2021年10月23日土曜日

勢いは間違いなく共闘野党 自民 地滑り的敗北の可能性(日刊ゲンダイ)

 21の読売新聞と毎日新聞は衆院選情勢について、「自民減 単独過半数の攻防」「自民苦戦」「自民 議席減の公算大」「接戦区 野党共闘の効果」などと、解散前276議席の自民は233議席(過半数)を維持できるかどうかの瀬戸際だと報じました。

 そもそも4年前の選挙での出来過ぎへの反動があるのですが、それに野党共闘による候補の1本化、安倍・菅政権への「嫌悪感」、更に岸田氏のこれまでの政権と変わらぬズルさや傲慢さへの「失望感」が重なっていてはどうすることも出来ません。
 今回注目されるのは毎日新聞の調査で無党派層の比例投票先は立憲(21%)が自民15%)を上回っていることで、「無党派の多くは自民に批判票を投じるために投票に行く」事態になっていることです。某元首相はかつて「無党派層は自宅で寝ていてほしい」と口にしましたが、自民の候補者はいまやその心境に陥っているかもしれません。
 日刊ゲンダイの記事を2本紹介します。
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勢いは間違いなく共闘野党 ジリ貧 岸田自民 地滑り的敗北の可能性
                       日刊ゲンダイ 2021年10月22日
                       (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 衆院選(31日投開票)の序盤情勢を報じた21日の朝刊の見出しを見て、岸田首相は呆然自失だったのではないか。
 読売新聞は「自民減 単独過半数の攻防」「野党一本化 自民苦戦」、毎日新聞は「自民 議席減の公算大」「接戦区 野党共闘の効果」である。
 自民党内では「前回2017年が勝ちすぎだった」として、「20議席程度を減らすことは想定内」という観測が早くからあったが、どうやら自民党の苦戦はそんな程度に収まらない情勢だ。読売は、<公示前勢力が276議席だった自民は、小選挙区で優位な戦いを進める候補が120人前後にとどまっている>、毎日は、<63選挙区で接戦となっており、立憲民主党は接戦区の状況が好転すれば、大きく議席を積み増す可能性がある>などと解説していた。
 野党の善戦は、候補者の一本化が進み、各地で「統一候補」が続々誕生した効果なのは間違いない。立憲民主、共産、国民民主、社民、れいわ新選組の5党が、全289選挙区の7割超にあたる213選挙区で候補者を一本化した。事実上の野党統一候補である無所属候補の4選挙区を含めれば、一本化は217選挙区になる。
 このうち132選挙区は事実上の与野党一騎打ちの構図で、その6割が大接戦。比例代表についても、毎日は自民について「前回66議席から減らす可能性」と書く。自民は「単独過半数(233議席)」に届くかどうかの苦しい戦いを強いられているのが序盤の情勢なのである。

「この人はやっぱりダメだ」
 投票日まではまだ1週間以上あるが、少なくとも自民党が当初もくろんだ「新政権のご祝儀で短期決戦逃げ切り」のシナリオは崩壊した。自民党関係者は「接戦区について2週連続で行った党の情勢調査を見ると、千葉や神奈川など都市部で支持が下がっている。野党一本化の影響は確かにある」とこぼした。
 ただ、自民が想定以上の苦戦を強いられているのは、野党共闘の効果だけじゃない。岸田の不人気が確実に影を落としている。
 朝日新聞が19、20日に実施した世論調査で、岸田内閣の支持率は41%。発足直後の10月初めの調査(45%)から4ポイント下落し、逆に不支持率は20%→26%と6ポイント増だった。こうした支持率下落は、すでに他メディアの世論調査でも同様の傾向が出ている。
 新型コロナの感染者が減少すると、支持率が上昇するという安倍・菅政権時の“ジンクス”は、岸田内閣には当てはまっていない。
 朝日の調査では、岸田の経済政策についても「期待できる」が42%→37%に減り、「期待できない」が28%→39%へと大きく上昇した。「金融所得課税の強化」や「令和版所得倍増計画」など、自民党総裁選であれほど力説していた格差是正の「岸田カラー」がすっかり消えてしまえば当然。ピンボケ首相では、もはや上がり目ナシである。
 政治評論家の野上忠興氏が言う。
「『岸田さんは変わった』などと総裁選で言われていたので、期待した世論もあったでしょう。しかし、新政権がスタートしてみれば発言がどんどんしぼんでいくうえ、3A(安倍元首相、麻生副総裁、甘利幹事長)の影も見える。『なんだ。この人はやっぱりダメだ』という失望感がジワジワと出てきました。言葉に力がないから、岸田首相が選挙で地方遊説をすればするほど、落胆はさらに広がっていく。『モリカケ桜』について発言しないことも、ボディーブローのように効いてきていると思います」
 単独過半数の攻防どころか、過半数を割り込む可能性は大いにある。勢いは確実に共闘野党にあり、野党への追い風となる静かな“微風”も起こりつつある。毎日の調査では、無党派層の比例投票先は立憲(21%)が自民(15%)を上回っていた。「無党派の多くは自民に批判票を投じるために投票に行く」(前出の自民党関係者)というから、投票率が上がれば何が起こるか分からない。

卑怯な手段で国民を舐めた自業自得
 衆院選は政権がやってきたことに対し、有権者が審判を下す場である。前回選挙からの4年間だけを見ても、アベスガ政治は数の力を盾に、私物化や忖度を横行させ、憲法無視や公文書改ざんなど犯罪まがいの行為すら是としてきた。驕り高ぶった自民党には、鉄槌が下されなきゃおかしい。
 そうしたアベスガ政治を、岸田は反省しないどころか、継承しようとしているのだ。森友問題の再調査をしようともせず、地元・広島で起きた参院選に絡む「1億5000万円問題」でも県連からの再調査要求を突っぱねている。
 今ならば分かるが、総裁選時から岸田の頭の中にあったのは、電波ジャックで自民党への注目が高まったまま、新内閣のボロが出ないうちに超短期決戦に突入する――だったのだろう。野党があれほど要求しても予算委員会を開かず、地方自治体など事務方の準備を考慮して「11月7日投開票」が本命だった選挙日程を無理やり1週間前倒しした。解散から投票まで20日間は必要とされるのに、岸田は「10月4日の記者会見で解散日と選挙日程を明言するから間に合うだろう」と、難色を示す総務省を半ばゴリ押ししたのである。
 自ら繰り出した奇策・奇襲に岸田はニンマリなのだが、衆院事務局に30年余り勤めた元参院議員の平野貞夫氏は、「憲法を冒涜する行為だ」と怒り心頭でこう話す。
「実は私のところに投票所入場整理券が解散前日の13日に届いたのです。衆議院の解散は閣議決定に基づき行われるというのが憲法の規定であり、閣議決定は14日に行われた。閣議決定前に整理券が届くのはおかしいじゃないかと思って、自治体に問い合わせると、『4日の会見で総理が解散日と選挙日程を表明したので、選挙事務を進めても問題ないという特別な通達が総務省から届いている』と言うのです。こんなことが認められていいのでしょうか。岸田首相は憲法順守義務違反ですよ。恣意的に憲法を解釈した安倍元首相以上に乱暴な憲法の運用です。国会を構成する議員を選ぶ行為は、国民主権を発動させる議会制民主主義の根幹。投票整理券無効訴訟や解散無効訴訟が起こされたら、岸田首相はどうするのか」

「何があるか分からない」
 アチコチで自民党の予想を超える激戦に追い込まれているのは、岸田が卑怯な手段で国民を舐めた結果の自業自得だ。安倍元首相や菅前首相とは違う岸田の柔和な表情に、国民は一瞬、騙されそうになった。だが、発足から半月。今は、これまでの政権と変わらぬズルさや傲慢さを感じ取り始めている。
「岸田さんに『選挙の顔』が務まるのか、と自民党内では以前から心配されていましたが、案の定でしたね。岸田離れの現象は、これからもジワジワ進むでしょう。一方、野党は予想以上に議席を増やせそうになり、さらに勢いづく。自民党が60~70減まで落ち込むことはさすがにないと思っていましたが、まさか、が起きるかもしれない。普通なら落選するはずのない人まで当落線上に落ちてくる。絶対的に強いと言われているベテラン議員ですら、『何があるか分からないから』と言い出しました」(野上忠興氏=前出)
 岸田自民はジリ貧。地滑り的敗北となる可能性が出てきた。たとえ与党で過半数を維持しても、自民の単独過半数割れなら、岸田の責任論が噴出しかねない。議会構成が与野党伯仲となれば、自民党は今までのような、臭いモノにフタをする横暴もできなくなる。国民を愚弄する政治は、終わらせなければいけない。


自民「50議席減」で単独過半数割れか…党が慌てて「情勢緊迫」通達を陣営に送付
                       日刊ゲンダイ 2021年10月22日 31日投開票の衆院選は、自民党の単独過半数割れが濃厚になってきた。序盤から「与党300議席超」「自公で3分の2うかがう」と圧勝が伝えられてきた過去2回の衆院選とは状況が一変。予想を上回る苦戦に岸田自民は真っ青だ。
                 ◇  ◇  ◇
 21日、主要メディアが一斉に報じた序盤情勢調査は、「過半数を視野」「単独過半数の攻防」などと、自民が単独で過半数(233議席)を維持できるかが焦点。現有276議席から40議席ほど減らすとみられているのだ。

甘利幹事長も「しのぎを削る」情勢
 これを見て慌てたのか、自民は21日、甘利明幹事長と遠藤利明選対委員長の連名で「急告 情勢緊迫」と題した通達を各陣営に送付。「多数の選挙区で与野党一騎打ちの構図になり、憂慮に堪えない」「多くのわが党候補者が当落を争う極めて緊迫した状況にある」などと危機感をあらわにしている。
 もっとも、読売新聞(21日付)の選挙区ごとの詳報を見ると、通告を出した甘利幹事長自身が立憲新人と「しのぎを削る」情勢で、遠藤氏も立憲新人と「接戦」と書かれている。ともに野党が候補を一本化した選挙区だ。
「前回衆院選では、URをめぐる口利きワイロ問題を蹴散らして12選を決めたほど選挙に強い甘利幹事長が接戦とは、驚きました。選挙を仕切る幹事長がもし負けることがあればシャレにならない。候補者の応援で全国を飛び回っている場合じゃないのではないかという声も上がっています」(自民党関係者)
 全289選挙区のうち、毎日新聞の調査では63選挙区、日経新聞では4割(約115選挙区)が与野党の接戦になっているという。その多くが候補一本化に成功した選挙区で、野党共闘が奏功した形だ。

比例復活のない長老組が苦戦
 一本化で一気に形勢が逆転した選挙区もある。とりわけ苦戦しているのがベテラン勢だ。
 自民党が今月15~17日に実施したとされる最新情勢調査では、秋田2区の金田元法相(72)や長崎4区の北村元地方創生相(74)、福岡5区の原田元環境相(77)らが劣勢。熊本2区の野田毅氏(80)や福岡9区の三原朝彦氏(74)は、野党候補に10ポイント以上も引き離されている。大分2区の衛藤征士郎氏(80)も野党統一候補相手に0.1ポイント差まで迫られた。
「比例73歳定年制」で重複立候補できなかった長老組は、選挙区で負ければオシマイだ。  
「安倍長期政権と、それを引き継いで安倍氏の残り任期を務めた菅政権に対する嫌悪感が、ベテラン組に対する忌避感に重なっている。政権交代の熱気がないのに、与党がここまで苦戦するのは、庶民の怒りがたまっているからでしょう。コロナ禍で、自民党支持層の自民離れが加速した。長期政権の反省もないまま野党批判を繰り返しているだけでは、投開票日までにさらに票を減らしかねない。今後の状況によっては50~60議席減もあり得ます」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
 低投票率だと自公に有利という経験則も通用しなさそうだ。