2021年8月15日日曜日

不安続きの自宅療養 子どもみながら妻看病し、自分も陽性…

 しんぶん赤旗にコロナ自宅療養の実態を紹介する記事が載りました。

 川崎市在住の4人家族は夫婦と子供2人の構成で最初に妻が罹患しました。妻が発症した4日の夜に保健所から電話が入り、数分間体調を聞かれた後「細かいことは明日以降に」で電話が切れました。
 しかし3日間連絡がなかったので8日に夫が自分から保健所に電話を入れ、パルスオキシメーターを要求したところ、「これから手配する」ということでした。
 夫にも咳などの症状が出たのでPCR検査をしたところ陽性で、その際に子ども2人の検査を頼んだところ濃厚接触者であるにも関わらす「無症状者の場合は有償になる」と断られました。
 こんな風に、高熱が続きいつ重症化するのかと不安にかられつつ自宅療養をせざるを得ない中でも、自分の方から要求をしないと行政側からの働き掛け等はないという実態が生々しく語られています。これは特に首都圏に住んでいる人たちにとっては決して他人毎ではありません。
 しんぶん赤旗の4つの記事を紹介します。
  お知らせ
 都合により16、17日は記事の更新が出来ません。ご了承ください。
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不安続きの自宅療養 子どもみながら妻看病し、自分も陽性…
                       しんぶん赤旗 2021年8月14日
 新型コロナウイルス感染症の感染爆発に伴い、自宅療養を余儀なくされる人が急増しています。神奈川県川崎市の太田真さん(38)=仮名=の妻(40)は5日に新型コロナの陽性判定を受けて、自宅療養を続けています。真さんと7歳、8歳の2人の子どもは濃厚接触者に。真さんは子どもをみながら、妻を看病してきましたが、自らもせきなどの症状が出て10日に受けたPCR検査で陽性と分かりました。
 妻に微熱や、のどの痛みなどの症状が出たのは4日。翌朝には40度を超える高熱が出て、その日近くのクリニックで受けた抗原検査で陽性でした。夜9時ころに保健所から電話があり、数分ほど体調について聞かれました。「細かいことは明日以降に」といわれたまま、6、7日と連絡がありませんでした
 その間、妻は解熱剤をのんでも熱は38~39度を推移。全身の痛みや呼吸のしにくさなどでぐったりして、水分をとることもままならない状態でした。
「血液中の酸素飽和度を測るパルスオキシメーターもなく、様子をみていて大丈夫なのか分からず、ずっと不安だった」と真さん。
 6日には自身が入浴後に激しいめまいと吐き気で救急車を呼ぶ事態に。「自分が倒れるといろいろなことが手遅れになるかもしれない」との思いでした。救急隊員の診察を受け、疲れなどが原因では、といわれました。

自宅療養者の実態知って
医療の支援はなし 想定外連続にずっと不安
 妻の発症日から丸4日の8日。太田真さんは保健所からの電話を待っていられず自分から連絡しました。妻の容体を話し、パルスオキシメーターはいつくるのか聞くと、「これから手配する」と。
 真さんは6日には、陽性者登録に必要な情報を自分で検索し、妻のLINE陽性者登録をすでにしていました。「結局、保健所が聞き取りをして正式に手続きしないと事が進まないことが分かった」といいます。
 パルスオキシメーターが届いて、血中酸素飽和度を測ると入院が必要な「88」でした。あわてて「コロナ119番」にかけると、看護師につながるまでに1時間半。「妻の体を起こして壁に寄りかかると94」と伝えると、看護師から「一人でトイレに行けるか」と聞かれました。行けると答えると、「搬送は難しいので家でみてください。93以下になったら直接119番にかけて」といわれました。
 真さんは「妻は軽症とされて、解熱剤、抗生剤をもらっただけ。他の医療の支援はなく、頼れる先もない。すごく心配だった」と話します。
 その後、布団で山をつくり、上体を起こしてあおむけに寝かせると、数値は95から96で推移。熱は39度を超えるときもありますが、ほぼ37~38度。ゼリー飲料やおかゆなども少しずつとれるようになりました。2人とも嗅覚障害が出ているといいます。
 10日に真さんが検査を受けたとき、医師から2人の子どもは、「症状がないと保険適用にならない」といわれ、検査を断念。子どもの検査について保健所は、医師と相談するようにと話しました。
子どもは濃厚接触者なので、症状がなくても検査を受けられるようにすべきではないか」と真さん。11日には1人の子どもが38度の熱を出し、続いています。
 この間の経過を振り返って「いろいろ困っても相談先が分からず、自分で調べてあれこれの窓口に連絡しましたが、どこもほぼ機能していない状態」と真さん。「自分が新型コロナにかかったらどういう扱いになるか、想定外の連続でした。思っていた以上に回復までの期間は長くかかり、体力も使います。想像しているようなサービスは受けられない現状です」
 スマホの接触確認アプリ「ココア」についても、「私はずっと看病のため妻のいる部屋を出入りしていますが、ココアで接触ありとされたのは発症から3日目以降の6日と7日だけ。その有効性に疑問を感じている」と話します。
 真さんは「行政には、自分たちのような状況に置かれている人への対応状況を細かく記録にとり、人数の発表だけではなく具体的な内容を情報開示するよう求めたい。その実態を多くの人に知ってほしい」といいます。
 「国には、感染爆発の厳しい状況にあることを国民が広く共有できるように、真剣にとりくんでほしいです」 (西口友紀恵)


自宅等で死亡567 コロナ感染 昨年3月~先月
                        しんぶん赤旗 2021年8月14日
 自宅や高齢者施設などで死亡し、全国の警察が事件性の有無などを確認するために取り扱った事案のうち、新型コロナウイルスの感染が確認された事例が7月は31人で、昨年3月以降で計567人となったことが警察庁のまとめで分かりました。日本共産党の田村智子参院議員事務所の問い合わせに12日、同庁が回答しました。
 7月の31人は、都道府県別で、多い順に東京都が13人、神奈川県が7人、埼玉県が4人などとなっています。年代別では50代が9人と最も多く、40代、60代が各5人、80代が4人、30代と90代が各3人、20代と70代が各1人となっています。性別は男性22人、女性9人でした。
 コロナ在宅死に関しては、他に厚生労働省が、今年1月1日から6月30日までの半年間に感染の発生届が出され、自宅で亡くなった人が全国で84人と集計しています。
 東京都は、昨年12月から8月12日までに自宅や高齢者施設での療養中に亡くなった人が48人としています。
 第5波の感染拡大が続くなか、8月に入ってからすでに3人が自宅等で亡くなったといい、そのうちの1人は基礎疾患のない1人暮らしの30代の男性だったといいます。自宅療養では、埼玉県でも7月29日に60代の女性が死亡。神奈川県でも8月10日に亡くなった事例が報告されています。
 全国の自宅療養者は4日時点で約4万5300人と、4週間前(7月7日時点)の約4千人から10倍以上に急増。入院など療養先調整中の人の数も約1万7200人に膨れ上がっています。
 感染爆発で医療が逼迫(ひっぱく)し、政府が入院制限を打ち出すなか、今後、自宅療養中に亡くなる人が増加する恐れがあります。

重症者急増■医療の機能不全」■自宅待機者3万人
           ~東京都モニタリング会議から~
                         しんぶん赤旗 2021年8月14日
 東京都が12日に開催した新型コロナウイルスのモニタリング会議では、爆発的な感染拡大に対して「医療体制の維持が困難となる」と危機感を表明しています。重症患者数と自宅療養者の急増という命にかかわる深刻な実態が明らかになりました。
 重症病床使用率(11日)は1207床に対して947人で78・5%(国の基準)となり、8割に届く勢いです。「東京都基準」による数値は392床に対し197人で50・3%となり、4日時点の29・3%から急上昇しています。モニタリング会議の専門家は「救急医療や予定手術等の通常医療を含めて医療提供体制が深刻な機能不全に陥っている」(東京都のホームページ)と表明しています。
 さらに深刻なのは「人工呼吸器又はECMO(エクモ=人工肺)による治療が間もなく必要になる可能性が高い患者辱」が461人いることです。この中には鼻から高流量の酸素を流し込み酸素濃度をあげる治療法(ネーザルハイフロ)による呼吸管理を受けている236人含まれます。重症患者と重症化の可能性が強い患者数との合計は658人です。都の392床の重症患者病床数では対応不可能です。    
 一方で、感染者数の爆発的な急拡大・重症者の増加の中で入院も宿泊もでず、自宅で待機している患者が急増しています。入院患者11日)は3667人で4の108倍。「宿泊療養者」(同)は1765人で同O97倍です。一方で、「自宅療養者」と「入院・療養等調整中」の人が、1万9396人と1万0861人で合計約3万人に上ります。それぞれ4日時点からI31倍、112倍になっていまず。待機者が急増する中で、12日の入院患者数は3668人と前日より1人増えただけでした。
 モニタリング会議で保健所からの入院調整依頼件数が608件(11日)のうち、570件が「翌日以降の調整への繰り越し」となったことが報告され「重症患者のため入院調整が困難になっている」と指摘しています。翌日繰り越しになった患者には「パルスオキシメーターの配布を行っている」と言います。まさに「白の身は自分で守る」という姿勢です
 重症化を防ぐために早期の治療開始ができる体制をつくることや、宿泊療養施般と医療従事者を確保可能な限り「自宅療養」を回避すること、「自宅療養」の患者への訪問診療の最大の支援を行うことなど命を救う手だてを早急に打つべきです


五輪強行が招いた「重大な人災」 感染制御へ反省・決断を
                        しんぶん赤旗 2021年8月14日
 11日の厚労省コロナ対策専門家会議は、感染爆発を「災害時の状況に近い局面」「多くの命が救えなくなるような危機的状況」としつつ「こうした危機感を行政と市民が共有して対応」することを強調。12日の東京都モニタリング会議は、感染拡大は「制御不能」とし「災害時と同様に、自分の身は自分で守る感染予防」を主張しました。
 この点で明確にすべきは、「災害」といいますが自然災害ではないということです。緊急事態宣言下で東京五輪開催を強行するという誤ったメッセージを出し、人流抑制に失敗して爆発を招いたという点で、「重大な人災」であることは明らかです。「行政と市民が危機感を共有して」といいますが、政府自らが日本中をお祭り気分に巻き込み「危機感の共有」を壊してきた責任も明らかです。
 いまこそ政府や東京都は五輪開催強行の誤りを認め、パラリンピックの中止を決断し、矛盾したメッセージを打ち消すことで国民に対し明確に危機を発信することが必要です。
「制御不能」「自分の身は自分で守る」というだけでは、そもそもなんのために政治と行政はあるのか。「人災」に対し反省を欠いた無責任な態度です。なんとしても感染を減らすための対策を示し実行に立ち上がることが必要です。
国会開き議論を
 ワクチン接種を安全、着実に進めることは引き続き重要ですが、まず政府分科会も提起しているように、「人出の5割減少」など行動制限が必要です。ウイルスは人の体の中にいるので、ソーシャルディスタンスの確保をはじめ、人と人との接触を制限し、感染の経路をふさぐことがどんな時も基本です。マスク、手指消毒も同様です。
 検査による無症状感染者の発見・保護の取り組みも、現状では感染拡大のスピードと感染者の拾い上げのスピードが平衡するなどして十分効果が上がらない可能性があり、行動制限とセットで取り組むことが不可欠です。
 自粛、休業、在宅ワークなどの行動制限には、「パラリンピック中止」など矛盾したメッセージの打ち消しとともに、十分な補償を打ち出し、社会全体の積極的協力を得る決断が必要です。
 ただちに国会を開き、情報を与野党が共有して国民の前で必要な対策について議論することも重要です。
無症状者を保護
 東京では検査陽性率が20%を超える状況で、検査が不足して把握しきれない感染者が多数存在するとみられる一方、新規陽性者における無症状感染者の割合も12・4%(8月3~9日)とされています。検査で無症状者を把握し保護することが感染抑制に極めて重要ですが、保健所や行政機関がひっ迫している状況のもとで、検体採取のキャパシティーをいかに確保するかが課題です。東京では検査能力自体は1日10万件といいます。
 専門家は、抗原検査キットやPCR検査キットを事業所や家庭に配り、国民が日常的に自主採取する方法も提案しています。「自分で自分を守れ」というだけでなく、一人一人が感染伝播(でんぱ)の鎖を断ち切る方法を国民に保障するべきです。(中祖寅一)