菅首相は、緊急事態宣言を出したり延長したりするたびに今度で終わりにさせると決意表明をする一方で、コロナはいずれ収まると楽観論を振り撒きつつ無策に終始し、コロナを鎮静させることが出来ないまま第5波の感染爆発を引き起こしました。
こうしたしわ寄せを最も受けるのが社会的弱者であるシングルマザーと呼ばれる人たちです。
東京新聞と時事通信がシングルマザーの家庭の悲惨さを取り上げました。
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「コロナでどん底」1年無収入のシングルマザー 子は食パンと水道水で空腹しのぐ 一斉休校の余波は今も
東京新聞 2021年8月2日
<民なくして 2021年夏>
日本が新型コロナウイルス禍に見舞われてから、約1年半。東京都内に住むひとり親の40代女性は「コロナでどん底を見た。『ステイホーム』は地獄だった」と語る。今も生活は苦しい。(柚木まり)
女性の家族を直撃したのは昨年2月27日、当時の安倍晋三首相が唐突に要請した小中高校の全国一斉休校だ。中学生の長男、小学校低学年の長女と3人暮らし。派遣社員として働いていたコールセンターは在宅勤務が難しく、子どもを自宅に残して出勤するわけにもいかない。有給休暇の取得で急場をしのいだが、勤務先から「いつ復帰できるのか」と繰り返し聞かれ、居づらくなって5月の大型連休明けに退職した。
◆ひとり親の子育て…職探し難航
長女の小学校が通常の授業に戻った10月、職探しを再開したが、子育て中のひとり親という立場が敬遠されて難航。今年1月に新たな職を得たものの、東京都への緊急事態宣言の再発令で働き始めは3月にずれ込んだ。月給は前職の半分の約6万円。無収入の期間は1年近くに及び、子どもたちには食パンと水道水で空腹を満たしてもらった。
一斉休校は、首相官邸が主導して猶予期間も短く、全国の学校や家庭に混乱が広がった。関係省庁との事前準備や専門家を交えた本格的な議論もなく、影響が大きい中小・零細事業者や子育て世帯への支援策の検討は後手に回った。安倍氏自身、休校発表後になって「十分な説明がなかったのはその通りだ」と認めた。
◆「政治に救おうという積極的な姿勢が見えない」
貧困家庭の学習支援に取り組み、コロナ禍で食料の無償提供も始めたNPO法人「キッズドア」(東京都中央区)の渡辺由美子理事長は「今も一斉休校の影響はある。食べるものがない子どもたちがいるのに、政治に救おうという積極的な姿勢が見えない」と政府の対応に憤る。
政府が昨年、子育て世帯の支援策を実施したのは、一斉休校に続いて4月に初の緊急事態宣言を発令した後。児童手当を受給する子ども1人あたり1万円の給付金などを実行した。キッズドアは保護者が休職・離職せざるを得ない状況に追い込まれているとして、安倍政権から菅政権に代わった後も対策の充実を何度も要請。困窮世帯への臨時特別給付金など複数の支援策につながった。
◆支援先の3分の2が年収200万円未満
ただ、いずれも単発で、低所得世帯には一時しのぎにしかならない。キッズドアが支援先の家庭に調査したところ、約3分の2が年収200万円未満。学校はコロナ下で2度目の夏休みを迎え、給食がなくなるため子どもたちの体重減も懸念される。
「ごはんありがとう」「おいしいものを食べると笑顔になれる」―。キッズドアには、食料を届けた家庭から、お礼のメッセージカードが続々と寄せられている。それだけ困窮していることの表れでもあり、渡辺理事長は「東京五輪にかまけて、政府は他のことは何もやらなくていいと思っているのか。私たちが言わなければ、絶望してしまう家庭がいっぱいある。声を上げ続けないといけない」と訴える。
コロナで7割が「収入減」 ひとり親世帯などに調査―NPO法人
時事通信 2021年8月2日
新型コロナウイルス流行の長期化に伴い、児童扶養手当を受給するひとり親世帯などの7割が2021年の収入が減ると見込んでいることが、NPO法人キッズドア(東京都中央区)の調査で明らかになった。収入の変化の影響が大きい非正規雇用の親が多く、同法人は困窮する子育て世帯への給付金支給を政府に求めている。
調査は、子どもの貧困対策に取り組むキッズドアから食料支援などを受け、高校生までの子どもを育てる全国の約2400世帯が対象。6月26日~7月3日にインターネットでアンケートを行い、1469世帯から回答を得た。
21年1~12月の収入が減りそうか聞いたところ、「はい」は70%、「いいえ」は30%。20年1月以降、世帯主が失業や転職をした経験があるかについては「はい」が33%、「いいえ」が64%だった。
キッズドアはこの結果について、緊急事態宣言発令などにより飲食店や観光業などが打撃を受けた影響が大きいと分析。アンケート回答者からは「アルバイトやパートのシフトを減らされた」「(企業の都合で契約を途中で打ち切る)派遣切りに遭った」といった声が寄せられているという。
政府は感染拡大を受け、20年6月以降、低所得の子育て世帯に計3回給付金を支給した。キッズドアの渡辺由美子理事長は「困窮世帯では十分な食料品を買えていない。親が食べずに我慢し、子どもに食事を与えている家庭もある」と強調。「政府には速やかに現金を給付してほしい」と追加支給を訴えている。