東京都在住の4人家族(夫婦と小学生と乳児)は、最初に小学生の子どもがコロナに感染し、妻と乳児は妻の実家に移動しました。夫は上の子を看病するうちに感染し、血中酸素飽和度が90を下回ったため救急車を呼びましたが、その日は90以上の病院に断られ、翌日やっと入院先が見つかりました。小学生の子は近所の親族に預けました。実家にいた妻もその後陽性が判明し、実家の祖父が抗がん剤治療をしているため、母子はやむなく自宅に戻りました。妻は、高熱やせき、腹痛などでつらい状況の中で乳児のケアをしていましたが、数日後、乳児の状態が悪化し感染が判明しました。保健所が母子の入院先を探していますが、軽症扱いのため見つからず、入院できた夫以外の3人はいま自宅と親せき宅で別々に療養をしています。しんぶん赤旗が報じました。
一方、官邸で陰の仕事に携わり菅首相の右腕と言われる杉田官房副長官は、このところ発熱を繰り返したため、PCR検査では陰性だったものの大事をとって検査入院しました。
これに対しネット上では、「一般国民はコロナに感染しても受け入れ先が見つからず命を落とすのに、政府高官は発熱で入院できる」、「コロナ感染妊婦は自宅放置で、上級国民は即入院か」、「陰性なら自宅療養させろ」などと、疑問や非難の声が相次いでいます。LITERAが報じました。
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夫入院、容体悪い妻が世話の乳児陽性 自宅療養むり 命守る手だて尽くせ
しんぶん赤旗 2021年8月21日
新型コロナウイルスの感染急拡大で、本来宿泊療養施設や医療機関で療養すべきなのに受け入れ先が見つからず、自宅待機を強いられる人が全国で急増しています。特に子どもを抱える家族が感染した場合は深刻です。医療が受けられる施設でのケアなど早急な体制整備が求められています。(小林圭子)
東京都の日本共産党・小林れい子文京区議のもとに12日、コロナ陽性で入院した40代男性から相談の連絡がありました。「持病を抱える妻(40代)が感染し、容体が悪化している中で、入院先が見つからない」という訴えでした。
一家は子ども2人の4人家族。最初に小学生の子どもの感染が分かり、妻と生まれたばかりの乳児は妻の実家に移動しました。夫も上の子を看病するうちに発熱し、陽性と判明しました。
夫の症状は悪化し、血中酸素飽和度が90を下回ったため救急車を呼びました。しかし90件以上の病院に断られ、自宅で酸素吸入を受けることに。翌日やっと入院先が見つかり、上の子は近所の親族に預けました。
実家にいた妻も陽性が判明。実家の祖父が抗がん剤治療をしているため、母子はやむなく自宅に戻りました。妻の症状が悪化し、陰性の乳児の預け先だけでも探さなければと、保健所や児童相談所、主治医に相談します。しかし受け入れ先が見つからず、自宅で世話することになりました。
妻は、高熱やせき、腹痛などでつらい状況の中、微熱でぐずる乳児のケアをしていました。数日後、乳児の状態が悪化し、祖母に頼んで検査を受け、陽性と分かりました。保健所が母子の入院先を探していますが、軽症扱いのため見つかっていません。
小林区議は「当事者の不安と、保健所などの対応に大きな差を感じます。誰が重症化するか分からない状況で、自宅療養は無理があります」と危機感を募らせています。
国は、子育て中の人が感染し、子どもの預け先がない場合の対応について、「感染防止対策を徹底した上で自宅療養を行う」「児童相談所等とも連携して対応」と自治体に通知しています。感染の爆発で調整が追いつかず、親子で医療ケアが受けられずに孤立しかねない状況になっています。
国立成育医療研究センターは感染した子どもを自宅で看病する際の注意点(表)をホームページで公開しています。
■子どもの自宅療養での注意点
●息苦しそうにしたり嘔吐(おうと)を繰り返したりしたら早めに相談する
●2歳未満はマスクを着用させない(息が詰まるなどの危険がある)
●おむつを捨てる際はビニール袋で2重に密閉する
使用済みマスクや鼻をかんだティッシュなども同様
●体を拭く、排せつ物の処理をする場合はマスクや使い捨てエプロン、手袋を着用する
●歯磨き粉やバスタオルの共有を避ける
※国立成育医療研究センターのホームページから
医師の谷川智行さん(日本共産党衆院東京比例・東京4区予定候補)の話
子どものいる人が感染した場合も、保護・隔離し医療の管理下に置くことが基本です。小さい子どもの場合は、子どもが陰性でも必要な感染対策をとった上で親子一緒に入院、入所させることが望ましいです。
陽性になった赤ちゃんには通常のパルスオキシメーターが使えない上に子ども用のものでも正確な測定が難しく、呼吸の変化を察知するのは一般の人には無理があります。専門家の目が不可欠です。
菅義偉首相は受け入れ要請を拒んだ病院名の公表など強権的なやり方での病床確保について言及しました。強権では病床を増やせません。現場の声に耳を傾け、必要な支援を丁寧に届けることです。「原則自宅療養」の方針を撤回し、入院病床や宿泊療養施設、医療スタッフの早急な確保など、命を守るためにあらゆる手だてを尽くすべきです。
“菅首相の右腕”杉田和博官房副長官の「大事をとって検査入院」に怒りが殺到!「妊婦が入院できず赤ん坊が死んでいるのに」の声も
LITERA 2021.08.20
驚きのニュースが飛び込んできた。杉田和博官房副長官が入院したことが発表された。発熱を繰り返し、PCR検査では陰性だったが、大事をとって検査入院したという。
周知のように、杉田長官は、“菅政権のゲッペルス”ともいわれる官邸の実力者。もともとは、警察庁で警備・公安畑を歩み警備局長を務めた公安のエリートだったが、安倍氏が内閣官房副長官だった時期に同じ内閣官房で内閣情報官、内閣危機管理監を務めたことで急接近し、2012年の第2次安倍内閣誕生とともに官房副長官(事務担当)として官邸入り。以来、安倍政権、菅政権で強権政治の中心的役割を担ってきた。
とくに、菅首相にとっては右腕的存在で、官房長官時代から、官僚支配の中心的役割を担ってきた。しかも、その手法は出身の公安を使った監視と脅し、謀略だ。
もっとも有名なのが、前川喜平・元文科事務次官に対する監視・謀略攻撃だろう。2017年5月、加計問題を告発しようとしていた前川氏は、読売新聞に“出会い系バー通い”という謀略記事を書かれたが、これも杉田官房副長官が公安を使って次官時代から前川氏を尾行し、行動を掌握。告発潰しのために、リークしたものだった。
また、2017年6月には、韓国・釜山の森本康敬総領事が、任期途中に電撃更迭されるという異例の人事が行われたが、この異例人事も、森本総領事がプライベートの場で官邸の韓国への強硬対応を批判したことを杉田氏がキャッチした結果だったといわれている。
菅氏が首相になってからはさらにその強権手法は露骨になり、日本学術会議の任命拒否問題、NHKの官邸代理人・板野裕爾氏の専務理事留任人事ゴリ押しも、杉田官房副長官が主導していたことがわかっている。
内閣支持率が急激に低下する状況で、そんな実力者が入院となると、菅政権の弱体化がさらに進みそうだが、問題はそれ以前だ。
というのも、ネットでは杉田官房副長官の入院経緯をめぐって、批判と不満の声が殺到しているのだ。
杉田官房副長官の入院に「国民は発熱どころか中等症でも入院できないのに」と批判が
冒頭でも書いたように、杉田官房副長官は1週間ほど前から発熱を繰り返していたものの、PCR検査は陰性で、19日まで通常通り、首相官邸で公務を行っていた。ところが、その19日に「大事をとって検査入院」した。
この事実を伝えるネットニュースのコメント欄に、こんな声があふれているのだ。
〈大事を取って検査入院だと?生き死にでも入院出来ない一般市民が溢れるほどいるのに
なにコロナでもなく発熱しただけで入院できてるんだ おかしいだろ〉
〈上級国民であればコロナの疑いあっても、検査入院という名目での入院もすぐにできるということか。〉
〈へぇ〜〜。検査のためだけで入院できるんだ。多くの国民が検査すら受けられず、救急車で何時間も受け入れ先を探しても無くて、自宅療養になるのに。
そういえば、横入り入院した議員もいたなぁ。オリンピック前にワクチン接種を優先しろと言った閣僚もいた。その後、そいつはパーティーやってたなぁ。
国民は国会議員や官僚の奴隷とでも思っているんだろう。ふざけんな!〉
〈コロナで苦しんで自宅で亡くなる国民がいる中で検査だけで入院?副長官だか何だか知らないけど一般国民と平等に自宅で待機させるのが当然では?〉
〈重症者が優先的に入院なのに、どうして杉田を入院させるのだ、自宅療養で検査すればいいのに、決まっているでしょう。自分達さえ良ければ、いい政権は、終わらせましょう。〉
〈権力者にとっては医療崩壊なんて関係ない。官邸が現場の危機感を理解できないのも当事者意識が低いのもこうした特権に守られてるからに他ならない。〉
〈どんな方法を使えば即入院が可能か、その、ノウハウを公表していただければ、国民共有の財産とさせていただきます。よろしく。〉
〈この医療状況での優先入院。国民が納得いく説明を求めます。メディアにもその責務があると思う。しっかりと真相を取材してください!国民をバカにするのもいい加減にして欲しい!〉
〈これは信じられない。コロナの中等症でもなかなか入院先が見つからない中、発熱だけのコロナ疑いで入院するとは。受け入れた病院も病院で公平な医療を行なっていませんね。〉
もちろん杉田副長官は80歳という高齢であり、重大な病気である可能性もある。しかし、一方で、国民は発熱どころか呼吸が苦しくなっても、入院できず、救急搬送を拒否されているのだ。
妊婦が入院できず新生児が死亡したケースと比較して、杉田官房副長官の「検査入院」批判する声も
しかも、杉田官房副長官の検査入院が発表された前日には、東京で親子3人全員が新型コロナウイルスに感染し、自宅療養中だった40代の母親が死亡したこと判明。さらに、19日の朝には、千葉県で新型コロナウイルスに感染し自宅療養中の妊婦が、出血があったため救急車を呼んだものの入院先の病院が見つからないまま自宅で出産し、その後、赤ちゃんが死亡していたことが報道されていた。
そんななかで、当日まで官邸で仕事をしていた政権幹部が「大事をとって検査入院」したのだから、国民の間で不信感と怒りが渦巻くのは当然だろう。
実際、妊婦が入院できず赤ちゃんが死亡していた問題と比較して、杉田官房副長官の検査入院を批判する声も殺到している。
〈このニュース(杉田官房副長官の検査入院のニュースのこと)の下の関連ニュースに、コロナになった妊婦さんが入院できず自宅で早産し、新生児が亡くなったニュースが出てきてつらい。これが、日本という国なんだな。悲しい。〉
〈妊婦だからということで入院がしやすくなることはなく、政治家のじじぃだから入院しやすくなることはあるんだ、命は平等、だけど前者の命の方が重要だと思う。〉
〈妊婦の人でもなかなか入院できないのに、入院できるんですね。どういう基準で入院できるのかはっきりさせて欲しい。〉
〈赤ちゃんが亡くなった妊婦さんは入院出来ずにいたのに爺の杉田はすぐに検査入院出来るんだね!こんなのありか〉
政権応援団や冷笑系の中立厨はこうした批判を「感情的すぎる」「相手が政権幹部でも入院したことを攻撃するべきでない」などと言うかもしれない。
しかし、こうした批判を生み出しているのは、国民の命や健康を守る検査や水際対策、医療体制を築こうともせずに、オリンピックを強行して感染を広げ、さらにパラリンピックを強行しようとしている菅政権の無責任姿勢なのだ。
実際、前述の救急搬送された妊婦が入院できず赤ちゃんが死亡した問題でも、加藤勝信官房長官は各都道府県に「患者を速やかに受け入れられる体制構築を急ぐよう各都道府県に求めている」「あらためて妊産婦などの搬送、入院体制を確保するよう求める」とあたかも、自治体の不備の問題であるかのように責任転嫁した。
政府がこんな姿勢では、こうした国民の怒りが収まることはないだろう。 (編集部)