2020年3月19日木曜日

新型コロナウイルス感染症における安倍政権の詐術(LITERA)

 隠蔽と偽装の安倍政権の姿勢は、新型コロナ感染者に関する発表でも発揮されています。
 安倍政権は途中から、国内感染者数についてはクルーズ船の感染者を含めないよう指示をしNHKなどは国内感染者とクルーズ船感染者を分けて発表しています。因みに18日10時半発表の数字は下記の通りです。

     NHK          3月18 10時点 1日1回 更新              退院679人 

感   染
重   症
死   亡
国   内
868 (+47)
46
29 (+1) 
クルーズ船
712    
14
7   
チャーター機
14
0
0
1594 (+47)
55 
36 (+1)
(カッコ内数字は前日からの増加数)
(数字は時刻と共に増加するためLITERAの記事の数字と様々に相違しています。以下の前書きではLITERAの数字に従って記述します)

 そうすると今度は、クルーズ船の感染者712名のうち退院した人は508名にのぼりますが、国内事例では感染者824名のうち退院した人は171名にすぎないという政権にとって不都合が生じますすると安倍首相は早速「クルーズ船も含めれば、感染者の4割以上、600人に及ぶ方々がすでに回復し、退院しておられます」先日の記者会見で述べました。その時々で都合のいい方の数字を発表するという同政権のやり口です。
 一方国内感染者の致死率は実に30%で、これは、中国の湖北省武漢58%)を除く地域07%の4倍を超えています(中国で21日以降に発病した患者の致死率は07%
 これも日本が重症者や感染者と接触したことが明らかな人を中心にした狭い範囲でのPCR検査に限定していることの反映です。

 死亡数について特筆すべきことは、愛知県の死者の数が12人と国内の死者の4割を占めていることです。これは同県が感染者の把握に熱心で、生前コロナ感染者と認められなかった人についても死後に検査し判明したというケースがいくつも含まれているせいです。
 逆にいうと、検査を抑えていればそうしたケースは全て肺炎などとして見逃されているということで、愛知県のケースはそのことを強く示唆しています。

 ところで安倍首相は先にWHOに約48億円寄付しましたが、更に170億円を寄付すると先日の会見で述べました。当初は国内の対策費に153億円しか見ていなかったのに目の回るような話です。何ごとも自分本位の人間なのでそれには下心があったようです。
 WHOのテドロス事務局長16日の会見で「検査! 検査! 検査を。疑わしいケースはすべて検査してほしい」と各国に検査体制を強化するよう呼びかけたのは、感染者を把握しないことには感染防止の対策が徹底できないので極めて当然の主張ですが、安倍政権の受け止めはそうではないようです。
 検査を拡大すれば医療崩壊に繋がるからという論理で、何が何でも検査の抑制を貫き通すということのようです。隔離施設を作るあるいは休業中のホテルなどを活用するという大阪方式で解決できるというのにです。
 詳しくはLITERAの記事をご覧ください。
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安倍首相が「退院者数」の少なさ隠蔽のためクルーズ船乗客を含めるペテン! 
感染者数にはクルーズ船含めるなと圧力かけていたくせに
LITERA 2020.03.18
 なんなんだ、この姑息さは……。先日の記者会見で、検査数の少なさをネグって「感染者数は韓国、中国、欧州よりも少ない」と、空疎なPRをしていた安倍首相だが、実はもうひとつインチキを口にしていた。
「これまでのデータでは感染が確認され、かつ、症状のある人の80%が軽症です。重症化した人でも半数ほどの人が回復しています。クルーズ船も含めれば、感染者の4割以上、600人に及ぶ方々がすでに回復し、退院しておられます」
 国民の不安を取り除くために退院者数を発表すべき、という声に反応したのだろうが、問題は、「クルーズ船も含めれば」というフレーズ。気づいた人はきっと、「そっちは含めるんかい!」とツッコんだはずだ。
 そう、安倍政権はこれまで、国内感染者数については、クルーズ船の感染者を含めないよう指示をしてきたのだ。
 実際、厚労省も途中から国内の感染者公表データを「国内で感染が確認された事例」と「クルーズ船事例」に分けるようになり、17日12時時点でも「国内感染者は829名である」と表示する一方、クルーズ船のPCR検査陽性者は「712名」(16日18時時点)と分けて発表されている。
 しかも、メディアへも圧力をかけてきた。5日の参院予算委員会でも質疑に立った自民党の小野田紀美参院議員は、NHKを筆頭としたマスコミが日本国内感染者の数にクルーズ船感染者数を含めて「1000人超え」と報じていることを取り上げ、「事実と違う報道だ」と憤った挙げ句、総務省に対して「(マスコミを)指導しろ」「デマを流した人に罰則を」などと主張を繰り広げた。

 これはもちろん、安倍首相が取ったクルーズ船の留め置き措置の失態を隠し、国内の感染者数を低く見せるためだ。そして、こうして圧力をかけた結果、NHKは感染者数についてクルーズ船の乗客・乗員も含めて「合計」人数を表示していたのが、最近では「国内合計」と表示し、クルーズ船感染者を含めないで伝えるようになった
 ところが、その圧力をかけてきた政権の親玉である安倍首相が、「退院者数」では、クルーズ船感染者をデータに含めたのである。少ないほうがいい感染者数ではクルーズ船を除き、多いほうがいい退院者数ではクルーズ船を含める──。まるで詐欺商法の営業マンのようなやり口だが、安倍首相としては、今回、どうしてもこうしたペテンを駆使する必要があった。それは、クルーズ船を除く退院者が非常に少ないからだ。
 16日18時時点で、クルーズ船の感染者712名のうち退院した人は508名にのぼっているが、国内事例では感染者824名のうち退院した人は171名にすぎない。つまり、国内事例とクルーズ船と分けてしまうと「感染者のうち、たったの2割しか回復・退院していない」ことになってしまうのだ。
 日本は検査対象を重症患者に絞り込んでいるため、ある程度、退院者数は少なくなるのは当然だが、これはいくらなんでも少なすぎる。むしろ、日本の新型コロナ対応が逆に重症化、重篤化を招いていることを物語るようなでデータではないか。
 ところが、安倍首相はみずからの政策の根本的失敗を認めるどころか、姑息なデータ操作で、逆に軽症者を多く見せてアピールに使ったのだ。

WHOのテドロス事務局長から安倍首相の礼賛引き出すため、WHOに170億円寄付
 この首相が国民の健康や生命なんて守る気がさらさらなく、自分の支持率を維持することしか頭にないことがよくわかるだろう。実際、失態や批判を封じ込めるために安倍首相が情報操作をやっているのは、これだけでなく、山ほどある。
 なかでもえげつないのは、WHOを“買収”して、国際的な批判を封じ込めていることだ。13日にWHOのテドロス事務局長が会見をおこなった際、日本の対応について、こんなことを言い出した。
「日本はまた、クラスターの綿密な調査に裏づけられた安倍首相自ら率いる政府全体のアプローチが、感染を抑えるための重要なステップであることを示しています。」
 わざわざリーダーの名前まで挙げて対策を評価するというのは、極めて異例のこと。ご存じのとおり、日本のPCR検査の少なさには海外の専門家・メディアからも厳しい意見が噴出しており、批判こそあれ称賛されるようなものではけっしてない。むしろ他国から不信感を買っているというほうが正しい。
 なのに、どうしてわざわざテドロス事務局長が安倍首相を名指しして称賛したのか。その疑問はすぐに解けた。テドロス事務局長はその後、WHOへの支援として、こうも述べたからだ。
日本は今週、1億5500万ドル(約170億円)を寄付しました
 なんてことはない。WHOに寄付金を積んだからこそ、テドロス事務局長は安倍首相の名前まで挙げて称賛したのである。無論、この茶番劇には、外交筋からも「あまりにも露骨(なリップサービス)」という呆れた声があがっているのは言うまでもない。
 その上、じつはテドロス事務局長は3月11日にもTwitterで日本から4600万ドル(約48億円)の寄付を受けたことも報告している。会見で言及した約170億円にこの約48億円が含まれているのかどうかはわからないが、別だとすれば、約218億円で安倍首相はWHOのお墨付きを買った、というわけだ。
 しかも、日本がWHOを“買収”したのは、これがはじめてではない。厚労省は2月はじめ、マスコミに対し、これまで国内感染者のなかにクルーズ船の感染者数が含まれていたのを「上陸前だから日本国内の感染者とクルーズ船の感染者を区別しろ」と要求。そして、WHOにも働きかけていることを加藤勝信厚労相が会見で明かしていたが、実際2月6日からはWHOの日本の感染者数にクルーズ船感染者を含めず、同船の感染者は「Other」と表記されるようにさせた。このWHOが日本の感染者数の表記を変えた6日夜にも、テドロス事務局長は、こんなツイートをおこなっていた。
〈WHOが主導する新型コロナウイルス発生に対してタイムリーに気前よく1000万ドルを拠出してくれた日本に感謝。この資金は、医療制度の脆弱な国がウイルス拡散に備えるのをサポートしてくれるでしょう。より安全な世界のために、ともにがんばろう〉(訳は編集部による)
 タイミングからして、日本がWHOに1000万ドルを出したことによって「表記を変えろ」と迫ったと疑われても仕方がないだろう。

海外の批判封じ込めのため買収、テドロス事務局長は「検査!検査!検査!」と呼びかけていたのに
 感染者数を少なく見せるために、さらに行き当たりばったりの対応への批判を封じ込めるための「WHOのお墨付き」を得るために、何百億も金を積む……。しかも、安倍政権はこの金で買った称賛を、恥も外聞もなくフル活用している。
 テドロス事務局長は16日の会見で「検査! 検査! 検査を!。疑わしいケースはすべて検査してほしい」と各国に検査体制を強化するよう呼びかけた(テドロス事務局長の「検査!検査!検査!」発言について、「『感染者との接触者が症状を示した場合のみ検査することをWHOは推奨する』と追記し修正した」との情報が出回っているが、この追記は接触者の検査に関するものであり、「疑わしいケースはすべて検査してほしい」との発言を修正するものではない)。昨日17日おこなわれた衆院厚労委員会では、野党統一会派の山井和則衆院議員がこの発言を取り上げ、日本のPCR検査の現状がこれに反していると追及。だが、これに対し、加藤勝信厚労相は、こう答弁したのだ。
「テドロス事務局長は『日本は非常に封じ込めをうまくやっている』、こう評されているんですよ。本人が言っておられるんですから。まさにこれは日本向けに言っておられるということではなくて、広く世界向けに言っておられる」
 感染者数を少なく見せるためにクルーズ船の事例をWHOとマスコミに除外させたかと思えば、かたや退院者の数を多く見せるためにクルーズ船の事例を含めて国民に発表する。さらには日本のPCR検査の実施状況に海外から疑問の声が上がるようになると、WHOへの多額の寄付によって事務局長からリップサービスを引き出し、それをもとに「日本の封じ込めはWHOからの評価されている!」と国会で振りかざす……。ようするに、安倍政権の新型コロナ対策とは、こうした詐欺的行為によって支えられているのである。
 だが、今回の本当の敵は、金や圧力でどうにでもなるマスコミやWHOではなく、忖度が通用しない新型ウイルスだ。批判は封じ込められても、情報操作をすることに躍起になってばかりの安倍首相に、感染拡大を封じ込めることなどできるはずがないだろう。(編集部)