広島に原爆が投下されて76年となった6日、原水爆禁止2021年世界大会・ヒロシマデー集会がオンラインで開かれ、内外の幅広い代表が参加し、「核兵器禁止条約を力に、核兵器のない平和で公正な世界をつくろう」と訴えました。また日本政府に対して核兵器禁止条約への参加を求めました。
同日行われた広島市主催の平和記念式典でも、松井一実市長は日本政府の「核抑止論」を批判するとともに、「一刻も早く核兵器禁止条約の締約国となるとともに、これから開催される第1回締約国会議に参加」するように訴えました
しんぶん赤旗の3つの記事を紹介します。
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核兵器禁止条約に参加する日本政府を実現しよう
原水爆禁止21年世界大会 ヒロシマデー集会
しんぶん赤旗 2021年8月7日
広島に原爆が投下されて76年となった6日、原水爆禁止2021年世界大会・ヒロシマデー集会がオンラインで開かれました。内外の幅広い代表が参加し、「核兵器禁止条約を力に、核兵器のない平和で公正な世界をつくろう」と訴え、日本政府に禁止条約への参加を求めました。同日、広島市主催の平和記念式典でも松井一実市長が日本政府に禁止条約への参加を求めました。同式典には、日本共産党の志位和夫委員長が出席しました。
原水爆禁止2021年世界大会ヒロシマデー集会(世界大会実行委員会主催)がオンラインで開催されました。核兵器禁止条約第1回締約国会議で議長を務めるオーストリアのアレクサンダー・クメント大使らが発言、核保有・依存国の政治転換を呼びかける「広島からの呼びかけ」を発表。広島市内で「ヒバクシャとの連帯の集い」を開きました。
主催者報告した冨田宏治世界大会起草委員長は、核兵器禁止条約の発効という歴史的な達成を受け開催される世界大会だと強調。「日本政府が国民世論に応え、禁止条約を支持するなら、世界の流れを大きく後押しすることになる」と指摘し、禁止条約を拒み続ける政権を総選挙でかえようと呼びかけました。
クメント大使は「発効した禁止条約と核兵器を禁止した規範の効力を強化することだ」と指摘。第1回締約国会議に唯一の戦争被爆国の政府が参加することに歴史的役割があると指摘し、日本政府の参加を求めました。
第1セッション「核兵器のない世界への共同」では、核問題や環境、対人地雷問題の代表者が報告。核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のベアトリス・フィン事務局長は「日本政府に対し核兵器の威嚇に加担するのは許されないと声を突きつけなければならない」と語りました。
核戦争防止国際医師会議(IPPNW)のカルロス・ウマーニャ副会長は「核軍備撤廃は私たちの手中にある。行動し実現しよう」と述べました。
第2セッション「日本と世界、草の根の運動交流」では、フランス、韓国、日本の核兵器廃絶への取り組みを報告。フランス平和運動のロラン・ニベ全国書記は各分野のたたかいが核兵器廃絶運動に合流していると報告。韓国SPARK(平和と統一を開く人々)のバク・ハヨンさんは、日韓市民は、両国政府に禁止条約の参加を求めて共同して取り組もうと呼びかけました。
日本原水爆被害者団体協議会の箕牧智之代表理事が被爆者の訴えを行い、広島県原爆被害者団体協議会の佐久間邦彦理事長が「黒い雨」訴訟について報告。広島の松井一実市長が来賓あいさつしました。
早く条約締約国に 平和記念式典 広島市長「宣言」で訴え
しんぶん赤旗 2021年8月7日
広島市主催の平和記念式典は広島平和記念公園で行われ、新型コロナ対策で一般席は設けず、被爆者や遺族、国内外の政府・政党代表や大使らが出席しました。
松井一実広島市長は「平和宣言」で、被爆者の願いや行動が国際社会を動かし、1月22日に核兵器禁止条約の発効に結実したと指摘。「核により相手を威嚇し、自分を守る発想から、対話を通じた信頼関係をもとに安全を保障しあう発想へと転換する」ことを求め、「核抑止論」を批判するとともに、核不拡散条約で義務付けられた核軍縮の誠実な履行を要望しました。
日本政府に対し、「一刻も早く核兵器禁止条約の締約国となるとともに、これから開催される第1回締約国会議に参加」するように訴えました。
国連のアントニオ・グテレス事務総長がビデオメッセージを寄せ、「国連は、核兵器のない世界というビジョンを被爆者と共有しています」と表明し、「核兵器が使用されないことを保証できる唯一の方法は、核兵器の完全なる廃絶です」と語りました。
あいさつした菅義偉首相は、核兵器禁止条約について言及せず、「さまざまな国ぐにの間を橋渡し」をするとのべ、核保有国に追随する従来の姿勢を繰り返しました。
式典では、午前8時15分の原爆投下時刻に黙とう。市内の小学生2人が「平和への誓い」を読み上げました。
禁止条約に一言もふれない首相あいさつはあまりに情けない
式典後 志位委員長が会見
しんぶん赤旗 2021年8月7日
日本共産党の志位和夫委員長は6日、平和記念式典後に広島市内で会見し、記者から式典の所感を問われ、「今年の平和式典は、核兵器禁止条約が発効してから最初の式典で、大変重い意味を持つ。被爆者や広島・長崎の皆さんが求める核兵器禁止条約の署名、批准を一刻も早く行うという政治決断を日本政府に求めたい」と語りました。
志位氏は、式典で松井一実広島市長が読み上げた平和宣言で「核抑止政策の転換」という言葉が明記され、「一刻も早く核兵器禁止条約の締約国になる」ことを政府に求めたのは、「大変重要な内容だ」と強調。「唯一の戦争被爆国の日本が参加すれば、核兵器を違法化した禁止条約の法的規範力は格段にパワーアップすることは間違いない。そういう方向に進むように力を尽くしたい」と決意を表明しました。
菅義偉首相の式典あいさつの受け止めを問われ、「核兵器禁止条約について一言もなかった。この条約が発効したことは国際政治の動かせない現実であるわけで、言及しないのはあまりに情けない態度と言わなければならない」と批判しました。
また志位氏は、「平和式典に毎年参加しているが、(原爆が投下された時刻の)8時15分というのは非道に非道を重ねるものだと強く実感する」と強調。同時刻は人々が通勤・通学で街に外出する時間であり、しかもB29は岡山県に行くそぶりをして、人々をいったん安心させたうえで原爆を投下したと言われているとして、「まさに人々の命を無残に奪うことが投下の目的であり、広島の美しい街をどれだけ破壊できるかという実験場として選んだ。非人道的な所業は許しがたい。二度と繰り返してはならないと強く思う」と語りました。