2021年10月11日月曜日

大企業増税は世界の流れ 不公平税制是正を今こそ

 自民党は9日までに、総選挙に向けた重点政策と政策集(「政策BANK」)を決定しました。軍拡については、新たな国家安全保障戦略や防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画の「速やかな策定」を掲げ、軍事費については国内総生産比1枠内にこだわらず「対GDP比目標(2以上)も念頭に、防衛関係費の増額を目指す」と大軍拡路線を表明し、改憲については「早期の憲法改正を実現する」と明記しました
 まことに超タカ派:高市政調会長の面目躍如たるものがあり、これだけ反国民的な課題を並べ立てるとは、自民党の本質を明らかにした点で潔いとも言えますが、岸田首相の施政方針演説と整合しているとはとても思えません。
 対照的にしんぶん赤旗に、共産党の「四つのチェンジ」、① 新自由主義の転換 ② 気候危機打開の政治 ③ ジェンダー平等の日本 ④ 9条に基く平和外交 の政策のうちの「① 新自由主義の転換」に関する記事が掲載されました。
 新自由主義とは、弱肉強食を特性とする経済活動において政府がそれを緩和ないし規制するどころか、逆に大企業が心置きなく利潤を追求できる方策を講じるというもので、その最たるものは税制の優遇です。現状がどうでありそれをどう是正するのかが分かりやすく書かれています。
 それとは別に、ブログ「まるこ姫の独り言」が、「富裕層の金融所得課税、当面見直さずby岸田、~ 」とする記事を出しましたので併せて紹介します。 
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4つのチェンジで希望ある日本を 大企業増税は世界の流れ 不公平税制是正を今こそ
                       しんぶん赤旗 2021年10月10日
 富裕層と大企業の税負担をとめどなく減らす新自由主義的な「底辺への競争」を封じ込めようという国際的な機運が高まっています。新自由主義と決別して富裕層と大企業に応分の負担を求めるという日本共産党の税制改革案は、世界の大きな流れになりつつあります。
                                   (杉本恒如)
            四つのチェンジ
          ⇒ ① 新自由主義の転換
            ② 気候危機打開の政治
            ③ ジェンダー平等の日本
            ④ 9条に基く平和外交
現状は富裕層優遇
 日本では所得税の最高税率と法人税率が次々に引き下げられ、消費税率が引き上げられてきました。安倍晋三政権は法人実効税率(国・地方の法定税率)を37%から29・74%へ下げ、消費税率を5%から10%に上げました。富裕層の負担を低・中所得層に転嫁する、新自由主義的な税制改革の典型です。


 消費税導入後の33年間で消費税の税収は累計448兆円にのぼる一方、法人3税と所得税・住民税の税収は合わせて609兆円も減りました
 現在、日本の大企業の実質的な法人税負担率は法定税率より大幅に低くなっています。例外的に税負担を軽くする租税特別措置や、グループ内企業の黒字と赤字を相殺して税額を減らす連結納税制度など、大企業向け優遇税制があるためです。
 日本共産党の試算では、資本規模の大きな企業ほど実質税負担率が下がります。大企業の負担率は10・2%。連結納税法人の負担率はわずか4・6%です。(グラフ1)

 個人所得税も富裕層に有利な構造になっています。所得が1億円を超えると税負担率が下がるのです(グラフ2)。株の配当や譲渡益が分離課税とされ、住民税を含めても20%という低い税率になっているためです。
 岸田文雄首相は「新しい資本主義の実現」を掲げながら、安倍政権が行った法人税減税や消費税増税に反省がありません。所得税負担率が下がる「1億円の壁」への対応も検討課題とするだけで具体策がありません。これでは新自由主義の転換になりません。
 日本共産党は「四つのチェンジ」の中で税金の不公平を根本からただす改革を提案しています。(別項)

「最低税率」の動き
 世界は急速に変化しています。
 GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)などの多国籍企業は租税回避地を使って海外での税負担を極限まで減らしてきました。
 身勝手な多国籍企業に対し、全世界が協調して法人税の「最低税率」(最低負担率)を課そう―。経済協力開発機構(OECD)を中心に新ルールの案がつくられ、8日に136カ国・地域が最終合意に達しました。国際交渉に参加してきた財務省主税局の担当者は「目的は二つ」だと話します。
 「一つは企業の競争条件を平準化すること。もう一つは法人税の減税競争に歯止めをかけることです」
 大企業は「国際競争」を理由に法人税減税を各国政府に迫ってきました。その結果が、世界各国が足を引っ張り合い、総じて税収を空洞化させる「底辺への競争」です。米国のイエレン財務長官は「この競争に勝った国は一つもない」(7月2日)と嘆いています。
 最低負担率導入の狙いは、租税回避地を使って税負担を減らす企業間の国際競争に制限を設けることで、国家間の租税競争を抑止する点にあります。
 136カ国・地域が合意した法人税の最低負担率は15%です。ある企業グループの子会社(または親会社)の実質税負担率がそれより低ければ、親会社(または子会社)の所在地国が上乗せ課税する仕組みです。例えば日本企業の親会社が日本政府の税制優遇を受けて実質税負担率10%になる場合、最低負担率15%に満たない5%分を、他国の政府が子会社から徴税します。大企業優遇税制を縮小・廃止して国内で公平に課税する政策の合理性がますます高まります。

  「税金の不公平をただす」日本共産党の改革案骨子
〇消費税率を5%に引き下げ、インボイス制度の導入を中止します。
〇租税特別措置や連結納税など、大企業優遇税制を廃止・縮小します。
〇法人税率を、中小企業を除いて安倍政権以前の28%に戻します。
〇富裕層の株取引への税率を欧米並みの水準に引き上げます。
〇所得税・住民税の最高税率を現行の55%から65%に引き上げます。
〇富裕層の資産に毎年低率で課税する富裕税など、新たな税制を創設します。


富裕層の金融所得課税、当面見直さずby岸田、早くもヘタレっぷり露呈
                         まるこ姫の独り言 2021.10.10
総裁選に名乗りを上げた当初は、再調査に前向きな発言をしていたが、すぐに軌道修正をし「再調査は必要ない」に変る。
赤木雅子さんが岸田にあてた手紙は「しっかり受け止める」とはいうものの、それで終わり。

自民党総裁選で掲げた金融所得課税の強化について、早くもトーンダウンで当面見直さずだと。

 金融所得課税、当面見直さず 岸田首相
                         10/10(日) 8:20配信 時事通信

>岸田文雄首相は10日のフジテレビ番組で、自民党総裁選で掲げた金融所得課税の強化について、「当面は金融所得課税に触ることは考えていない」と述べた。
>首相は「すぐやるのではないかという誤解が広がっている。しっかり解消しないと関係者に余計な不安を与えてしまう」と釈明した。

ヤフコメでは、この発言に称賛の声が飛び、もっと税率を低くすべきだとか、税率を上げたら海外投資家が逃げていくという、いつものお約束コメントが圧倒的だ。

これは株を持っている人の言い分だが、多くの人はそれほど株に関係ない暮らしをしている。
だから岸田の総裁選で掲げた金融所得課税の強化に期待していた人もいるのではないか。

それをあっさり「当面見直さず」
見直さないという事は、これからもやる気なしという事だ。
こんなに早い変身では、総裁選で掲げた事すべてを引っ込める日も近いだろう。

ヤフコメではいかなる増税も許されないというが、これ以上庶民から増税は許されないが、持てる者から応分に負担してもらうことはできる。
これは野党も言ってきたことだ。

それさえ放棄していたら、どうやったら国の財政が持ちこたえられるのか、教えて欲しい。

今までの自民党政権は、庶民からなにがなんでも搾り上げてきて、持てる者への増税をしてこなかった。

それを岸田は、総裁選で熱く語った事を受けて、多分、富裕層やら大企業やらから突き上げを食らったのだろう。

だからこその方針転換。
分かりやすい(笑)

「成長無くして分配はない」は安倍が行ってきた政策だ。

アベスガ政権の9年間、成長を待っていても何の分配も無かったしトリクルダウンは起きなかった。
むしろ、「再分配無くして成長はない」に発想を変えた方が消費を促す活力になると思うが。

しかし、総裁選で行っていたことを選挙が始まる前にはどんどんトーンダウン

総裁・総理からしてこれだけのトーンダウンは、衆院選の自民候補の素晴らしい公約は信じない方が懸命だ。
信じてバカを見るのは国民だから。

私が疑り深いだけかもしれないが、これだけ疑り深くしたのは、今までの自民党の政権運営や、不祥事、「政治と金」問題がルーズ過ぎた事だと言うのを忘れてはいけない。

選挙になると、庶民のための政策を言い、あれもやる、これもやると言うが、勝つとみんな忘れてしまう。

本当に出来るのならずーっと自民党政権だったアベスガ政権で出来た筈だ。