2021年8月19日木曜日

「原則自宅療養」を撤回し命を救うあらゆる手だてを 志位委員長が要求

 衆院内閣委員会は18日の閉会中審査で、新型コロナの爆発的な感染拡大などについて議論しました。その中で政府分科会の尾身会長は急速な新規感染者の増加を「災害」と表現し、「この問題は相変わらず首都圏問題だ」と述べ、「宣言発令が長期間に及ぶ東京都などで必ずしも効果が出ていない。一体どうするかに議論の本質があるべきだ」と語りました。

 感染は全国的に拡大していますが、感染者の半数は首都圏の4都県といわれ東京都の責任は重大です。
 日本共産党の志位委員長は17日、記者会見で新型コロナの感染爆発に対する必要な対策について問われ、「現下の感染拡大局面で何よりも大事なのは、命を救うためのあらゆる手だてをとることだ。そのためにも政府が打ち出した『原則自宅療養』の方針は正式に撤回すべきだ」と強調しました。志位氏は、政府の責任で、入院病床を増やすとともに、医療機能を強化した宿泊療養施設や臨時の医療施設を大規模に増設し、医療従事者を集めて、早い段階からの治療を開始することによって重症化を最大限防ぐべきだと訴えました。しんぶん赤旗が報じました。

 これに関連して、直近1週間平均の新規感染者数30人に上り、病床使用率も50%を突破両方ともステージ4)した福井県は6日、独自の緊急事態宣言を発令するとともに、福井市内の体育館に軽症者向け臨時病床を100床設置し、常駐する医師と看護師が対応に当たべく6月に約5000万円の補正予算を組み、今月2日から受け入れ可能となりました。
 海外例では、新型コロナの震源地とされる中国・武漢では、1000床分の専用病院を10日間の突貫工事でこしらえました。英国では今春、ロンドン五輪の会場の一つに4000床を設けて危機をしぎました。タイでは、バンコクの国際空港に段ボール製ベッド1800床を並べ、来週にも臨時病床として活用する予定です。海外でできることがなぜ東京でできないのでしょうか。日刊ゲンダイが報じました。

 東京都は18日、新規感染者数は5386人/日と過去2番目の多さで、7日間平均は4700人弱と過去最大に達し累計は29万2千人弱になりました、自宅療養者は入院先調整中を含めて3万5千人超(17日)に達しています。死亡者は6人/日で累計は2354人になりました。この中の1人は、一家3人が全員感染し自宅療養中に亡くなった40代の母親です。もはや重症・軽症の区別も不明瞭というしかありませんが、都知事は、ひたすら不要不急の外出の自粛等を訴えるなど注意喚起に余念がありませんが、何かを具体的にやっているというものは見えません。
 日刊ゲンダイが「小池知事の怠慢が招いた医療崩壊…東京コロナ感染者が「入院疎開」を迫られる日」とする記事を出しました。
 しんぶん赤旗と二つの日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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「原則自宅療養」を撤回し命を救うあらゆる手だてを 志位委員長が要求
                       しんぶん赤旗 2021年8月18日
 日本共産党の志位和夫委員長は17日、国会内での記者会見で、新型コロナウイルスの感染爆発に対する必要な対策について問われ、「現下の感染拡大局面で何よりも大事なのは、命を救うためのあらゆる手だてをとることだ。そのためにも政府が打ち出した『原則自宅療養』の方針は正式に撤回すべきだ」と強調しました。
 志位氏は、日本共産党が求めてきたのは、第一に、政府がワクチン供給・接種に責任をもつこととセットで、とくに感染が広がっている職場、家庭、学校などで大規模検査を行い、感染伝播(でんぱ)の鎖を断つことだと指摘。第二に、十分な補償が必要だとして、持続化給付金、家賃支援給付金の2度目の支給や、困窮者に対する給付金の抜本的な拡充、医療機関に対する減収補てんが必要になると強調しました。
 その上で志位氏は、「感染が爆発的に拡大している現下の状況で、とくに強調したいのは、あらゆる手だてをつくして命を救うことだ」と指摘し、政府が打ち出した重症化リスクなどのある患者を除いて「原則自宅療養」とする方針について、「まったく許し難い方針だ。自宅療養では、いざという時の対応もできず、命を落とすことになる。正式に撤回すべきだ」と強調しました。
 そのうえで志位氏は、政府の責任で、入院病床を増やすとともに、医療機能を強化した宿泊療養施設や臨時の医療施設を大規模に増設し、医療従事者を集めて、早い段階からの治療を開始することによって重症化を最大限防ぐべきだと訴えました。


福井県はステージ4でも「自宅療養させず」貫き体育館に臨時病床100床設置 国も東京都もなぜやらない
                           日刊ゲンダイ 2021/8/7
 新型コロナウイルスの感染爆発になす術もない政府や東京都は、入院のハードルを上げる姑息な手段に打って出た。小池知事が「自宅病床」をブチ上げ、田村厚労相は「医療は無尽蔵ではない」と繰り返すが、病床確保に全力を傾注したのか。注目が集まっているのが福井県の臨時医療施設だ。
 福井県は6日、独自の緊急事態宣言を発令した。直近1週間平均の新規感染者数は30人(東京の人口換算で540人に相当)に上り、病床使用率も50%を突破。
 両方とも最も深刻なステージ4(爆発的感染拡大)を超えたためだ。
 福井では無症状者も含めて全陽性者を病院や宿泊施設で受け入れてきた。現在も「自宅療養させず」を貫いている。県地域医療課の担当者が言う。
「自宅療養では容体が急変しても直ちに対応できない。感染判明後、すぐに医師の診療を受ける体制も必要なため、臨時施設を稼働させました。陽性者を速やかに隔離すれば、感染拡大の防止にもつながります」
 病床が逼迫する中、県は福井市内の体育館に軽症者向け臨時病床を100床設置。常駐する医師と看護師が対応に当たる。6月に約5000万円の補正予算を組んで感染拡大に備え、今月2日から受け入れ可能となった。
 医療ガバナンス研究所の上昌広理事長が言う。
「臨時病床設置は、他の感染拡大地域でも取り入れるべきです。点在する自宅と異なり、病床が集中していることから、効率よく治療ができます。政府は自宅療養を打ち出す前に、体育館や展示会などのスペースを転用した臨時病床を推進していくべきです。海外では活用されています」
 感染が急拡大しているタイでは、首都バンコクのドンムアン国際空港に段ボール製ベッド1800床を並べ、来週にも臨時病床として活用する予定。英国では今春、ロンドン五輪の会場でも使われた「エクセル展覧会センター」に4000床を設けて危機をしのいだ。新型コロナの震源地とされる中国・武漢では、1000床分の専用病院を10日間の突貫工事でこしらえ、陽性者をすべて隔離して感染を封じ込めた。
 海外では当たり前、やればできることが“先進国”の首都でなぜ、できないのか。


小池知事の怠慢が招いた医療崩壊…東京コロナ感染者が「入院疎開」を迫られる日
                          日刊ゲンダイ 2021/08/18
 まるで“戦時中”だ――。17日の都内の新規感染者数は火曜日としては過去最多の4377人だった。都内では入院できない患者があふれ、医療は完全に崩壊している。とうとう東京から脱出して地方で入院するケースが発覚した。小池都知事が病床不足を解消しない限り、適切な医療を都外へ求める「入院疎開」が続出する可能性がある。
                ◇  ◇  ◇
「入院疎開」がSNS上で話題だ。都内在住の30代男性が新型コロナウイルスの陽性判明後、長野県に移動し、同県内の病院に入院したことがキッカケで急浮上した。
 県によると、男性は7日に発症。都内で検査し、11日に陽性が判明した。その後、公共交通機関を使わずに長野県内へ移動し、体調が悪化したため13日に入院。県内では他人と接触していないという。
 なぜ長野に移動したのか、どのような手段で移動したのか、県に詳細を問い合わせると、担当者は「申し上げられない」(感染症対策課)とのことだったが、「陽性判明後に来県して入院するケースは記憶している限り、もう1件あった」(同)という。「陽性判明後は管轄の保健所管内で療養に専念していただきたい。(男性のようなケースが増えるのは)あまり好ましくない」(同)と困惑気味に語った。
 以前から、医療体制の整っている地方へ脱出する人が出てくるのではないか、と指摘されていたが、現実になった形だ。

都の病床数は第4波から373床しか増えず
 このまま、感染状況の悪化や医療体制の崩壊が続けば、万が一に備えて他県へ脱出を試みる都民が続出する可能性がある。なにしろ、都の医療提供体制は、専門家が「深刻な機能不全に陥っている」(都医師会副会長の猪口正孝氏)と、強い危機感をあらわにするほどの惨状だ。
 見るに見かねたのか、島根県の丸山達也知事は「自宅療養を病床のように使ってという都の現状は、医療崩壊と理解するのが自然」と主張し、都の医療崩壊から同県出身者や県民の近親者を守る取り組みを打ち出している。
 島根は1都3県から、基礎疾患を抱える同県出身者や県民の親族(1親等または2親等)の帰省を支援。陽性者や濃厚接触者、発熱などの症状のある人を除き、宿泊料の半額を助成している。申請期間は今月31日までだが、県によると「今のところ1件の申し込みがあり、(緊急事態宣言が期限を迎える)来月12日まで申請期間を延長するかは検討中」(暮らし推進課)という。
 他県がここまで踏み込んだ措置を取らなければならないのも、すべて小池知事の不手際が原因だ。
 都内では自宅療養者と入院等調整中の患者をひっくるめ、入院できない患者は3万3341人(17日時点)に上る。肝心の病床数は第4波の真っただ中だった5月初旬の5594床(うち重症病床数373床)から、5967床(同392床)へと、373床しか増えていない。病床を確保する時間はあったはずなのに、何もかも後手後手だ。
 小池知事の怠慢が招いた医療体制の逼迫。「入院疎開」を迫られる日はそう遠くない。