2021年10月21日木曜日

21- 「民主主義の危機」を克服するために 世界平和アピール七人委声明

 19日の衆院総選挙公示日を前にして、世界平和アピール七人委員会(現在は6名)が「民主主義の危機を克服するために」との声明を出しました。

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「民主主義の危機」を克服するために (アピール WP7 No.149J
                           2021年10月18日
                           世界平和アピール七人委員会
                         (大石芳野  小沼通二 池内了
                          池辺晋一郎 髙村薫  島薗進
岸田文雄首相は9月29日の自民党総裁選挙で勝利が決まった直後の記者会見において、「今まさにわが国の民主主義そのものが危機にある」と述べた。果たして、この発言は彼の真意からのものであろうか。

2012年以来の安倍政権、菅政権では、首相が不正に関わっていても疑惑をはらすことができず、公共的な組織に対する不当な抑圧や、公私をわきまえない利益誘導をおこなう暴挙が相次いだ。そして、それらに対する説明は拒否し、批判には応答しないということが繰り返された。何より、国会においてその都度論議すべきであったのに、開催自体を拒否し続けた。このように政治の最高責任者が、意思決定の根拠を説明して国民に理解を求めることを拒否するのは民主主義の基本的条件を否定するものである。「国民の声が政治に届かない」事態が繰り返されたのである。

岸田新首相の10月8日の所信表明演説では、これまでの政権に問われてきた問題・疑惑に一切触れなかった。「丁寧な対話」といいながら、総選挙を前にして、国会においては代表質問だけにとどめ、与野党間の論議を行う姿勢を見せなかった。これでは「民主主義の危機」にまともに向き合っていく意思があるとは思えない。9年間に及んだ安倍政権、菅政権が繰り返し強権を振りかざし、異論を無視してきたことに対する国民の批判に、首相は正面から応えて、名目だけにとどまらない「民主主義の危機」の克服に努めるべきである。

国民の国政参加の重要な機会である総選挙における投票率の低迷とその背後にある無関心は、民主主義の危機をもたらしている重要な要因の一つである。国民一人一人が、現在問われている国政のあり方に思いをいたし、投票を通して積極的に意思表示されることをわたくしたちは願っている。