共産党の志位委員長は26日、国会内で記者会見を行い、「自粛要請で苦境に陥っている事業者・個人に、『感染防止対策』として抜本的直接支援を」と題する緊急提案を発表しました(詳細はここをクリックしてください ⇒【提案全文】)。
政府による全国一律休校、イベント自粛などの要請のもとで、中小事業者やフリーランスなどはいつになれば正常に戻るのかの展望が持てず、深刻な苦境に追い込まれています。政府の要請にともなって仕事や収入を奪われた人や事業者には国の責任で補償することが大原則の筈で、自粛を要請するだけで『あとは自己責任で』というのでは暮らしが成り立ちません。
志位氏は「自粛要請とセットで直接支援を行うことがきわめて大事になっている」と強調しました。そして、「自粛要請のもとでの事業継続のための直接支援はどこの国でもやっていることだ」として、英国では、自宅待機の要請の補償措置として1人月額約32万円を上限に賃金の8割を支給し、ドイツは年間予算の半額に当たる15兆円の補正予算を組み、「芸術家及びクリエーター」に対し従業者10人までなら3カ月間約180万円まで支給する措置をとっていると述べました。
因みに米国は総額約244兆円の経済対策を決め、おとなには1人当たり最大約13万円、子どもには約5・5万円の現金給付を4月に1回実施します。
志位氏の会見と米、英、独 各国の対策についての記事を紹介します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
自粛要請で苦境の事業者・個人に直接支援を 志位委員長が緊急提案
しんぶん赤旗 2020年3月27日
日本共産党の志位和夫委員長は26日、国会内で記者会見を行い、「自粛要請で苦境に陥っている事業者・個人に、『感染防止対策』として抜本的直接支援を」と題する緊急提案を発表しました。田村智子政策委員長が同日、国会内で西村康稔経済再生担当相に同提案を渡して政府に求め、西村氏は「うけたまわりました」と答えました。(提案全文)
志位氏は、12日に発表した緊急経済提言で、「政府の要請にともなって仕事や収入を奪われた人や事業者には国の責任で補償することを大原則に据えて実行すべき」と求めたと強調。「この立場は、昨日、小池百合子東京都知事が週末の外出自粛要請を行うなど、新型コロナウイルスの感染が深刻化・重大化するもとで、政府・自治体のさまざまな自粛要請を実効あるものとし、感染拡大を防止するうえでもきわめて重要になっている。自粛要請とセットで直接支援を行うことがきわめて大事になっている」と強調しました。
志位氏は、政府による全国一律休校、イベント自粛、「三つの条件」(密閉、密集、密接)を避けるなどの要請のもとで、中小事業者やフリーランスなどが事業継続の展望が持てず、深刻な苦境に追い込まれていると指摘。こうした事業者・個人への直接支援を否定する政府の姿勢は大きな問題だと述べ、「政府の姿勢を根本から変え、自粛要請で苦境に陥っている事業者や個人に対して、たんに『経済・景気対策』という見地だけからではなく、国民の命を守る『感染防止対策』として、思い切った予算をつけ、緊急に直接支援を行うことを強く求める」とのべました。
そのうえで志位氏は、直接支援の内容について (1)働く人の生活と雇用を守る (2)事業者に対して、無利子融資の拡充、税・社会保険料の減免、固定費への直接助成を行う (3)イベントなどの中止にともなう必要経費を補てんする―との三つの方向で政府に強く求めるとしました。
志位氏は、自粛要請のもとでの事業継続のための直接支援は「どこの国でもやっていることだ」と強調。英国では、国民への自宅待機の要請の補償措置として1人月額2500ポンド(約32万円)を上限に賃金の8割を支給して雇用維持のために労働者の賃金を肩代わりしていると指摘し、ドイツでは「芸術家及びクリエーター」に対し、従業者10人までなら3カ月間1万5000ユーロ(約180万円)まで支給する措置をとるなど、芸術家やクリエーターを絶対につぶさないという施策を打ち出していると紹介。「自粛を要請するならそれにふさわしい支援が必要です。自粛だけを要請して『あとは自己責任で』というのでは暮らしが成り立たないだけでなく、自粛の実効性が確保できない」と強調し、政府・与党がしっかりと受け止めるよう、野党が共同して緊急の対応として強く求めていきたいと表明しました。
米が244兆円経済対策 過去最大 上院可決、施行へ
しんぶん赤旗 2020年3月27日
【ワシントン=遠藤誠二】米連邦議会上院は25日夜、国内で感染が拡大する新型コロナウイルス対策として、総額2兆2000億ドル(約244兆円)規模の経済対策案を全会一致で可決しました。27日にも下院を通過し、トランプ大統領が署名し施行される運びです。
米国の新型コロナウイルス対策はこれが3回目。2兆ドルを超える規模は国内総生産(GDP)の10%に相当し、2008年のリーマン・ショック後の経済対策(8000億ドル)をはるかに上回り、単独の対策としては過去最大となります。
現金給付をおとなは1人当たり最大1200ドル(約13万円)、子どもは500ドルを4月に1回実施します。
企業対策に9000億ドルをあて、航空会社など新型コロナウイルス感染拡大で直接的な打撃を受けた業種への融資に5000億ドル、中小企業への資金に3700億ドル、失業給付支援に2500億ドルをそれぞれ計上。医療体制の整備に1000億ドルなどとなっています。
同案は当初、23日に議会を通過する予定でしたが、民主党が「大企業対策」を優先していると反発。その後の協議で、医療体制への拠出や大企業支援に制約を課すことなどで、共和、民主両党が合意し採決にこぎつけました。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、米国では25日午後9時(日本時間26日午前10時)現在、感染者が6万3744人、死者が897人。人口の約半数にあたる18州の住民に外出自粛・自宅待機要請が出されています。
英、自営業所得保障へ フリーランスにも 野党・労組訴え実現
しんぶん赤旗 2020年3月27日
【ベルリン=伊藤寿庸】ジョンソン英首相は25日の下院審議で、自営・フリーランスに対しても所得保障に踏み出す意向を示しました。英政府はすでにコロナウイルスに伴う経済支援策の一環として、企業が労働者の雇用を維持すれば、賃金の8割を政府が負担すると発表していましたが、これを約500万人の自営・フリーランスに広げるもの。
ジョンソン氏は、賃金労働者と「均等な支援」を自営・フリーランスにも行うと表明。「すべての人が必要な支援を受けられるような支援策を提案する」と述べました。
英政府は20日、コロナウイルス感染防止策として大規模な閉店措置を発表するとともに、雇用を継続した労働者の賃金の8割、月額上限2500ポンド(約32万5000円)を政府が負担すると発表。野党や労組などは自営・フリーランスなどへも支援を広げるべきだと強く求めていました。英紙ガーディアンは、直近の所得を基準に8割を政府が支給するが、上限は2500ポンドより低く設定される予定だと報じました。
この日の審議で雇用年金省のコッフィー次官は、さまざまな福祉手当を統合した低所得者向け給付制度「ユニバーサル・クレジット」(平均世帯で月額660ポンド)の申請者が、過去9日間で約50万人に達したと報告。これは2008~09年の欧州経済危機の際の求職者手当申請数の1カ月分を上回る規模で、コロナウイルスによる雇用危機の深刻さを示しています。同省は、申請受け付けを加速するため1万人以上の職員を増員して当たっています。
ロンドンのカーン市長は、経済支援策から漏れた多くの人々が、外出自粛を無視して全国からロンドンに集まっているとして、感染拡大防止のためにも、自営・フリーランスなどへの支援が必要だと訴えていました。
独が15兆円補正予算 年間予算の半額
しんぶん赤旗 2020年3月27日
【ベルリン=伊藤寿庸】ドイツ連邦議会は25日、新型コロナウイルス対策で、通常の年間予算の約半額に相当する巨額の補正予算を可決しました。また基本法(憲法)で規定する財政均衡義務を一時停止することも決めました。
この日採決された補正予算案は、医療や企業などへの支援で1228億ユーロ(約14兆8000億円)の追加支出を盛り込みました。同時に税収減は335億ユーロと想定。およそ1560億ユーロの財政赤字となります。国債を発行して調達します。
ドイツはすでに可決されている2020年の予算を含め、過去7年間「構造的赤字ゼロ」を続けてきましたが、新型コロナ感染拡大による経済の落ち込みや政府による閉店措置・自粛の影響が深刻で、かつてない財政出動に踏み切りました。
ドイツは2009年から基本法で、構造的赤字を国内総生産(GDP)の0・35%以下にする財政均衡義務を定めています。連邦議会は賛成多数で、この義務の一時停止を決めました。
今後、州の代表で構成される連邦参議院で議決され、成立します。