安全保障関連法に反対する学者の会と「チューズ・ライフ・プロジェクト」は31日、新型コロナ感染爆発の下での東京五輪という危機的状況についてオンラインシンポジウムを開きました。
「学者の会」呼びかけ人の広渡清吾東大名誉教授は開会あいさつで、「新型コロナは収束の兆しが見えず、人類の英知が問われている」、「日本政府と東京都、組織委員会は見識を失っている」と指摘し「状況を切り開く」議論を行おうと呼びかけました。
その後、資本主義の弊害や女性差別などと結びついてきた五輪の歴史や理念、日本での女性の困難の拡大、学問の自由の侵害、「緊急事態」を口実にした改憲策動などについてそれぞれ報告があり。中野晃一教授の司会でパネルディスカッションを行いました。
まとめのあいさつで、学者の会呼びかけ人の佐藤学東大名誉教授は、「奪われている私たちの自由と人権と人間の尊厳を取り戻すたたかいが必要だ」と強調しました。
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コロナ五輪 科学は問う 安保法に反対する学者の会など シンポ開催
“人間の尊厳取り戻すたたかい”
しんぶん赤旗 2021年8月1日
安全保障関連法に反対する学者の会と「チューズ・ライフ・プロジェクト」は31日、新型コロナウイルス感染爆発の下での東京五輪という危機的状況についてオンラインシンポジウムを開催しました。
「学者の会」呼びかけ人の広渡清吾東大名誉教授は開会あいさつで、「新型コロナは収束の兆しが見えず、人類の英知が問われている」として、市民の命と暮らしを守るのが政治の役割だが、「日本政府と東京都、組織委員会は見識を失っている」と指摘。「状況を切り開く」議論を行おうと呼びかけました。
鵜飼哲一橋大名誉教授、井谷聡子関西大准教授、大沢真理東大名誉教授、岡野八代同志社大教授、石川健治東大教授がそれぞれ、資本主義の弊害や女性差別などと結びついてきた五輪の歴史や理念、日本での女性の困難の拡大、学問の自由の侵害、「緊急事態」を口実にした改憲策動などについて報告。中野晃一上智大教授が司会でパネルディスカッションを行いました。
まとめのあいさつで、学者の会呼びかけ人の佐藤学東大名誉教授は、コロナ・パンデミック(世界的大流行)という「惨事」と五輪という「祝賀」が同時進行している現状を告発。社会的に弱い立場の女性や子どもにしわ寄せがいくことになると述べ、「奪われている私たちの自由と人権と人間の尊厳を取り戻すたたかいが必要だ」と強調しました。
五輪・コロナ禍 際立つ政権の横暴
安保法制反対学者シンポ 多彩な角度から報告
しんぶん赤旗 2021年8月1日
安全保障関連法に反対する学者の会のオンラインシンポジウムでは、多彩な角度から報告が行われました。
鵜飼哲一橋大名誉教授は、五輪という「祝賀」によって商業主義が加速しているが、「祝祭の後は必ず不況になっている。さらなる規制緩和や増税のダブルパンチが待っている」と警告しました。
井谷聡子関西大准教授は、近代五輪の第1回大会は女性を排除し、近年の「五輪の肥大化」の中で、東京大会でも施設の大規模化の一方で、野宿者らが排除されていると告発しました。
大沢真理東大名誉教授は、五輪とコロナ禍の前から、日本の生活保障制度が低所得者と社会的弱者を冷遇し、保健所体制を大幅削減してきたと指摘。コロナ禍での若い女性の自殺増を招いており、「命と暮らしの危機だ」と批判しました。
岡野八代同志社大教授は、学問の営みとは「残酷さを避けること、最悪の事態を避けることに眼目がある」と強調。五輪とコロナ禍をめぐって菅首相をはじめとした政治家の自己中心的な振る舞いが際立っていると述べ、「教訓を引き出すためにも、異論や批判を排除しない学問の自由が必要だ」と語りました。
石川健治東大教授は、感染拡大を受けて加藤勝信官房長官による「改憲の絶好の契機だ」との発言に対し、「改憲をしないと緊急事態対応ができないというのは全くのでたらめだ」と批判しました。