菅首相は自宅療養者について、「必要であればすぐ入院できる体制を整える」と強調していますが、何故実行しないのでしょうか。必要ないと思っているからでしょうか。
11日の都内の療養者数3万5689人のうち、在宅患者はなんと3万257人(自宅療養1万9396人、入院・療養等調整中1万861人)です。
全国的にも在宅患者は急増しています。
消防庁は11日、8月2日から8日までの1週間の「救急搬送困難事案」の件数を発表しました。救急搬送困難事案とは救急隊が医療機関に3回以上断られ、搬送先が決まるまでに30分以上かかった事案のことです。それによると東京都は1週間の件数が1532件で1週間前の2・1倍になりました。東京都の場合は30分以上などというものではなく、6時間待っても決まらず、ようやく隣県(埼玉県)に受け入れてもらったというケースもありました。
要するに空きベッドがないということで、自宅療養者の病状が急変しても入院できないケースは全国的に増えています。
日刊ゲンダイが報じました。
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急変しても入院できない「深刻28都市」リスト
全国で“なし崩し”在宅患者が急増中
日刊ゲンダイ 2021/08/12
11日の全国の新型コロナウイルスの新規感染者数は1万5812人と過去最多を更新した。コロナ病床が日を追うごとに逼迫しているのに、菅首相は病床捻出に有効な手を打とうとしない。その結果、救急車が来ても、入院先が見つからないケースが激増している。
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総務省消防庁は11日、8月2日から8日までの1週間の「救急搬送困難事案」の件数を発表した。救急搬送困難事案とは救急隊が医療機関に3回以上断られ、搬送先が決まるまでに30分以上かかった事案のことだ。全国52の消防で2897件発生し、5週連続の増加だった。コロナ感染の疑いのあるケースは1387件で約半数を占めた。
■救急搬送困難事案は1カ月で2倍に
1カ月前(7月5~11日=1390件)と比べると、救急搬送困難事案は2倍超になっている。「1.5倍以上」と「皆増」(0件から件数が発生)は、計28エリアに上る〈表〉。
救 急 搬 送 困 難 事 案 増 加 率
| 都 市 | 7/5~11 件 | 8/2~8 件 | 増加率 倍 |
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| 都 市 | 7/5~11 件 | 8/2~8 件 | 増加率 倍 |
1 | 福島市 | 1 | 6 | 6 |
| 16 | 東京都 | 729 | 1532 | 2.1 |
2 | 和歌山市 | 1 | 6 | 6 |
| 17 | 広島市 | 16 | 33 | 2.1 |
3 | 山形市 | 2 | 9 | 4.5 |
| 18 | さいたま市 | 35 | 72 | 2.1 |
4 | 福岡市 | 10 | 45 | 4.5 |
| 19 | 岡山市 | 3 | 6 | 2 |
5 | 川崎市 | 21 | 84 | 4 |
| 20 | 宇都宮市 | 7 | 12 | 1.7 |
6 | 長崎市 | 3 | 11 | 3.7 |
| 21 | 千葉市 | 70 | 115 | 1.6 |
7 | 横浜市 | 73 | 267 | 3.7 |
| 22 | 大阪市 | 175 | 279 | 1.6 |
8 | 堺 市 | 9 | 28 | 3.1 |
| 23 | 水戸市 | 7 | 11 | 1.6 |
9 | 新潟市 | 4 | 12 | 3 |
| 24 | 富山市 | 0 | 3 | 皆増 |
10 | 京都市 | 12 | 36 | 3 |
| 25 | 鹿児島市 | 0 | 2 | 皆増 |
11 | 北九州市 | 3 | 9 | 3 |
| 26 | 青森地域 | 0 | 1 | 皆増 |
12 | 名古屋市 | 10 | 28 | 2.8 |
| 27 | 前橋市 | 0 | 1 | 皆増 |
13 | 神戸市 | 11 | 29 | 2.6 |
| 28 | 岐阜市 | 0 | 1 | 皆増 |
14 | 高松市 | 3 | 7 | 2.3 |
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15 | 札幌市 | 56 | 121 | 2.2 |
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全国的に困難事案が発生しているのが分かる。消防庁の担当者は「明らかに増加傾向が顕著になってます」(救急企画室)と警戒感を示した。
福島と和歌山は1件が6件に増えた。新規感染者が15日連続1000人を突破している神奈川の川崎と横浜も大幅に増えている。
東京は729件から1532件へと2.1倍だ。今月、自宅で急変した都内在住の50代の重症患者は120の医療機関に受け入れを断られ、搬送先が決まるまで5時間以上かかっている。
急変しても入院できない
容体が急に悪化するのがコロナの特徴だ。入院が困難では、コロナ患者は安心して自宅療養はできない。このままでは第4波の大阪のように、全国各地で自宅死するケースが急増しかねない。
昭和大医学部客員教授の二木芳人氏(臨床感染症学)が言う。
「救急搬送困難事例の増え方から分かるように、すぐに入院できる体制にはなっていません。体制が整わない中、なし崩し的に自宅療養が増えている感があります。このまま自宅療養が増えれば、救える命が救えなくなってしまいます。軽症から医師が患者を見ていれば、先手先手で手が打てるし、重症者でも入院すれば意外に亡くならない。医師の目が行き届くところに患者を置くことが重要です。福井県では体育館に医師と看護師が常駐する100床の臨時病床をつくり、自宅療養をさせない方針を堅持している。東京でも五輪関連の施設を含めて活用できるスペースはいくらでもあるはずです」
菅首相は自宅療養者について、「必要であればすぐ入院できる体制を整える」と強調しているが、入院のハードルは高まる一方だ。
11日の都内の療養者数3万5689人のうち、在宅患者はなんと3万257人(自宅療養1万9396人、入院・療養等調整中1万861人)。全国的にも在宅患者は急増している。至急のアクションが必要だ。