野党が候補を統一すべきであることをいち早く提唱し、それに向けた組織作りもして来た植草一秀氏が、「枝野幸男氏は野党共闘を肯定すべし」とするブログを出しました。
その論理は明快で、「枝野氏が総選挙直前に『共闘する対象は国民民主党と連合であって、共産党、社民党、れいわとは共闘しない』と発言して野党共闘に弾みがつくとは考えられない。野党共闘を確立して政権を奪取するには立民党の大改造が必要不可欠で、立民党の党首交代も必要不可欠」というものです。
共産党の志位委員長が、「市民連合と4野党は20項目の共通政策で合意している。野党が政権を奪取した場合はその範囲内で(立民党の要求に従って)閣外で協力する」と語り、枝野発言に批判がましいことを口にしていないのは立派で、今回はその線で行くわけですが、植草氏が指摘する通り、長い目で考えれば野党共闘を確立するには立民党の大改造と党首交代は必要不可欠です。
植草氏は総選挙を前に野党批判するのはどうかとの意見については、「どうか」の言葉で表現すべきは野党第一党の党首の姿勢であることを見落とすべきでないと述べ、立民党がこの姿勢を押し通すなら日本政治刷新の道を切り拓くことは極めて困難としています。
具体的にどう対処するかは今後の課題です。
併せて植草氏のブログ「ルネサンスとはすべてを疑うこと」を紹介します。
その中で、鳩山友紀夫元首相、孫崎享氏、前川喜平氏との共著『出る杭の世直し白書(ビジネス社)https://amzn.to/3hSer8a について、「反ジャーナリスト」の高橋清隆氏から寄せられた書評が紹介されています。
高橋清隆氏は、2006年9月の「植草氏・京急事件」から同事件の取材を始め、裁判を全て傍聴したことで植草氏が無実であることを知っている立場から、民主党政権が誕生した2009年の総選挙から同年9月16日の鳩山政権誕生までの間、植草氏が身に覚えのない罪で東京拘置所に収容されていたことを紹介し、「選挙の日程に合わせて身柄を拘束された」政治謀略に遭い、体制側の「人物破壊工作によって社会的生命に甚大な攻撃を受けた事実」を明らかにしています。
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枝野幸男氏は野党共闘を肯定すべし
植草一秀の『知られざる真実』 2021年10月19日
衆院選が公示された。10月31日の投票日まで2週間弱の選挙戦が展開される。
自公政治の打破が求められるが、そのためには基本政策を共有する野党勢力が連帯して対応することが必要不可欠。
共産党を含む野党共闘体制の構築こそ政権刷新のカギを握る。
ところが、残念なことに野党第一党の立憲民主党代表の枝野幸男氏が野党共闘に否定的な発言を示している。
共闘する対象は国民民主党と連合であって、共産党、社民党、れいわとは共闘しないと述べている。総選挙直前のタイミングでこのような発言をすることは極めて残念なこと。
立憲民主党は党勢を拡大するために共産党の支援を必要としているのではないか。
選挙直前のタイミングで「共闘するのは国民民主党と連合で、共産党、社民党、れいわとは共闘しない」と発言して野党共闘に弾みがつくとは考えられない。
日本政治刷新に向けて少し長い目で問題を捉える必要がある。
野党共闘を確立して政権を奪取するには立憲民主党の大改造が必要不可欠。立憲民主党の党首交代も必要不可欠。この点も視野に入れて総選挙に臨む必要がある。
総選挙を前に野党批判するのはどうかとの意見もある。
しかし、「どうか」の言葉で表現すべきは野党第一党の党首の姿勢であることを見落とすべきでない。
総選挙を前に、野党共闘の対象は国民民主党と連合であって、共産党、社民党、れいわは共闘の対象ではないと発言する野党第一党の党首の姿勢を「どうか」と考えるべき。
この姿勢では、残念ながら政権奪取は困難だ。
「オールジャパン平和と共生」=政策連合の活動を始めた2015年6月以降、一貫して政策を基軸にした連帯構築の必要性を主張してきた。
共産党とも基本政策を共有し得る。
平和主義の堅持
原発稼働ゼロ
共生の経済政策
の基本を共有して強固な野党共闘を構築するべきである。
この基本方針に背を向けているのが立憲民主党。
立憲民主党がこの姿勢を押し通すなら日本政治刷新の道を切り拓くことは極めて困難。
長い目で見て政治刷新を実現するには立憲民主党の大刷新、あるいは、立憲民主党に代わる「たしかな野党」の構築が必要だ。
立憲民主党の枝野体制を温存することは政治刷新を遠ざけることにつながる可能性が高い。
この点まで洞察して衆院総選挙に臨むことが必要だ。
野党候補を一本化した選挙区については野党統一候補を支援する。
しかし、野党候補を一本化しなかった選挙区については正しい考え方で対応する必要がある。
重要なことは野党共闘に背を向けた立憲民主党に対して厳しい姿勢で臨むこと。
共産党と候補者が重複する選挙区が多いが、共産党候補を支援するのが正しい対応になるだろう。
実質的な任期満了選挙であり、対応する時間は無尽蔵にあった。
しかし、野党第一党の立憲民主党は野党候補一本化に向けてリーダーシップを発揮してこなかった。逆に共産党との共闘を攻撃する連合六産別の意向にばかり配慮し続けてきた。
立憲民主党は連合六産別の支配下に置かれている印象。
これまでに指摘してきていることだが、野党陣営の分断を指向し続けているのは米国の日本支配勢力だ。日本の革新勢力が一枚岩で団結しないよう、分断するために1960年に民主社会党が創設された。
その民社党の支援母体とされたのが同盟。
「連合六産別」は「同盟」の系譜に連なる大企業御用組合の連合体だ。
民社党の系譜にそのまま連なるのが現在の国民民主党。
立憲民主党が連合および国民民主党と共闘するのであって共産党、社民党、れいわとは共闘しないと明示する以上、立憲民主党に政治刷新を求める主権者の投票が集中するとは考えられない。
この現実を冷静に見つめることが重要だ。
鳩山友紀夫元首相との対談(アジア共同体研究所主宰YouTube動画「UIチャンネル」)
https://bit.ly/39BTgmd
10月5日発売の鳩山友紀夫元首相、孫崎享氏、前川喜平氏との共著『出る杭の世直し白書(ビジネス社) https://amzn.to/3hSer8a
のご高覧も賜りたい。
(以下は有料ブログのため非公開)
「ルネサンスとはすべてを疑うこと」
植草一秀の「知られざる真実」 2021年10月18日
鳩山友紀夫元首相、孫崎享氏、前川喜平氏との共著
『出る杭の世直し白書(ビジネス社)https://amzn.to/3hSer8a について「反ジャーナリスト」の高橋清隆氏が書評を掲載くださった。
高橋清隆氏はデイビッド・アイク氏の訳書を上梓されたばかり。
『答え 第1巻[コロナ詐欺編]』(ヒカルランド) https://amzn.to/3n24y9N
をすでに本ブログで紹介させていただいているが、アイク氏はコロナ陰謀論を大々的に展開されている。
Amazonには上掲書について、つぎのように記述されている。
「全世界を巻き込んだ偽の新型コロナ大流行なるお祭り騒ぎは、全人類を10分の1に減少させ、生存者は監視都市に収監するためのはかりごとだ。
本来の「無限で永遠で自由かつ全一」なるあなた自身を取り戻すしかない。
その解が、本書『答え』にある!」
私はアイク氏がレプティリアン(爬虫類人)説を唱えていることに疑問を感じている。
そのことがアイク氏の主張に対する信認に影響を与えていると感じている。
アイク氏はイルミナティなどグローバルエリート達による秘密結社は、爬虫類人(レプティリアン)と呼ばれる別次元から来た霊的生命体に支配、操作されているとしている。
ただし、同氏が提示する諸問題については注意を払う必要があると思う。
上掲書のご高読をお勧めする。
高橋清隆氏が掲載くださった書評を以下に一部転載させていただく。https://bit.ly/30uObL3
【書評】『「なんでも官邸団」に成り下がった政財官を斬る! 出る杭の世直し白書』鳩山友紀夫・孫崎享・前川喜平・植草一秀(ビジネス社)
カルト権力による謀略によって社会の表舞台から引きずり降ろされた4人の有能な政治家・官僚・学者による対談をまとめた本。現下の日本社会の問題点を挙げ、世直しの方策を提言する。
扱う主題は、感染症対策や外交問題、脱酸素と脱原発、経済政策、教育など多岐にわたる。各分野の第一線にいた4人だから、裏事情まで知り尽くしていて説得力がある。ただし、新型コロナウイルスの脅威とCO2温暖化説を信じる立場から書かれており、私の見解と前提を異にする。
しかし、財政問題を論じた第4章「日本の財政と経済政策」と教育政策を論じた第5章「変わりゆく教育」には、共感する部分が多々あった。特に経済論では植草氏の本領が発揮され、「財政規律そのものは軽視しない方がいい」との立場を取りながらも、今回のコロナのように国民生活が打撃を受けるような局面では「必要に応じて財政政策発動も選択すべし」との主張が展開されている。
大規模な財政支出が可能だとする根拠は、政府のバランスシート(貸借対照表)。日本政府の債務残高は1100兆円を超えていると言われ、財務省が発表しているパンフレットでは592兆円の債務超過にあると説明されている。一方、内閣府の発表資料では99兆円の資産超過になっている。
両者の違いは、財務省の数値が中央政府だけなのに対し、内閣府の数値は地方政府と社会保障基金が含まれていることからくる。公共事業によって建設される道路や橋などの建造物の所有区分は、地方政府に入っている。「日本政府全体の財務バランスは、国と地方を合わせて見なければ、本当のところが分からない」と説き、この隠蔽(いんぺい)を財務省による「偽装的な工作」と指弾する。
教育論で前川氏は、多様性ある教育制度を提案する。小学校と中学校の不登校は第2次安倍政権から増え続けており、2020年では20万人を超える勢い。「学校で普通教育を受けることが適切でないと自ら判断する子供に対しては、別の場で普通教育を受ける機会の確保を保障することが必要」と主張する。
植草氏もこれに同調し、「憲法が定める教育の義務とは、子女に普通教育を受けさせる義務であって、子女に学校教育を受けさせる義務ではない」と指摘。普通教育法を制定し、学校を受け皿の1つとして位置付けるべきとの考えを示す。
第1章「新型コロナ対策は機能したのか」でも、注目すべき部分がある。植草氏は菅政権のコロナ対策を「後手後手」「小出し」「右往左往」と不徹底ぶりを批判しながらも、一方でジョンズ・ホプキンス大学などが2019年10月に開催した「イベント201」やビル・ゲイツの「新ワクチンや保健医療、生殖関連で十分な成果を収めれば、(世界人口の増加を)10~15%に抑えることができるかもしれない」発言を紹介する。
コロナ騒動について「その大きな目的がワクチンによって巨大な売上を確保するということがあっても、おかしくない」と述べ、計画的なものである可能性を否定していない。
前川氏もGo Toキャンペーンが「感染を拡大したことは間違いない」としながらも、安倍元首相による全国一斉休校について「感染拡大阻止に効果がなかったばかりか、的外れで非常に弊害が大きかった」と批判。「10代以下でコロナによって亡くなった子供は、今のところ日本では変異株も含めて1人もいない。学校を閉じないと子供の健康や安全を守れなかったかというと、そんなことは全くなかった」と両断している。
日本の主権者が政権交代の偉業を成し遂げた2009年の総選挙から同年9月16日の鳩山政権誕生までの間、植草氏は身に覚えのない罪で東京拘置所に収容されていた。「おわりに」で植草氏は、「私は選挙の日程に合わせて身柄を拘束された」と政治謀略だったとの見方を示し、「鳩山氏に私信を繰り返し発信した」と明かす。
さらに「私は人物破壊工作によって社会的生命に甚大な攻撃を受けたが、全ての事案が正真正銘の冤罪(えんざい)事件である。真実は必ず明るみにしなければならないと考えている」と記す。私は2006年9月の「京急事件」から同事件の取材を始め、裁判を全て傍聴した立場から、植草氏が無実であることを知っている。
第6章「政治と行政の再建」の中でも、「いずれ政権刷新を実現した暁に真実を明らかにしたい」と胸の内を吐露する。俗世の天国と地獄、権力の表裏を見てきた植草氏には、三権分立が虚構であることが身をもって分かっているからだろう。政権交代にかける並々ならぬ思いに心打たれる。
詳細は高橋氏のブログ記事をご高覧賜りたいが、高橋氏にはこの場をお借りして改めて深謝申し上げたい。
鳩山友紀夫元首相との対談(アジア共同体研究所主宰YouTube動画「UIチャンネル」)
https://bit.ly/39BTgmd
10月5日発売の鳩山友紀夫元首相、孫崎享氏、前川喜平氏との共著『出る杭の世直し白書(ビジネス社) https://amzn.to/3hSer8a
のご高覧も賜りたい。
(以下は有料ブログのため非公開)