2021年10月15日金曜日

具体策なくして格差是正なし(植草一秀氏)

 岸田政権は、当初謳った改善の旗を次々と降ろす中で唯一意欲を見せているのは、(分配政策の一環として)賃上げを行った企業には法人減税措置を講じるという政策ですが、それは「一部の人たちに賃上げがし易くなる」というだけのことです。植草一秀氏は、「賃金を引き上げる企業を優遇するのでは、そこで働く労働者は恩恵を受けられるが、賃金を引き上げられない企業が多数存在する。恩恵を受けられる労働者と恩恵を受けられない労働者の格差が拡大するだけで問題は解決しない(要旨)」と述べています。

 当初の「オールジャパン」を18年3月に「オールジャパン平和と共生」に発展させた植草氏は「政策連合」を打ち出し、新自由主義経済政策から共生の経済政策への転換、すなわち、「むしり取る経済政策」から「分かち合う経済政策」(「シェアノミクス」)を提唱しました。
 その具体的施策は、消費税廃止、最低賃金引き上げ、最低保障年金確立、一次産業戸別所得補償、給付型奨学金&奨学金徳政令で、その財源は法人税増税、所得税の総合課税化、金融資産課税、利権支出排除でした。
 植草氏によれば、それが一年後に「れいわ新選組」公約の支柱にされました。
 そして「シェアノミクス」の具体的な政策の柱である 消費税減税・廃止、最低賃金全国一律1500円政府補償、生活保障制度確立は、今回の衆院総選挙に際して日本共産党が全面的に公約に掲げていると述べています。
 植草氏のブログ「具体策なくして格差是正なし」を紹介します。
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具体策なくして格差是正なし
               植草一秀の「知られざる真実」 2021年10月13日
「聞く力」は大切だが、より大事なことはそのあとに「何を実行するのか」だ。
聞くだけなら存在の意味がない。
新自由主義経済政策との訣別。正しいが内実を伴わなければ意味がない。
岸田文雄首相は「新自由主義経済政策」からの転換を唱えるが具体策がない。
総論だけでは意味がない。
「政策連合」は新自由主義経済政策から共生の経済政策への転換を提唱してきた。
2018年4月19日の院内集会で 「さようなら!アベノミクス」をテーマに
「分かち合う経済政策」=「シェアノミクス」を提唱。https://bit.ly/30moV9Y 
私はへのテーマで話をさせていただいた。
「アベノミクス」に代わる新しい経済政策として「シェアノミクス」を提唱し、具体的施策として次の五つの柱を提示した。
消費税廃止、最低賃金引き上げ、最低保障年金確立、一次産業戸別所得補償、給付型奨学金&奨学金徳政令だ。

これが一年後に、「れいわ新選組」公約の支柱にされた。
「政策連合」は、同時に財源確保の方策として、法人税増税、所得税の総合課税化、金融資産課税、利権支出排除 を掲げた。
その上で、「シェアノミクス」の具体的な政策の柱として
 1.消費税減税・廃止
 2.最低賃金全国一律1500円政府補償
 3.生活保障制度確立
の三点を掲げてきた。
今回の衆院総選挙に際して、この三つの基本政策を全面的に公約に掲げたのが日本共産党。

「格差是正」を叫んで実現するには具体的施策が必要不可欠。
岸田文雄氏は「成長と分配」を実現するために「官民での取り組み」と述べるが具体策がない。
「賃金を引き上げる企業を優遇する」と言うが、それで問題は解決しない。
賃金を上げられる企業で働く労働者は恩恵を受けられる。
しかし、賃金を引き上げられない企業が多数存在し、恩恵を受けられる労働者と恩恵を受けられない労働者の格差が拡大の一途を辿っている

格差拡大の構造を根本から修正する施策が必要だ。
その柱は三つ。
第一は、すべての労働者に保証する賃金の最低ラインを引き上げること。
最低賃金全国一律1500円を実現すれば世の中は一変する。
米国でも最低賃金15ドルが具体的提案として示されている。
突飛な提案ではない。
重要なことは、これを企業に押し付けても実現しないこと。
政府が資金支援して最低賃金の大幅引き上げを実現することがポイントなのだ。
第二は、税負担の制度において「能力に応じた負担」原則を貫徹すること。
そのために必要なことは消費税を減税または廃止する一方、大資本と富裕層に適正な負担を求めること。
金持ち優遇の金融所得課税を適正化することは、この施策の一丁目一番地。
第三は、憲法が規定する生存権を保障するために、要件を満たす人すべてに生活保護制度を適用すること。
同時に「生活保護」の用語を「生活保障」に変える。
その上で、最低賃金引き上げに連動して引き上げる「生活保障」を、要件を満たすすべての人に適用して実施する。「生活保障法制」を確立するのだ。

岸田文雄氏は「金持ち優遇税制の是正」の看板を下ろした。
格差是正に対する具体的で有効な提案が基本的になくなった。
この問題が衆院総選挙最重要争点の一つになるだろう。

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