しんだ職員の思いに応え、再検証に力を合わせたい」と述べました。


森友問題で自殺職員の手記公表
関西NHK NEWS WEB  2020年3月18日
財務省の決裁文書の改ざんに関与させられ、自殺した近畿財務局の男性職員が改ざんの経緯などを書き残していた「手記」などを遺族が公表しました。
国会での追及をかわすため財務省の本省が主導して、抵抗した現場の職員に不正な行為を押しつけていた内情が克明に記されています。

公表されたのは、森友学園に関する財務省の決裁文書の改ざんに関与させられた近畿財務局の職員で、おととし3月、改ざんが発覚した5日後に自殺した赤木俊夫さん(当時54)が書き残していた「手記」と「遺書」です。
「手記」は2種類あり、自殺した日の日付の手書きのものには「今回の問題はすべて財務省理財局が行いました。指示もとは佐川宣寿元理財局長と思います。学園に厚遇したととられかねない部分を本省が修正案を示し現場として相当抵抗した。事実を知っている者として責任を取ります」などと記されています。
また、もう1つの「手記」はパソコンで7ページにまとめられたもので、「真実を書き記しておく必要があると考えた」との書き出しで始まります。
学園との国有地取り引きが国会で問題化する中、野党の追及をかわすために財務省本省が指示していた不正行為の実態について、財務局の現場の職員の視点で細かく記されています
この中では、実際には保管されていた学園との交渉記録を国会にも会計検査院にも開示しないよう最初から指示されていたと明かしたうえで、事後的に記録が見つかったとする麻生財務大臣など幹部の国会での説明に対し、「明らかな虚偽答弁だ」という認識を記しています。
さらに、「虚偽の説明を続けることで国民の信任を得られるのか」と、財務省の姿勢に疑問を投げかける記述や、「本省がすべて責任を負うべきだが最後は逃げて、財務局の責任にするのでしょう。怖い無責任な組織です」と組織の体質を批判する記述もあります。
そして、最後に手記を残す理由について、「事実を知り、抵抗したとはいえ関わった者としての責任をどう取るか、ずっと考えてきました。事実を、公的な場所でしっかりと説明することができません。今の健康状態と体力ではこの方法をとるしかありませんでした。55歳の春を迎えることができない儚さと怖さ」と締めくくっていて、死を覚悟してまでも自身の責任を果たそうとした赤木さんの思いが読み取れます。

一方、「遺書」はすべて手書きで3通あり、家族に宛ててこれまでの感謝の気持ちを記したもののほか、1通は「森友問題」という書き出しで、「理財局の体質はコンプライアンスなど全くない これが財務官僚王国 最後は下部がしっぽを切られる。なんて世の中だ。手がふるえる。恐い 命 大切な命 終止符」と財務省への憤りが記されています。

【「手記」の詳細】。
自殺した近畿財務局の職員、赤木俊夫さんが書き残した「手記」の主な内容です。
「手記」は手書きの2ページのものと、パソコンでまとめた7ページのものの2種類があります。
このうち手書きのものは、赤木さんが自殺したおととし(平成30年)3月7日の日付になっています。
この中では
【今回の問題はすべて財務省理財局が行いました。
指示もとは佐川元理財局長と思います。
学園に厚遇したととられかねない部分を本省が修正案を示し現場として相当抵抗した。
事実を知っている者として責任を取ります】
などと記されています。
一方、パソコンでまとめた「手記」は「真実を書き記しておく必要があると考えた」という書き出しで始まります。
【はじめに私は、昨年(平成29年)2月から7月までの半年間、これまで経験したことがないほど異例な事案を担当し、その対応に、連日の深夜残業や休日出勤を余儀なくされ、その結果、強度なストレスが蓄積し、心身に支障が生じ、平成29年7月から病気休暇(休職)に至りました
これまで経験したことがない異例な事案とは、今も世間を賑わせている「森友学園への国有地売却問題」です。
本件事案は、今も事案を長期化・複雑化させているのは、財務省が国会等で真実に反する虚偽の答弁を貫いていることが最大の原因でありますし、この対応に心身ともに痛み苦しんでいます。この手記は、本件事案に関する真実を書き記しておく必要があると考え、作成したものです。】

▽「森友学園問題」が社会問題化する経緯を記したあと、籠池前理事長ら森友学園側との交渉は、現場の近畿財務局ではなく財務省が主導したとしています。
【全ては本省主導国有地の管理処分等業務の長い歴史の中で、強烈な個性を持ち国会議員や有力者と思われる人物に接触するなどのあらゆる行動をとるような特異な相手方で、これほどまで長期間、国会で取り上げられ、今もなお収束する見込みがない前代未聞の事案です。
そのため、社会問題化する以前から、当時の担当者は、事案の動きがあった際、その都度本省の担当課に応接記録(面談等交渉記録)などの資料を提出して報告しています。
したがって、近畿財務局が、本省の了解なしに勝手に学園と交渉を進めることはありえないのです。】

▽続いて、国会対応にあたった財務省の内情を明かし、佐川氏から野党の追及をかわすために財務局に保管されている文書を開示しないよう指示があったとしています。
【国会対応平成29年2月以降ほとんど連日のように、衆・参議院予算委員会等で、本件事案について主に野党議員から追及(質問)されます。
世間を騒がせ、今も頻繁に取り上げられる佐川(前)理財局長が一貫して「面談交渉記録(の文書)は廃棄した」などの答弁が国民に違和感を与え、野党の追及が収まらないことの原因の一つとなっています。
この資料(応接記録)を文書管理規則に従って、終始「廃棄した」との説明(答弁)は、財務省が判断したことです。その理由は、応接記録は、細かい内容が記されていますので、財務省が学園に特別の厚遇を図ったと思われる、あるいはそのように誤解を与えることを避けるために、当時の佐川局長が判断したものと思われます
佐川理財局長の指示により、野党議員からの様々な追及を避けるために原則として資料はできるだけ開示しないこと、開示するタイミングもできるだけ後送りとするよう指示があったと聞いています。
(現場の私たちが直接佐川局長の声を聞くことはできませんが、本省国有財産審理室補佐からは、局長に怒られたとよく言っていました。)
また、野党に資料を提出する前には、国会対応のために、必ず与党(自民党)に事前に説明した上で、与党の了承を得た後に提出するというルールにより対応されていました。】

会計検査院の特別検査に対しても、保管されている記録を見せないよう、財務省本省の指示があったとし、この検査をめぐる財務省幹部の国会答弁は虚偽だとしています。
【会計検査院への対応国会(参議院)の要請を受けて、近畿財務局が本件事案に関して会計検査院の特別検査を、昨年平成29年4月と、6月の2回受検しました。
この時、法律相談の記録等の内部検討資料が保管されていることは、近畿財務局の文書所管課等の全ての責任者(統括法務監査官、訟務課長、統括国有財産管理官)は承知していました。
したがって、平成30年2月の国会(衆・予算委員会等)で、財務省が新たに議員に開示した行政文書の存在について、麻生財務大臣や、太田理財局長の説明「行政文書の開示請求の中で、改めて近畿財務局で確認したところ、法律相談に関する文書の存在が確認された」(答弁)は、明らかに虚偽答弁なのです。
さらに、新聞紙上に掲載された本年1月以降に新たに発覚したとして開示した「省内で法的に論点を検討した新文書」について、本年2月19日の衆院予算委員会で、太田理財局長が「当初段階で、法務担当者に伝え、資料に気付く状況に至らなかった。
法務担当に聞いていれば(文書の存在)に気付いていたはずだ」との答弁も全くの虚偽である。
それは、検査の際、この文書の存在は、法務担当に聞かなくても、法務担当以外の訟務課・統括国有財産管理官は作成されていることを当然認識しています。
これも近畿財務局は本省主導で資料として提示しないとの基本的な対応の指示に従っただけなのです。】

▽国会や会計検査院に対し、虚偽の説明を続ける財務省の姿勢に、赤木さんは太い文字で「疑問」を投げかけています。
【(疑問)財務省は、このまま虚偽の説明を続けることで国民(議員)の信任を得られるのか。
当初、佐川理財局長の答弁がどこまでダメージコントロールを意識して対応されていたかといえば、当面の国会対応を凌ぐことだけしか念頭になかったのは明らかです。】
【財務省は前代未聞の「虚偽」を貫く平成30年1月28日から始まった通常国会では、太田(現)理財局長が、前任の佐川理財局長の答弁を踏襲することに終始し、国民の誰もが納得できないような詭弁を通り越した虚偽答弁が続けられているのです。
現在、近畿財務局内で本件事案に携わる職員の誰もが虚偽答弁を承知し、違和感を持ち続けています。
しかしながら、近畿財務局の幹部をはじめ、誰一人として本省に対して、事実に反するなどと反論(異論)を示すこともしないし、それができないのが本省と地方(現場)である財務局との関係であり、キャリア制度を中心とした組織体制のそのもの(実態)なのです。
本件事例を通じて、財務省理財局(国有財産担当部門)には、組織としてのコンプライアンスが機能する責任ある体制にはないのです。】

▽そして、みずからも関わることになった「決裁文書の改ざん」の経緯の説明に移っていきます。
決裁文書の修正(差し替え)元は、すべて佐川理財局長の指示です。
局長の指示の内容は、野党に資料を示した際、学園に厚遇したと取られる疑いの箇所はすべて修正するよう指示があったと聞きました。
佐川理財局長の指示を受けた、財務省本省理財局幹部、補佐が過剰に修正箇所を決め、補佐の修正した文書を近畿局で差し替えしました。
第一回目は昨年2月26日(日)のことです。
当日15時30分頃、出勤していた統括官から本省の指示の作業が多いので、手伝ってほしいとの連絡を受け、役所に出勤(16時30分頃登庁)するよう指示がありました。
その後の3月7日頃にも、修正作業の指示が複数回あり現場として私はこれに相当抵抗しました
管財部長に報告し、当初は応じるなとの指示でしたが、本省理財局の総務課長をはじめ国有財産審理室長などから部長に直接電話があり、応じることはやむを得ないとし、美並近畿財務局長に報告したと承知しています。
美並局長は、本件に関しては全責任を負うとの発言があったと部長から聞きました。
部長以外にも、次長ら管財部幹部はこの事実をすべて知っています。
本省からの出向組の次長は、「元の調書が書き過ぎているんだよ。」と調書の修正を悪いこととも思わず、本省の補佐の指示に従い、あっけらかんと修正作業を行い、差し替えを行ったのです。
(大阪地検特捜部はこの事実関係をすべて知っています)これが財務官僚機構の実態なのです。
パワハラで有名な佐川局長の指示には誰も背けないのです。
佐川局長は、修正する箇所を事細かく指示したかどうかはわかりませんが、補佐などが過剰反応して、修正範囲をどんどん拡大し、修正した回数は3回ないし4回程度と認識しています。
役所の中の役所と言われる財務省でこんなことがぬけぬけと行われる。】

▽さらに森友学園をめぐる問題を主導した財務省の姿勢や、組織の体質への痛烈な批判が続きます。
【森友事案は、すべて本省の指示、本省が処理方針を決め、国会対応、検査院対応すべて本省の指示(無責任体質の組織)と本省による対応が社会問題を引き起こし、嘘に嘘を塗り重ねるという、通常ではあり得ない対応を本省(佐川)は引き起こしたのです。
この事案は、当初から筋の悪い事案として、本省が当初から鴻池議員などの陳情を受け止めることから端を発し、本省主導の事案で、課長クラスの幹部レベルで議員等からの要望に応じたことが問題の発端です。
いずれにしても、本省がすべて責任を負うべき事案ですが、最後は逃げて、近畿財務局の責任とするのでしょう。
怖い無責任な組織です。】

▽そして【刑事罰、懲戒処分を受けるべき者】として佐川氏のほか、当時の財務省理財局の幹部らを名指ししています。

▽所属する組織の指示で、不正に加担させられた赤木さん。
自らの死を覚悟してまで「手記」を書いた理由を綴っています。
【この事実を知り、抵抗したとはいえ関わった者としての責任をどう取るか、ずっと考えてきました。
事実を、公的な場所でしっかりと説明することができません。
今の健康状態と体力ではこの方法をとるしかありませんでした。
(55歳の春を迎えることができない儚さと怖さ)家族(もっとも大切な家内)を泣かせ、彼女の人生を破壊させたのは、本省理財局です。
私の大好きな義母さん、謝っても、気が狂うほどの怖さと、辛さこんな人生って何?兄、甥っ子、そして実父、みんなに迷惑をおかけしました。
さようなら】。

【「遺書」の詳細】。
自殺した近畿財務局の職員、赤木俊夫さんが残した3通の「遺書」の内容です。
1通は「森友問題」という書き出しで、「佐川理財局長(パワハラ官僚)の強硬な国会対応がこれほど社会問題を招き、それに指示NOを誰も言わない理財局の体質はコンプライアンスなど全くない これが財務官僚王国 最後は下部がしっぽを切られる。なんて世の中だ。手がふるえる。恐い 命 大切な命 終止符」と手書きされています。
ほかの2通も手書きで家族に宛てたもので、妻や義理の母親などに「これまで本当にありがとうゴメンなさい恐いよ。心身ともに滅いりました。ゴメンなさい大好きなお母さん」などと書かれています。

【自殺職員の遺族が国と佐川氏を提訴】。
近畿財務局の職員だった赤木俊夫さんが財務省の決裁文書の改ざんに関与させられたことを苦に自殺したことをめぐり赤木さんの妻は18日、国と改ざんを指示したとされる財務省の佐川元理財局長に1億1000万円余りの損害賠償を求める訴えを大阪地方裁判所に起こしました
原告側は裁判の目的について、▼改ざんが誰の指示で行われ、どのようなうその国会答弁が行われたのかを法廷で当事者に説明させるとともに、▼保身やそんたくによる軽率な判断や指示で現場の職員が苦しみ自殺することが二度とないようにすることだとしています。
そして、1億円を超える賠償を求めた理由については、国や佐川氏が法廷で証言をしなくてすむよう事実関係を争わず請求を認めてしまう事態を避けるためだとしています。

【“国は誠実対応を”】。
提訴後に記者会見した原告の代理人の生越照幸弁護士は、「真実を訴訟で明らかにするためには、国側が真相解明のために誠実に対応することが大前提となる。国は訴訟で旗色が悪くなるとすぐに認め、肝心の中身に入れないようにするケースが多い。今回は、国も佐川氏もきちんと対応するよう願っている」と話していました。
また、松丸正弁護士は、「亡くなった赤木さんは手記の最後に、『今の健康状態と体力ではこの方法しかとれなかった』と記している。本当は事実を自ら伝えたかったはずだ。この裁判で真実を明らかにしたい。裁判を通じて、今後、違法なことを命じられた現役の職員たちが、声をあげて抵抗できるような組織にしていきたい」と話していました。

【赤木さん妻“真実知りたい”】。
赤木さんの妻は、提訴にあわせて手記や遺書を公表した理由やいまの心境をメッセージとしてまとめ、代理人の弁護士が記者会見で読み上げました。
赤木さんの妻は「夫が亡くなってから2年が経ちました。あのとき、どうやったら助けることができたのか。いくら考えても私には助ける方法がまだ見つかりません。心のつかえが取れないままで夫が死を決意した本当のところを知りたいです。夫が死を選ぶ原因となった改ざんは、誰が何のためにやったのか。改ざんをする原因となった土地の売り払いは、どうやって行われたのか。真実を知りたいです。今でも近畿財務局の中には、話す機会を奪われ苦しんでいる人がいます。本当のことを話せる環境を財務省と近畿財務局には作ってもらい、この裁判で全てを明らかにしてほしいです。そのためにはまず、佐川さんが話さなければならないと思います。夫のように苦しんでいる人を助けるためにも、佐川さん、改ざんの経緯を、本当のことを話して下さい。よろしくお願いします」としています。