2020年3月14日土曜日

新型インフルエンザ特措法改正に反対する声明 日本消費者連盟

 日本消費者連盟が新型インフルエンザ特措法改正に反対する声明を出しました。
 緊急事態宣言が出されると首相や都道府県知事が具体的にどのような権限を持つのか、それがどんな風に危険なのかについて触れています。
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新型コロナウイルス対策のための新型インフルエンザ特措法改正に反対する声明

 政府は新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案を国会に提出、本日(3月11日)から衆議院内閣委員会で審議が始まりました。政府与党は13日にも成立させ、14日からの施行をめざしています。同法案が成立すると、新型コロナウイルス感染症がまん延した場合、政府は市民の自由と権利に対して大幅な制限を伴う緊急事態を宣言することができるようになります。
 この法案が定める緊急事態が発動されるとどういうことが起こるのか。まず指摘しなければならないのは、行政の権力が異常に肥大し、人権・私権が大きく制限されることです。発令の用件は法案ではきわめてあいまいで、どうにでも解釈できる理由で緊急事態が発せられる恐れがあります。どういうことをやるかはすべて政府が自由に出すことができる政令に丸投げされており、国会の手は届きません。
 では何ができるのか。具体的な規制の権限は都道府県知事に移されます。例えば、知事は、外出を控えるといったことや施設の利用制限を要請したり指示できるようになります。それはやむを得ないだろうということで済ませることができない問題をはらんでいます。例えば政府の感染症対策の方針に異議を申し立ててデモをしたり集会をしようとしても押さえつけられる、強行したら逮捕されるということになりかねません。憲法でうたわれている集会や移動の自由、表現の自由が制限されることのなるのです
 市民の知る権利も制限されます。NHKが指定公共機関とされ、新型インフルエンザ等対策に関して内閣総理大臣の総合調整に服し、必要な指示を受けることとされています。アジア太平洋戦争の最中、NHKは戦時体制強化のための報道機関となり、軍部が発表する大本営の発表機関となりましたが、その再現といえます。権力から独立した自由な報道は消え失せ、国民は政府に都合の良い情報しか得られなくなります。
 さらに知事は、医療施設や輸送路などの確保のため、必要な場合には強制的に必要な土地、建物等を使用することができるようになります。憲法が保障する財産権が侵害されることになります。

 感染症対策は現行法を組み合わせて駆使することで十分に対処できます。時の政権に強権を与える緊急事態体制など必要ありません。わたしたち日本消費者連盟は市民の自由と権利を守る立場を貫き、同法案の成立に強く反対します。もし同法案が成立、施行されても、憲法に則り、権力の行使を監視し、行き過ぎた行使に対しては多くの市民に抵抗を呼びかけ、みずからも行動しなければならないと考えています。
2020年3月11日
新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案の国会審議がはじまった日に
特定非営利活動法人 日本消費者連盟