2021年10月7日木曜日

07- 低支持率スタートに自民党マッ青/海外メディアも「前任者と変わらない」と

 岸田首相は、総裁選での大宣伝に続いて新内閣成立の勢いを保ったまま(国会審議で傷を受ける前に)総選挙の入ることで何とか落選者を減らそうと考えたようですが 、組閣早々の内閣支持率が朝日45%、毎日49%、読売56%と菅内閣の発足時よりも大幅に落下しました。岸田氏としては思ってもいなかったことでしょうが、岸内閣の党役員・閣僚人事に関して安倍麻生甘利3A」による関与があれだけ明確になっては、世間が嫌気を差すのは当然のことです。

 日刊ゲンダイが、「~“ご祝儀相場”ナシ…低支持率スタートに自民党マッ青」、「海外メディアの“岸田評”『前任者と変わらない』と ~ 」、「 ~ 岸田新総裁に失望…日経平均株価は年初来安値に ~ 」とする3本の記事を出しました。
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岸田内閣発足に“ご祝儀相場”ナシ…低支持率スタートに自民党マッ青
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「総じて5割から6割はあると思ったのに」――。自民党議員の悲鳴が聞こえてくる。4日に岸田文雄内閣が発足したのを受け、報道各社が実施した世論調査で、内閣支持率があまり伸びていないのだ。発足時は“ご祝儀相場”で高くなるものだが、そうなっていない。
 朝日新聞では「支持」45%、「支持しない」20%で、政権発足時の支持率としては、麻生内閣の48%を下回り、小泉内閣以降、最低だった。毎日新聞でも「支持」49%、「不支持」40%で、麻生内閣の45%に次ぐ低い数字だ。
 共同通信では支持が55.7%、読売新聞では56%。5割を超えたとはいえ、6割後半から7割台だった菅政権発足時と比べて見劣りする。

■世論は「3A」支配にうんざり
 低支持率の原因とみられるのは、安倍元首相、麻生前財務相、甘利幹事長の「3A」の支配が続いていること。世論が嫌気を差している
 安倍・菅政権の路線を「転換するべき」が69%(共同)に上り、安倍・麻生の影響力は「マイナスになる」が59%(毎日)。新内閣や自民党役員の顔ぶれを見て、生まれ変わった自民党を「実現できない」が54%(朝日)、甘利幹事長の起用を「評価しない」が48%(読売)。
 明大教授の井田正道氏(計量政治学)が言う。
「1年前、菅前首相には、世襲のお坊ちゃんではなく苦労人という新しい要素があって高支持率になりましたが、岸田首相で世襲に戻り、人事も派閥均衡で無難な色が見えてしまった。支持率は、3割台まで落ち込んだ菅内閣の最後よりは上がりましたが、新内閣へのご祝儀というより、新型コロナの感染者が減って、緊急事態宣言が解除された効果が大きいでしょう」
 岸田首相は衆院選の投開票日を10月31日に早め、新政権へのお祝いムードで選挙を乗り切ろうと考えているのだろうが、そのシナリオは怪しくなってきた。むしろ、“スネ傷”の甘利が記者会見のたびにカネの問題を蒸し返されるなど、党のイメージは悪化するばかりだ。
 5日は、自民党広島県連の幹部が官邸で岸田首相と面会し、河井夫妻への1億5000万円支給問題の再調査を求めた。世論調査では、森友問題についても、自民支持層ですら「再調査をすべき」が52%(共同)に上った。
「9月中は自民党総裁選一色でしたが、選挙までの1カ月弱、これからは世論の状況も変わる」(井田正道氏)
「顔」を代えればなんとかなる、なんて考えが甘かった。


海外メディアの“岸田評”「前任者と変わらない」とパッとせず…政治姿勢にもビミョーなまなざし
                           日刊ゲンダイ 2021/10/06
 就任から一夜明けた5日、岸田首相はアメリカのバイデン大統領やオーストラリアのモリソン首相と電話会談。晴れて首相として“外交デビュー”を果たした。
 4日の首相会見で「(国際会議の場で)日本の発言、存在力、しっかり示していきたいと考えています」と意気込んでいた岸田首相。外交力を発揮したいようだが、海外メディアの「岸田評」はパッとしない。
 米ウォールストリート・ジャーナル(4日付)は、安倍元首相や菅前首相を念頭に〈岸田氏は前任者の政策から大きくそれていないものの、よりリベラルな経済政策を打ち出した〉と指摘。岸田首相がアベ・スガ政治を継承しているとの評価については、英ガーディアン(4日付)も同じで、次のように分析している。
〈総裁選の決選投票で安倍氏が思いのままに票を回せることから、岸田氏は総裁選期間中に右に旋回し、経済や外交政策でほぼ変化がないことを示した

■目立った実績なし
 海外の「岸田評」に一貫しているのは独自性のなさ。2012年12月から17年8月まで長きにわたって安倍政権下で外相を務めていたにもかかわらず、目立った評価はない。外相としての“実績”といえば、2016年のオバマ米大統領(当時)の広島訪問の際、現地の説明役を買って出たことぐらいじゃないか。
「5年近く外務大臣を務めたのに、これといった業績は見当たりません。北方領土問題では安倍元首相の影に隠れ、ライフワークであるはずの核兵器廃絶を巡っては、肝心の日本が核兵器禁止条約に不参加です。実績がないのは、官僚が敷いたレールの上を走ることしかできないからでしょう」(国際ジャーナリスト・春名幹男氏)
 岸田首相の政治姿勢についても、海外メディアはビミョーなまなざしを向けている。「岸田はリベラル」との見方に対し、英BBC放送(4日付)は〈岸田氏は党内のベテラン議員からの支持を維持するために、党改革と同時に、保守派にも迎合しなければならないかもしれない〉と強調。「聞く力」を掲げる岸田首相には、何とも皮肉である。
「『耳を傾ける』といえば聞こえは良いが、結局は『右顧左眄』に過ぎません。総裁選で敵基地攻撃能力について『有力な選択肢』と言ったのも、保守層への配慮ではないか」(春名幹男氏)
 さすがアベ・スガを踏襲しているだけある。岸田外交にも期待はできない。


海外投資家は岸田新総裁に失望…日経平均株価は年初来安値にまっしぐら
                         日刊ゲンダイ 2021/10/06
 株式市場が混乱している。
「NY株の乱高下が影響しているのは間違いありませんが、日本市場は岸田新総裁に振り回されてしまった」(市場関係者)
 自民党総裁選が行われた先週29日、日経平均は大きく下落し3万円を割り込んで取引を終えた。この日はNY株下落を受け寄り付きから大幅下落したものの、後場に入り落ち着きを取り戻していた。ところが、午後2時すぎに異変が起きた。
「2時10分ごろから日経平均が急速に下がり出したのです。このタイミングで何が起きたか。総裁選で岸田、河野の両氏による決選投票が決まった時間帯でした。海外投資家の多くは河野勝利を想定していたので、決選投票となれば岸田有利と判断し、投げ売りを始めたのでしょう」(株式評論家の倉多慎之助氏)
 総裁選前日の28日終値(3万183円)から、週末10月1日のわずか3日間で日経平均は1400円以上も下げている。「海外勢が逃げ出したことで、これまでの上昇ムードはガラリと変わった」と証券関係者は言う。
 当面は、下値を探る展開が続きそうだ。

■一方でストップ高も出現
「8月に付けた年初来安値の2万6954円が意識されています。2万7000円割れまで、一度は下落するでしょう。10月31日投開票の衆院選のあたりが危ないかもしれません。ただし、この水準まで下げると日経平均のPER(1株当たり利益)は割安といわれる12倍台になります。大きな買いが出てくるはずなので、反発に転じる可能性があります」(倉多慎之助氏)
 その際の主役は“岸田銘柄”か。
 岸田総裁の掲げる4本柱のうち、「医療難民ゼロ」に絡む銘柄はすでに動き出している。総裁選当日、医療機器関連のレオクラン(東証2部)がストップ高を付けた。全体相場が落ち込む中の逆行高だった。
 そのほか、塩野義製薬(東証1部)やタカラバイオ(同)、デンカ(同)、H.U.グループHD(同)、ベネフィット・ワン(同)、メドレー(マザーズ)などが医療関連として物色されそうだ。
「年末には3万2000円という見方もあります。そうなると、株価下落の今が仕込み時ですが、米金利上昇などマイナス材料も無視できません」(前出の市場関係者)
 岸田銘柄の筆頭、レオクラン株は2980円(28日終値)が3500円(1日終値)と、3日間で17%も上昇した。
 第2のレオクランを探してみる?