2021年8月7日土曜日

インドネシア コロナの死者10万人超 自宅療養中の死亡多く

 インドネシアではデルタ株のコロナが7月から猛威をふるっていて、新規感染者は3万人~5万人/日、1日当たりの死者は1500人を上回る日が続いていて、世界でも特に多くなっています。因みにインドネシアの人口は2億7千60万人(19年)で日本の約2倍です。
 大半の人たちは自宅で亡くなっていると思われ、同国ではいま医師や看護師が常駐する臨時の隔離施設の設置を急ぐとともに、軍や警察も動員して、感染者には隔離施設に移動するよう呼びかけているということです。
 NHKが報じました。
 医療のレベルは日本の方が高いのではないかと思われますが、それもキチンと受けられればの話です。政府はいまコロナの中等症の患者を自宅療養(自宅放置)に切り替えようとしていますが、中等症のほとんどは呼吸困難を伴うものでいつ重症に転化するか医師も見分けられません。そんな人たちを自宅に放置すれば死人の山を築くことになります。
 要するにパイを大きくしなければ事態は解決しない訳で、政府がいま考えるべきは少なくとも数千室規模の療養施設(たとえプレハブの野戦病院風でも、分散状態の自宅放置よりははるかにまし)を整えて、入院できない人たちをそこに収容し、医療者の管理のもとに必要な医療上の施術行うようにすることです。
 中等症を自宅に放置することで新規患者を受け入れるという冷酷な政策を掲げ、それを舌先三寸で誤魔化そうというのでは、差し迫っている危機に対処することは出来ません。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
インドネシア コロナの死者10万人超える 自宅療養中の死亡多く
                     NHK NEWS WEB 2021年8月5日
先月から新型コロナウイルスの感染が急拡大しているインドネシアでは、感染して死亡した人が10万人を超えました。自宅で療養している間に亡くなる人が多いことから、政府は、医療を提供する臨時の隔離施設の設置を急ぐなど対応に追われています。
インドネシアでは感染力が強い変異ウイルス「デルタ株」による感染が拡大し、連日3万人から5万人の新たな感染者が確認されているほか、1日当たりの死者は1500人を上回る日が続いていて、世界でも特に多くなっています。
インドネシア政府のまとめによりますと、4日、新型コロナウイルスに感染して死亡した人は累計で10万636人となり、10万人を超えました。
このうち、感染が急拡大した先月だけで、およそ3万5000人が亡くなっています。
日本人の死者も相次いでいて、現地の日本大使館によりますと、6月下旬からこれまでに、日系企業の駐在員など16人が死亡したということです。
インドネシア政府は、感染して自宅で療養している間に症状が悪化し、病院で治療を受けるのが遅れて亡くなるケースが多いとして、医師や看護師が常駐する臨時の隔離施設の設置を急ぐとともに、軍や警察も動員して、感染者には隔離施設に移動するよう呼びかけています。


「入院制限」方針の答弁、説明資料…菅政権、反発受け火消しに躍起 入院できない可能性は残る
                           東京新聞 2021年8月6日
 政府は新型コロナウイルス患者の入院を重症者らに限る新方針に与野党や自治体が強く反発したのを受け、自治体に示した説明資料や国会答弁の修正などで、火消しに躍起となっている。だが、中等症でも入院できない人が出る可能性は残る。(大野暢子、村上一樹)



◆懸念薄める思惑
 田村憲久厚生労働相は5日、参院厚生労働委員会で「中等症は原則入院だ」と答弁。菅義偉首相も同日の政府コロナ対策本部の会合で「中等症で酸素の投与が必要な方、投与が必要でなくても重症化のリスクのある方は、もちろん入院していただく」と強調した。
 政府が同日修正した都道府県に対する事務連絡に伴う説明資料には、首相らの発言に沿って、中等症患者のうち酸素投与が必要でない人も重症化リスクがあれば入院対象とすることなどを追加した。
 いずれも、入院できるケースを強調することで、入院制限への懸念を薄める思惑が透けてみえる。
 だが新型コロナは「いったん(容体が)急変すれば重症化リスクがある」(立憲民主党の石橋通宏参院議員)。

◆撤回はあくまでも拒否
 首相は2日に「重症患者や重症化リスクの特に高い方以外は自宅での療養を基本とする」と表明。厚労省も「入院は重症患者や特に重症化リスクの高い者に重点化」と発表した。唐突な方針転換は批判を浴び、4日には野党のみならず与党の自民、公明両党からも撤回要求を突き付けられた。
 これに対し、政府は「丁寧に説明して理解してもらう」(首相)として、撤回は拒否して説明資料や答弁の修正で乗り切ろうとする姿勢を鮮明にしている。
 与党は、政府の修正を受けて撤回要求を事実上取り下げ。5日の政府・与党コロナ対策実務者会議で、中等症患者の自宅療養方針は全国一律の適用ではないことを発信し、宿泊療養施設の医療体制を強化するよう政府に要請することで矛を収めた。
 しかし立民などの野党は答弁や説明資料を修正しても入院制限の本質は変わっていないとして納得していない。引き続き、中等症患者の自宅療養は危険が伴うとして撤回を求めている。


【詳報】田村厚労相「中等症は原則入院」 政府方針への懸念受け説明を軌道修正 参院厚労委
                           東京新聞 2021年8月5日
 田村憲久厚生労働相は5日、参院厚労委員会の閉会中審査で、新型コロナウイルス患者の入院を制限し、重症者以外は原則自宅療養とする方針に関し「中等症は原則入院だ」と述べた。
 田村氏は「中等症の中で、比較的、重症化リスク低い人は自宅で対応いただく」と指摘。その上で「肺炎の所見があり、息苦しい人は入院するのが当たり前だ」と強調した。「重症以外は自宅」との政府方針を受け、中等症で入院できなくなるとの懸念や批判が高まっているため、説明を軌道修正した。立憲民主党の石橋通宏氏への答弁。
 石橋氏は「中等症が原則入院なら(都道府県などへの)事務連絡を撤回して国の基準を出し直さないと、大混乱に陥る。国がきちんと基準、判断を示すべきではないか」と政府の姿勢を批判した。

◆参院厚労委での新型コロナウイルス患者の入院制限の政府方針に関する詳報は次の通り。
 自見英子氏(自民)基礎疾患があっても重症化リスクが低い場合には在宅による治療が可能という方針だと受け止めている。
 田村憲久厚生労働相 本当に命の危ない方々に病床を確保しないといけないという思いの中での考え方だ。感染状況が伸びていて病床が厳しい地域に、自治体の判断でこういうやり方もあると。東京都と話をする中でこういう形で示した。
 石橋通宏氏(立民)入院対象を重症者等に限定する深刻な方針転換だ。
 田村氏 基本的対処方針等で、感染が増えている場合は状況に応じて宿泊療養も含めた対応ということだった。決して入院を否定しているわけではない。
 石橋氏 新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長も苦言を呈していた。
 田村氏 東京都とは問題意識を共有して進めてきた。尾身先生に連絡が十分にいかなかったのは、行政の横のつながりが悪かったということで反省させていただく。
 石橋氏 中等症でも原則自宅療養にしてしまうと、多くの救うべき命が救えなくなる。中等症でも今後は原則自宅療養なのか。
 田村氏 中等症は原則入院だ。中等症の中で、比較的、重症化リスクが低い人は自宅で対応いただく。例えば中等症で、肺炎の所見があり、息苦しい人は入院するのが当たり前だ。
 石橋氏 中等症が原則入院なら(都道府県などへの)事務連絡を撤回して国の基準を出し直さないと、大混乱に陥る。国がきちんと基準、判断を示すべきではないか。
 田村氏 スピード重視は危機管理の要諦だ。東京都も対応の準備をしているので、この方向で救える命を救っていかなければならない。それでも、感染がさらに伸びていけば、対応できなくなる。リスクの高い行動を控えていただきたい。今回の対応をしたからといって万全ではない。
 川田龍平氏(立民)治療薬である抗体カクテル療法について、入院患者以外にも使用できるようにする方針も示された。自宅療養者を含めた薬剤投与をどう進めるか。
 正林督章厚労省健康局長 投与対象は重症化リスクがある軽症から酸素投与を必要としない中等症の患者。デルタ株により感染の急拡大が見られる中で患者の治療の選択肢が増えることが期待される。
 矢倉克夫氏(公明) 改めて今回の措置の内容を説明いただきたい。
 田村氏 病床逼迫ひっぱく、感染拡大が急激というところに関しては、それぞれの自治体に判断いただいて、リスクが低ければ、自宅で療養いただくと。入院しなければならない方は軽症であったとしても医師の判断で入院という形になると思う。決して国民の命を軽んじているわけではない。
 東徹氏(維新) 軽症でも自宅で療養して急に悪化していくケースがある。そこをどう対応していくのかが非常に大事だ。
 田村氏 健康管理、観察をしながら、何かあったときには委託している医療関係者につなぐ、もしくは入院していただくような対策を組んでいる。無尽蔵に人的資源はいるわけではないので、ある程度、感染を抑えていかないと、実数は増えるわけなので大変心配している。そうならないようしっかり対応しなければならない。
 浜口誠氏(国民)中等症は原則入院ということも含めて対応方針を伝えるため、事務連絡は出し直すべきではないか
 田村氏 中等症は原則的には入院になっている。重症化のリスクの低い方々、軽症の方々は自宅でということを通知として出した。原則が変わったわけではない。明確にもう一度、伝わるように努力したい。
 浜口氏 修正すべき点はしっかり修正していく必要がある。入院基準の見直しは最終的に誰が判断するのか。国として示す必要がある
 田村氏 入院治療は重症患者や中等症以下の患者の中で、特に重症化リスクの高い者に重点化することも可能であるということだ。このままでは、より必要な方々に病床を提供できないという場合には、各自治体で判断くださいということを申し上げていることで、国が明確に基準を示したということではない。
 浜口氏 全国一律ではないということなので、都道府県知事や、保健所設置の市、特別区で判断しないといけないか
 田村氏 基本は知事が判断いただく形になると思う。エリアの感染状況を把握されてるのは、県全体であれば知事であり、最終的に衛生部局等、保健部局等と議論していただきながら判断されるものだと考えている。
 倉林明子氏(共産)自宅療養を余儀なくされた多くの命が失われてるのが現実だ。自宅療養が基本になると、在宅死リスクは確実に高まる
 田村氏 感染が増えれば、どういう状況であれ、病床は当然いっぱいになる。ホテルの宿泊施設もいっぱいになる。後は在宅になる。重症化した時の病床が確保できていなければ、入れなくなるので、感染をどのように抑えていくのかをやっていかなければならない。
 倉林氏 自宅療養でも医療につなげていくという手だてが見えない。方針を変えたことによって、重症病床が増えるわけでもない。どうやって余力を確保することになるのか
 田村氏 病床に入っている患者の中において、在宅で対応できる方は自宅で療養いただく。それに対してのいろんなフォローはしていく。今まで東京も態勢を整備してきた。今のような感染状況が続くと、病床が埋まって、自宅で急変された方が入れなくなってしまう。あくまでも、何とか病床を確保していく対応をお願いをさせていただいている。