文科省元事務次官の前川喜平氏は20日、共産党の池内さおり候補(東京12区・比例)の応援に駆け付けて、「今の腐った政権を変えるためには共産党が加わった連合政権しかあり得ない」と明言しました。これは多くの革新勢力が持っている確信です。
ところが立憲民主党の枝野代表は7月の時点で、衆院選には立憲民主党だけで衆議院の過半数(233人)の候補を立てると宣言し、9月1日の共同通信のインタビューでは、「共産党とは日米安全保障条約や天皇制といった長期的に目指す社会像に違いがあり、連立政権は考えられない」と明言しました。
10月8日には読売新聞記者の質問に答え、「皆さんは野党共闘といいますが、私はそれを口にしたことはない」と共産党、社民党、れいわとの共闘を否定し、「国民民主党と連合と共闘する」と語りました。
そして18日の与野党9党首の党首討論会では、公明党の山口代表からの質問に答え、「基本的には政権そのものは単独政権を担わせていただく」と、ひたすら立民党の単独政権に拘りました。野党が全体として前進するのは明らかですが、立民党が単独で過半数を占めるとはまた夢のような話で、あの絶叫調の演説はそうした高揚に基いているのかと思わされます。何故そんな感覚に陥っているのでしょうか。
いずれにしても、共産党排除という連合の意向は最初から分かっていたことなので、ここにきて俄かに単独専行を口にするようになったのは、枝野氏自身の考えに基づいていると思われます。そうだとすると彼が代表を務めている間は野党共闘は無理でしょう。
『政策連合』(オールジャパン平和と共生)の運営委員である植草一秀氏は、
「野党第一党の立憲民主党が、基本政策を共有する政治勢力による大同団結を実現するためにリーダーシップを発揮すべきなのに、逆に『共産党、社民党、れいわとは共闘しない』と発言している。それでは共産党を含む政治刷新勢力による政権樹立を目指す主権者は立憲民主党を全面支援できない(要旨)」
として、野党候補者を一本化できなかった選挙区についてどういう投票行動を取るべきかについて提案しました。詳細は本文をご覧ください。
併せて冒頭に記載した前川喜平氏の応援演説に関する記事を紹介します。
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共産含む野党共闘 威力を知らしめる
植草一秀の「知られざる真実」 2021年10月22日
日本国憲法前文は次のように始まる。
日本国民は正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、(中略)主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。
そもそも国政は国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。
これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基づくものである。
日本の主権者は国民。
国民が正当に選挙された国会における代表者を通じて行動する。
国政は国民の厳粛な信託によるもの。
国政の権威は国民に由来し、国政の権力は国民の代表者がこれを行使し、国政の福利は国民がこれを享受する。
主権者である国民にとってもっとも大切な権利の行使機会が選挙である。
衆議院総選挙が10月31日に投票日を迎える。
すべての国民は主権者として選挙に参加し、国政のあり方を決定しなければならない。
衆議院総選挙後に召集される特別国会では召集とともに内閣が総辞職し、他のすべての案件に先だって内閣総理大臣が選出される。
選出された内閣総理大臣が国務大臣を指名して内閣が組織される。行政権は内閣に属する。
私たちの生活に直結する行政を行う体制はこのようにして定められる。
この意味で衆議院総選挙の意味は何よりも重い。
選挙の前に政党は政権の構想を示す。その構想を踏まえて主権者である国民が投票を行う。
この意味で衆議院総選挙は「政権選択の選挙」である。
主権者にとっての悩みは、選べる選択肢のなかから選ばねばならないこと。
提示されたメニューのなかからしか選べない。
しかも、最終的に実現する政権はただひとつ。
自分の選んだ政権の体制が実現するとは限らない。
内閣総理大臣の指名は国会のなかの選挙で行われる。
国会での投票で最多の得票を得た者が内閣総理大臣に就任する。
通常は国会の過半数議席を獲得した勢力の意向が内閣総理大臣指名選挙の結果に反映される。
したがって、主権者が望ましい政権を誕生させるためには、支持する政治勢力が国会の過半数議席を獲得することが必要になる。
これを実現して初めて、自分が望む政権が樹立されることになる。
悩ましいのは、それぞれの個人が望む政権選択のメニューが示されるとは限らないこと。
「帯に短し、たすきに長し」の選択肢しか提示されないこともある。
しかし、だからと言って投票の権利を放棄してしまえば、主権者としての権利は意味を失う。
選ぶことのできる選択肢のなかから「最善」を選んで投票するしかない。
権利の行使は極めて大切なこと。
自公は自公政権の維持を目指して行動する。
問題は自公政治の刷新を求める主権者の行動。
本来は、野党第一党の立憲民主党が、基本政策を共有する政治勢力による大同団結を実現するためにリーダーシップを発揮するべきだ。
ところが、立憲民主党がこの役割を十分に果たしていない。
共産党を含む野党共闘確立が日本政治刷新の条件だが、この方向に動いていない。
立憲民主党の枝野幸男氏は「国民民主党と連合と共闘し」、「共産党、社民党、れいわとは共闘しない」と発言している。
したがって、共産党を含む政治刷新勢力による政権樹立を目指す主権者は立憲民主党を全面支援できない。
「政策連合」(オールジャパン平和と共生)は、基本政策を共有し、共産党を含む野党共闘の構築を訴えてきたが、残念ながら立憲民主党がこの要請に十分こたえていない。
このなかで共産党が一方的な譲歩を示して多くの選挙区で候補者一本化を実現した。
この功績は極めて大きい。
このことを踏まえて「政策連合」は今回の衆議院総選挙に対して、以下の対応方針を提唱する。
1.野党統一候補を擁立した選挙区ではその統一候補を支援する。
2.野党候補者を一本化できなかった選挙区では、共産党・社民党・れいわ新選組(候
補者擁立順)、立憲民主党の順序でただ一人の候補者への投票集中を呼びかける。
3.維新および国民民主党候補者は支援しない。
4.一本化された候補者が国民民主党候補者である場合は自主投票とする。
この方針で対応することとする。
鳩山友紀夫元首相との対談(アジア共同体研究所主宰YouTube動画「UIチャンネル」)
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のご高覧も賜りたい。
共産党が加わる連合政権しかない 文科省元事務次官 前川喜平氏の応援演説
しんぶん赤旗 2021年10月22日
20日、日本共産党の池内さおり 東京12区・比例候補の応援に駆け付けた、文科省元事務次官の前川喜平氏の訴えを紹介します。
自公政権か、共通政策を持つ野党4党の政権か、その政権選択が迫られるのが今回の選挙です。政権交代する受け皿がちゃんとできている。この選挙は政権を交代させられるチャンスなんです。
なぜ文科省の役人だった私が共産党の応援に来るのか。それは今の政権があまりにも腐っているからです。どのままにしておけないと確信しているからです。
今回共産党が政権交代、連合政権をつぐろうと訴えている。現役時代は共産党とたたかっていました。しかしこの政権をかえるためには、共産党が加わった連合政権しかあり得ない。
野党共通政策は自公政権にはできないことばかり。脱原発の姿勢もはっきりしています。気候危機の下、脱炭素も待ったなし。自公政権ではそれができない。大企業と富裕層のための政権だからです。
憲法違反の安保法制をつくった安倍元首相に牛耳られているのが今の自公政権です。集団的自衛権の下で米国と一緒に戦争する国にしてはいけない。核保有国との橋渡しをするのであれば、核は悪だという側に立たなければならない。
この選挙は憲法を守り国民の命を守る政治か、憲法をないがしろにして国民を無視する政治かの選択です。。池内さおりさんに投票することは、国民や平和のために尽くす政治を行う政府をつくることです。