岸田政権が発足して1週間ですが、所信表明と代表質問を通じて早くも「口先だけの首相」の姿が明らかになりました。岸田首相が総裁選で訴えていた目玉政策が次々に後退しています。
「新自由主義からの転換」や「新しい資本主義」はいまや影も形もなくなり、「金融所得課税の見直し」も消えました。
新型コロナウイルス対策も大幅に修正され、「予約不要の無料PCR検査所の拡大」の公約は、所信表明では「予約不要の無料検査の拡大に取り組みます」とPCRの文字が消え、政府の権限を強化して感染症対策にあたるために設置すると訴えていた「健康危機管理庁」も消えました。PCR検査の拡充に反対の厚労省の壁を打破できなかったのは明らかです。
最初からウソをつくつもりではなかったと思いたいところですが、こうした重要な柱を次から次へと引っ込めるというのであれば、あるいは引っ込めても何の罪悪感もないというのであれば、首相の資質として大いに欠けているというしかありません。
金子勝・立正大名誉教授は、聞こえの良い政策を掲げたが実行する段になって、「関係者の抵抗が強いと分かったときに、障害を乗り越えて何としても実行するという気概がまったくみられない。これでは国民の不信感は増大する(要旨)」と述べています。
こんなことでは国民は岸田首相の言うことは何も信用できないと思うようになります。
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首相の正体見たり! 政権発足1週間で目玉政策が次々と後退
日刊ゲンダイ 2021/10/12
岸田政権が発足して1週間。所信表明と代表質問を通じて、早くも「口だけ首相」の化けの皮がはがれてきた。岸田首相が自民党総裁選で訴えていた目玉政策が次々と後退している。
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岸田首相は総裁選で「新自由主義からの転換」や「成長と分配」を前面に打ち出し、格差是正政策として“金融所得課税”の強化を訴えていた。金融所得課税は、金持ち優遇との批判が強いからだ。
ところが、11日の代表質問に対する答弁では「分配政策として、まずやるべきことがたくさんある」と語り、金融所得課税の強化を引っ込めてしまった。首相就任後、株価が低迷し、市場のプレッシャーにあっさり屈服した格好だ。
新型コロナウイルス対策もシレッと修正している。岸田首相は総裁選で〈予約不要の無料PCR検査所の拡大〉を公約に明記していた。しかし、8日の所信表明では「予約不要の無料検査の拡大に取り組みます」とPCRの文字が消えた。11日は「予約不要の無料検査の拡大などPCR検査を含め、さらに検査体制を強化していく」と、PCR検査を“含め”と曖昧なことを口にしている。PCR検査の拡充を渋る厚労省の壁を打破できなかったのは明らかだ。
一時、前向きだった「森友調査」も安倍元首相におもねって引っ込め、河井事件の1億5000万円問題も、かつて二階幹事長に「説明責任」を直談判していたのに、首相就任後は「必要なら説明する」に後退している。総裁選で掲げていた公約は何だったのか。
■実行力もやる気もなし
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言う。
「総裁に立候補する時は、他候補との違いをアピールするため、耳当たりのいい政策を掲げたが、いざ、実行する段になると関係者の抵抗が強くて難しくなり、トーンダウンせざるを得なかったのでしょう。障害を乗り越え、何としても実行するという気概もまったくみられません。実行力もやる気もないということです。総裁に選ばれて2週間足らず、総理に就いてまだ1週間なのに、就任早々、こんなに軌道修正する首相は珍しい。短期間の国会ですが、国民の不信感は増大するのではないでしょうか」
岸田首相の言うことはすべて疑った方がいい。総選挙で審判を下すしかない。