2020年3月4日水曜日

錯乱と迷走 むかし陸軍いま安倍晋三という悪夢と悲劇(日刊ゲンダイ)

 WHOのテドロス事務局長は2日、ジュネーブの本部で開いた会見で、感染が広がっている国として韓国、イタリア、イラン、日本を挙げ、非常に懸念していると述べました。一方中国については、感染大規模広がったものの、いまは封じ込められつつあるという認識を示しました。
 トランプも入国拒否対象の国としてイタリア、韓国それに日本を検討している(FNN 4日)ということです。
 いまや日本における感染の実態はバレバレです。これまで安倍政権は日本の感染者数を抑えるためにPCR検査を抑制して来ましたが、それでも感染者数は公表せざるを得ません。そうすると検査数との比率でいえばクルーズ船では罹患率が20%台、国内分でも10%を超えるという驚くべき数値になります。
 これでは海外から感染危険国と見做されるのは当然です。もはや安倍首相の作戦?の誤りは明らかです。
 温暖な国でも感染が起きているように、新型肺炎ウィルスは春になれば収まるという関係にはありません。冷静に見て東京五輪の開催は無理です。
 政府は一刻も早く希望者全員がPCR検査を受けられる態勢をつくり、その上で死者を出さない対策を講じるべきです。

 日刊ゲンダイの「錯乱と迷走 むかし陸軍いま安倍晋三という悪夢と悲劇」を紹介します。
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錯乱と迷走 むかし陸軍いま安倍晋三という悪夢と悲劇 <上>
 日刊ゲンダイ 2020/03/02
錯乱、限界を露呈した首相記者会見、戦慄の空疎
「私が決断した以上、私の責任において、さまざまな課題に万全の対応をとる決意であります」
「内閣総理大臣として国民の命と暮らしを守る。その大きな責任を果たすため、これからも先頭に立って、なすべきことは決断していく」
 感染拡大に歯止めがかからない新型コロナウイルス対応をめぐり、先週土曜(2月29日)に開かれた安倍首相の記者会見。“危機管理のアベ”が聞いて呆れる薄っぺらな内容だった。
 文科省の反対を押し切り、「強いメッセージ」にこだわって独断で強行した全国一斉休校については、「断腸の思い」「責任ある立場として判断しなければならなかった」などと情緒的な説明に終始。感染者が確認されていない地域も含め、なぜ一律の対応が必要なのか。感染防止にどれだけの効果があるのか。出口戦略をどう描いているのか。後手後手対応の揚げ句に社会を大混乱に陥れながら、科学的知見に基づく説明は一切なし。根拠が全く不明な上、こんな精神論を振りかざし始めたのにはゾッとさせられる。

「今回のウイルスについては、いまだ未知の部分がたくさんあります。よく見えない、よく分からない敵との戦いは容易なものではありません。率直に申し上げて、政府の力だけでこの戦いに勝利を収めることはできません」
 安倍が「戦い」に言及すること5回。“サメの脳みそ”と揶揄される東京五輪組織委員会トップの森喜朗会長が「私はマスクをしないで最後まで頑張ろうと思っている」と根性論を言い出したのはまだ笑えるが、発言の主は7年超もこの国をかじ取りし、新型コロナの脅威に2カ月近くも直面している現役首相だ。先の大戦中、東条英機首相が対空射撃を訓練する少年たちに「気合で撃つんだ」と指導したというエピソードがあるが、データも戦略もなく、負け戦に突っ込んでいった陸軍を彷彿とさせる

「たった36分の会見のうち、大半は棒読み独演でお決まりの“やってる感”のアピール。質疑は幹事社とNHKや読売新聞などの政権寄りメディア5社でオシマイ。10人ほどの記者が挙手を続け、〈まだ質問があります〉と声が上がったのに打ち切られた。桜疑惑や検察人事の追及に怯え、公明党の要請すら無視して逃げ回ってきた会見を開いたと思えば、そこからも逃走。どんな予定が詰まっているのかと思えば、自宅に直行でしょう。言葉を失います」(政治評論家・本澤二郎氏) 会見直後からSNS上では「♯安倍はやめろ」がトレンド入り。この期に及んでパフォーマンスのデタラメは、もはや通用しない。

原発事故の時と同じ。首相周辺の専門家、厚労官僚が何もわかっていない恐怖
 発生地の中国で新型コロナ検出が報道されたのは1月9日だった。6日後には国内初の感染者が確認され、クルーズ船の防疫に大失敗して市中感染が拡大。政府の後手後手対応の結果、感染者は1000人に迫る勢いだ。安倍は会見で「危機にあっては、常に最悪の事態を想定し、あらかじめ備えることが重要です」とドヤ顔だったが、そんな空ゼリフを誰がマトモに受け取るのか。
 安倍は事あるごとに「悪夢のような民主党政権」と揶揄するが、コロナ禍は既視感がある。3・11が招いた原発被害に酷似しているのだ。
 当時の菅直人首相は福島第1原発の視察強行で現場を混乱させ、枝野幸男官房長官は「直ちに影響はない」と繰り返し、周辺住民の避難が遅れた。
 その裏では、原発事故を小さく見せようとする経産省の意図も働いていた。そして今、クルーズ船内で作業した職員の感染も次々に判明。にもかかわらず、東京五輪開催が危ぶまれ、感染者激増を避けたい安倍政権はPCR検査能力の拡充に後ろ向き。水際対策にしくじりながら取り立てた対策もなく、イベント中止、外出自粛、一斉休校といった弥縫策でごまかそうとしている。
 医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏は言う。
希望者全員がPCR検査を受けられる態勢をつくるのが大前提その上で、現状で最も求められるのは死者を出さない対策です。つまり、致死率の高さが指摘されている基礎疾患を持つ高齢者のケア。国内初の死者が出た直後に設置された専門家会議は、高齢者が保健所などの相談窓口に連絡する目安を37・5度以上の発熱2日程度としていますが、80代が肺炎を起こしたら死に直結する。臨床医の常識です。こんなメチャクチャがまかり通っているのは、専門家会議が研究者や元厚労技官で占められているからです。メンバーを入れ替え、高齢者医療の現場に通じている医師を増員しなければ事態はどんどん悪化する。感染症研究者は1人いれば十分です
 日本人の4人に1人が高齢者だという現実を直視しているとは思えない。

錯乱と迷走 むかし陸軍いま安倍晋三という悪夢と悲劇 <下>
 日刊ゲンダイ 2020/03/02
陰性から陽性が激増、PCR検査があてにならない大誤算
 陰性、陽性を判定するPCR検査は国立感染症研究所などが中心のため、1日に900件程度しか実施できない状態が続いている。こうした事態に医療従事者から「国は陽性者の数を増やしたくないのだろう」「感染研など厚労省側が“ピンハネ利権”を維持しようとしているようだ」との批判が出ていた。
 先月28日、厚労省はやっと重い腰を上げてPCR検査に保険を適用する方針を示した。遅きに失したといいたくなる。
「厚労省の内部などで反対の声もあったでしょう。国民が保険を使って民間の病院で検査を受け始めたら財政が破綻するという理由です」(左門新氏=前出)
 安倍は会見で「2、3時間を要しているウイルス検査の作業を15分程度に短縮できる簡易検査機器の開発を進めている。3月中の利用開始を目指す」と自慢げに語った。
 だが、PCR検査を受けて陰性と判定されながら、実は陽性だったという笑えない事例が多数報告されている。なぜなのか。
 医学博士の米山公啓氏によると、喉の検体を調べて陰性でも実は肺の奥にウイルスが潜んでいて増殖するケースがあるからだ。最初のころは現場の医師たちもそれに気づかず、検査結果の間違いが3~4割に達したという。
「安倍首相の言うように今月中旬までに簡易検査のシステムはできるでしょう。ただしPCR検査と同様に3~4割が誤判定ということも考えられます。本当は新しい検査と特効薬の開発をセットで進めなければ意味がない。たしかに国はアビガンなどの実験を進めていますが、安倍首相が簡易検査を誇示したのは国民世論を抑えるための政治トークのような気がします」(米山公啓氏)
 簡易検査の精度をしっかり見届けたい。

情報隠蔽、嘘つき内閣で進行する感染症ファシズムの震撼
 感染者が突出して多いことから先月28日に「緊急事態宣言」を出した北海道。鈴木直道知事が「週末は外出を控えて」「道民一丸となって」などと呼びかけたが、安倍の翌29日の会見内容を先取りした形に「国との連携があった」(自民党関係者)との見方が出ている。安倍の休校要請は同27日。翌日に北海道が“制限令”を出したことで、唐突感が薄められたというのだ。同29日に鈴木知事が上京し、官邸で安倍と会談したのもその流れなのだろう。

 これ以上の感染拡大を防ぐためには、ある程度の制限も必要なのは分かる。だが、安倍の会見は国民の不安を和らげるどころかむしろ加速させた。1日、スーパーはトイレットペーパーだけでなく、パスタやパック野菜まで品薄だった。全国一斉の緊急事態がいつ発令されるのか。備蓄を急げ。そんなパニックが広がっている。
 要は安倍の口先スピーチでは、国民を安心させることはできないのだ。モリカケや桜疑惑、黒川検事長の定年延長問題が象徴するように、平気で嘘をつき、情報を隠蔽する。ヒラメ官僚は安倍に忖度して公文書の改ざんにまで手を染め、法律もねじ曲げる。世論調査では、桜疑惑の安倍の説明に「納得できない」が依然7割以上。政権がやっていること全てが信用ならないから、安倍が呼びかけても国民には響かない
「国民の目には『後手後手対応で初動を誤った安倍首相は、焦って無謀な賭けに出た』と映っていますよ。悪あがきの末期症状です。嘘で固めた政権が偉そうなことを言っても通用しません。『晋三よ、もうみっともないことはやめて引っ込みなさい』。そういう段階に入りました」(政治評論家・森田実氏)
 3・11後の菅直人政権時に挙国一致内閣が叫ばれた。今回も「与野党休戦して」という声があるが、ならば安倍退陣が絶対条件である。

市場が織り込み始めた習近平訪日延期、五輪中止、安倍退陣、世界恐慌
 トランプ米大統領が「うまくコントロールできている」と胸を張っていた米国でも新型コロナの感染が広がり、ダウ工業株平均は7営業日連続で下落。先週の下げ幅は3583ドルに達し、リーマン・ショックを超える過去最大を記録した。米市場の値動きが直撃する日経平均も大幅続落。売りが売りを呼んでいる。
 経済評論家の斎藤満氏は言う。
「FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長が28日に緊急声明で利下げに言及したため、米市場は“パウエル・プット”で下げ幅が縮小しました。マーケットは今月中旬のFOMC(連邦公開市場委員会)で0・5%の利下げを織り込み、反転回復が期待されたのですが、その直後に中国がとんでもない経済統計を発表し、好材料は打ち消された。2月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が35・7で、リーマン・ショック直後の38・8を下回り、過去最低となったのです。50を下回れば景気後退のシグナルの上、想定をはるかに超える大ダメージです
 民心掌握に使ってきた経済がガタガタになれば、習近平国家主席も国を留守にできなくなる。いよいよ、国賓来日は延期必至だ。そうでなくても、WHO(世界保健機関)はパンデミックの可能性を警告し、世界規模で大流行する危険度を最高レベルの「非常に高い」に引き上げた。

「リーマン・ショックも世界的危機でしたが、生命が直接脅かされることはなかった。コロナ禍とは衝撃の質が全く異なります。世界は第1次世界大戦中に大流行したスペイン風邪以来の危機に直面している。そうした中、安倍首相は会見で制御できていないことを露呈し、国際社会の信用を失ったプロ野球や大相撲の無観客開催といった動きは五輪中止につながると市場は懸念を強めています。1~3月期の実質GDPは2四半期連続のマイナスが濃厚ですし、現実におののいたパニック売りが続く可能性が高い」(斎藤満氏=前出)
 国民の虎の子を鉄火場にブチ込み、官製市場で株高を演出してきた、株価連動政権も弾切れジ・エンドだ。