8月6日、厚労省が、国内ではじめて新型コロナの変異ウイルス「ラムダ株」が見つかったことを明らかにしました。羽田空港の検疫所で女性から検出されたということです。
問題は検疫所でラムダ株が検出されたのが7月20日だったことで、厚労省は、東京五輪が終わるまで、この国内初のラムダ株検出というニュースを隠し通すつもりだったのでした。さすがに国は、感染症の国際データベースであるGISAIDにはラムダ変異体が国内で発見されたことを報告していたため、その記録を外国のジャーナリスト2名が見つけて6日朝、日本ウォッチを続けているwebサイト「Japan Subculture Research Center」などに知らせました。それで厚労省も慌てて発表に踏み切ったのでした。
ラムダ株は、ペルーで最初に報告されて以降、南米を中心に感染拡大している変異株で、現在、日本を席巻しているデルタ株よりもさらに感染力が強く、ワクチンが効きづらい可能性が指摘されているということです。
安倍/菅政権の隠蔽体質は今に始まったことではありませんが、それが心底染みついていることに呆れます。
なお、いま国内で広がっているデルタ株には、ワクチンはほとんど効かないと考えられています。それは一旦鎮静した英国でデルタ株によって感染の大爆発が起きたことからも容易に推定されます。まして感染力がそれを上回るラムダ株では尚更です。
米疾病対策センター(CDC)は7月末、「デルタ株」に感染した場合、ワクチン接種者の体内でも未接種者とほぼ同量のウイルスを生み出すことを示す研究結果を公表しました。
7月にマサチューセッツ州バーンスタブル郡で感染した同州の住民469人を分析した結果、約74%に当たる346人はワクチン接種を完了していました。
従って菅首相がワクチン接種が進めば感染が治まるかの様な言い方をしているのは間違いで、日本でも栃木県さくら市の高齢者施設で入所者28人の感染が確認されましたが、入所者はいずれもワクチンを2回接種済みでした。
3つの記事を紹介します。
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厚労省が五輪開幕3日前の「国内初のラムダ株」を隠蔽! 海外メディアの追及で渋々発表したが五輪終了まで公表しない方針だった
LITERA 2021.08.08
一昨日8月6日、厚生労働省が、国内ではじめて、新型コロナの変異ウイルス「ラムダ株」が見つかったことを明らかにした。羽田空港の検疫所で新型コロナウイルスへの感染が確認された女性から検出されたという。
周知のように、ラムダ株は、ペルーで最初に報告されて以降、南米を中心に感染拡大している変異株で、現在、日本を席巻しているインド由来のデルタ株よりもさらに感染力が強く、ワクチンが効きづらい可能性も指摘されている。
感染がさらに深刻化することが心配されるが、もうひとつ問題なのは、政府がこのラムダ株検出という事実を隠蔽していたことだ。
実は、羽田空港の検疫所でラムダ株が検出されたのは7月20日。日本の国立感染研究所も同日、この事実を確認し、感染症の国際データベースであるGISAIDに感染性の高いラムダ変異体が国内で発見されたことを報告していた。ところが、日本国内では、厚生労働省も内閣官房も感染研も一切、その情報を公開しなかった。
しかし、ジャーナリストのJake AdelsteinとChihiro Kaiが、GISAIDに出された報告を発見。感染研や厚生労働省に取材した上、6日朝、日本ウォッチを続けているwebサイト「Japan Subculture Research Center」とアメリカのリベラル系ニュースサイト「DAILY BEAST」などで報道した。
そのため、6日夕方になって、慌てて、厚生労働省が事実を認め、国内のマスコミ向けに公表したということらしい。
ラムダ株検出の事実はもちろん、7月20日の時点で厚労省にも情報が上がっている。つまり、厚労省は2週間以上もこの事実を隠し続けていたということだ。
この隠蔽の背景にあるのは、おそらく東京五輪への配慮だろう。ラムダ株が発見されたのが、東京五輪開幕3日前だった7月20日だったため、東京五輪への反対論に火がつくのを恐れたため、隠したのだろう。
実際、Jake AdelsteinとChihiro Kaiによる「DAILY BEAST」の記事では、国立感染研の職員が匿名でこう証言している。
「通常、新しい変異株が見つかると、情報はすぐに公表されるが、今回は公表されない」 「この情報はオリンピックが終わった後に報告するのが最善であるというコンセンサスが厚生労働省にあった」
そう、厚生労働省は、東京五輪が終わるまで、この国内初のラムダ株検出というニュースを隠し通すつもりだったのである。
周知のように、五輪をめぐってはこの間、政府・組織委・東京都が都合の悪い情報をとにかくひた隠しにするということが行われてきた。海外の選手やスタッフのコロナ感染、バブルの破綻、濃厚接触者をめぐるなし崩しのルール変更、都民向け療養施設の五輪転用なども、メディアや野党の追及があって始めた明らかになったもので、自ら積極的に情報開示したものはひとつもない。
しかし、まさか感染状況を劇的に悪化させる可能性のあるラムダ株の検出まで、五輪のために隠蔽するとは……。
今回はたまたま、国際的なデータベースに報告があげられ、海外のメディアがそれを追及したから認めたが、この調子では、他にも隠蔽している情報がたくさんあるのではないかと疑わざるをえない。
たとえば、今回、明らかにされたラムダ株は羽田空港の検疫所で見つかったものだが、もしかしたら、都内で検出されたラムダ株を、厚労省が隠蔽している可能性だってゼロではないだろう。
たかだかスポーツのイベントのために、国民の生命を左右するような重大な情報まで隠される。日本はいつのまにこんな恐ろしい情報統制国家になってしまったのか。(田部祥太)
デルタ株、感染したらワクチン接種者でも同じウイルス量 米CDC
CNN. 2021/7/31
(CNN)米疾病対策センター(CDC)は30日、新型コロナウイルスの変異株「デルタ株」に感染した場合、ワクチン接種者の体内でも未接種者とほぼ同量のウイルスを生み出すことを示す研究結果を公表した。
米連邦政府は今週、接種完了者にも屋内でのマスク着用を推奨する指針を出しており、CDCはこの判断の主な動機となったデータを公表した形だ。
専門家によると、ワクチン接種によりそもそも新型コロナに感染する可能性は低減できるものの、感染者となった場合、接種者であっても未接種者と同様にウイルスを拡散する可能性があることが示唆されている。
CDCのワレンスキー所長は声明で、「ウイルス量の多さは感染リスクの高さを示唆する。他の変異株とは異なり、デルタ株に感染したワクチン接種者はこのウイルスを他人に感染させる懸念がある」としている。
研究では、7月にマサチューセッツ州バーンスタブル郡で感染した同州の住民469人を分析した。この中で死者は報告されていない。
約74%に当たる346人はワクチン接種を完了しており、このうち79%が症状を訴えた。遺伝子解析の結果、デルタ株が主な要因だったことが判明した。
ウイルス量については、接種完了者127人とその他の84人(未接種者や接種が完了していない人、あるいは接種状況が不明な人)の間でほぼ同様なことが判明した。ウイルス量は、他人にウイルスをうつす可能性がどの程度あるかを示す代用データとなる。
ワレンスキー氏は27日、感染リスクが「高い」または「相当高い」地域で屋内のマスク着用を再開すべきとの指針を発表した際、こうした研究結果に言及していた。現在、米国民の75%超がこうした地域に居住する。
ワレンスキー氏の30日の声明によると、CDCが指針改定に踏み切った背景には、デルタ株はワクチン接種者の間でも同様のウイルス量を生み出すというこうした「重要な発見」があったという。
ワクチン2回接種の28人感染 栃木の高齢者施設でクラスター
毎日新聞 2021/08/08
栃木県と宇都宮市は7日、新たに164人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。県内の感染者は計9216人。さくら市の高齢者施設で入所者28人の感染が確認され、県はクラスター(感染者集団)に認定した。入所者はいずれもワクチンを2回接種済みだった。
県によると、同施設では、7日までに入所者28人と職員3人の計31人の感染が判明。全入所者68人は2回目のワクチン接種を終えていた。食堂でマスクをせずに飲食したことなどが原因とみられ、県感染症対策課は「接種後も感染のリスクはある。対策の徹底を」と呼びかけている。
また、真岡市の事業所で7人 ▽同市のデイサービス施設で8人 ▽宇都宮市の高校の部活動で6人 ―の感染を確認し、県などはクラスターに認定した。クラスターは計93例となった。【竹田直人】