2021年8月13日金曜日

急変しても入院できない「深刻28都市」リスト(日刊ゲンダイ)

 菅首相は自宅療養者について、「必要であればすぐ入院できる体制を整える」と強調していますが、何故実行しないのでしょうか。必要ないと思っているからでしょうか。
 11日の都内の療養者数3万5689人のうち、在宅患者はなんと3万257人(自宅療養1万9396人、入院・療養等調整中1万861人)です
 全国的にも在宅患者は急増しています
 消防庁は11日、8月2日から8日までの1週間の「救急搬送困難事案」の件数を発表しました。救急搬送困難事案とは救急隊が医療機関に3回以上断られ、搬送先が決まるまでに30分以上かかった事案のことです。それによると東京都は1週間の件数が1532件で1週間前の2・1倍になりました。東京都の場合は30分以上などというものではなく、6時間待っても決まらず、ようやく隣県(埼玉県)に受け入れてもらったというケースもありました。
 要するに空きベッドがないということで、自宅療養者の病状が急変しても入院できないケースは全国的に増えています。
 日刊ゲンダイが報じました。
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急変しても入院できない「深刻28都市」リスト 
       全国で“なし崩し”在宅患者が急増中
                           日刊ゲンダイ 2021/08/12
 11日の全国の新型コロナウイルスの新規感染者数は1万5812人と過去最多を更新した。コロナ病床が日を追うごとに逼迫しているのに、菅首相は病床捻出に有効な手を打とうとしない。その結果、救急車が来ても、入院先が見つからないケースが激増している。
                ◇  ◇  ◇
 総務省消防庁は11日、8月2日から8日までの1週間の「救急搬送困難事案」の件数を発表した。救急搬送困難事案とは救急隊が医療機関に3回以上断られ、搬送先が決まるまでに30分以上かかった事案のことだ。全国52の消防で2897件発生し、5週連続の増加だった。コロナ感染の疑いのあるケースは1387件で約半数を占めた。

■救急搬送困難事案は1カ月で2倍に
 1カ月前(7月5~11日=1390件)と比べると、救急搬送困難事案は2倍超になっている。「1.5倍以上」と「皆増」(0件から件数が発生)は、計28エリアに上る〈表〉。
                      

 

都 市

7/5~11         件

  8/2~8   件

  増加率   倍

 

 

都 市

7/5~11  件

  8/2~8   件

 増加率   倍

1

福島市

1

6

6

 

16

東京都

729

1532

2.1

2

和歌山市

1

6

6

 

17

広島市

16

33

2.1

3

山形市

2

9

4.5

 

18

さいたま市

35

72

2.1

4

福岡市

10

45

4.5

 

19

岡山市

3

6

2

5

川崎市

21

84

4

 

20

宇都宮市

7

12

1.7

6

長崎市

3

11

3.7

 

21

千葉市

70

115

1.6

7

横浜市

73

267

3.7

 

22

大阪市

175

279

1.6

8

 

9

28

3.1

 

23

水戸市

7

11

1.6

9

新潟市

4

12

3

 

24

富山市

0

3

皆増

10

京都市

12

36

3

 

25

鹿児島市

0

2

皆増

11

北九州市

3

9

3

 

26

青森地域

0

1

皆増

12

名古屋市

10

28

2.8

 

27

前橋市

0

1

皆増

13

神戸市

11

29

2.6

 

28

岐阜市

0

1

皆増

14

高松市

3

7

2.3

 

 

 

 

 

 

15

札幌市

56

121

2.2

 

 

 

 

 

 

 全国的に困難事案が発生しているのが分かる。消防庁の担当者は「明らかに増加傾向が顕著になってます」(救急企画室)と警戒感を示した。
 福島と和歌山は1件が6件に増えた。新規感染者が15日連続1000人を突破している神奈川の川崎と横浜も大幅に増えている。
 東京は729件から1532件へと2.1倍だ。今月、自宅で急変した都内在住の50代の重症患者は120の医療機関に受け入れを断られ、搬送先が決まるまで5時間以上かかっている。

急変しても入院できない
 容体が急に悪化するのがコロナの特徴だ。入院が困難では、コロナ患者は安心して自宅療養はできない。このままでは第4波の大阪のように、全国各地で自宅死するケースが急増しかねない。
 昭和大医学部客員教授の二木芳人氏(臨床感染症学)が言う。
「救急搬送困難事例の増え方から分かるように、すぐに入院できる体制にはなっていません。体制が整わない中、なし崩し的に自宅療養が増えている感があります。このまま自宅療養が増えれば、救える命が救えなくなってしまいます。軽症から医師が患者を見ていれば、先手先手で手が打てるし、重症者でも入院すれば意外に亡くならない。医師の目が行き届くところに患者を置くことが重要です。福井県では体育館に医師と看護師が常駐する100床の臨時病床をつくり、自宅療養をさせない方針を堅持している。東京でも五輪関連の施設を含めて活用できるスペースはいくらでもあるはずです」
 菅首相は自宅療養者について、「必要であればすぐ入院できる体制を整える」と強調しているが、入院のハードルは高まる一方だ。

 11日の都内の療養者数3万5689人のうち、在宅患者はなんと3万257人(自宅療養1万9396人、入院・療養等調整中1万861人)。全国的にも在宅患者は急増している。至急のアクションが必要だ。