2021年10月31日日曜日

岸田首相が極右雑誌「Hanada」「WiLL」に登場し改憲宣言 黒幕は安倍氏

 12年以降 岸田派と呼ばれている宏池会は、1957年に池田勇人を中心に結成された自民党の最も古い派閥で、政策面ではハト派的傾向の「リベラル」と位置づけられ、憲法改正には慎重でした。その領袖である岸田氏が、15年秋の宏池会の研修会で「当面、憲法9条を変えることは考えない」と発言したのは当然のことですが、それに安倍元首相が激怒すると岸田氏は震い上がって、以後改憲反対を口にしなくなりました。
 改憲するかどうかは、優れて政治家の生命である信念に関わる問題であって、誰かの不興を買ったからといって簡単に変えられるものではないし、変えていいものでもありません。それをいとも簡単に変えてしまうというのは 唯々「信念のなさ」に他なりません。
 ところで岸田首相は、何と極右雑誌の「月刊Hanada」「WiLL」に登場して、「九条への自衛隊の明記は当然」「緊急事態条項の創設も必須」と、憲法改正宣言を行ったということです。
 同誌にはしばしば安倍晋三氏が登場し、最近では高市氏も登場しています。今回の件も、多分 直接的乃至間接的に安倍氏の働きかけがあったのではないかと思いますが、一国の首相が普通の人なら眉を顰めるようなネトウヨ雑誌に平然と登場するのは異常なことです。
 岸田氏は総裁選中に打ち出した「所得倍増」を早々に撤回しただけではなく、逆に「GDP比2%以上も念頭」に防衛費を増額すると述べました。
 日本の教育への公的支出のGDPに対する割合は16年以降OECD35か国中、最下位です(15年以前も、09年以降OECD32か国中 最下位でした)。それを米国に言われたからといって、役に立たない米国の兵器を買うために軍事費を5兆円から10兆円に上げるとは正気の沙汰ではありません。世界中から嗤われる話です。
 岸田氏は一体どこまで堕落するつもりなのかでしょうか。政治的信念が皆無であるなら、菅前首相と同様に一刻も早く退場すべきです。
 LITERAの記事を紹介します。
 日刊ゲンダイの記事「自民急失速!大物議員27人落選の現実味、現職3大臣&党役員3人も崖っぷち」を併せて紹介します。
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岸田首相が極右雑誌「Hanada」「WiLL」に登場し“改憲宣言”! 
  黒幕・安倍も「岸田さんはリベラルな印象だから反発受けない」
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 ついに明日31日、衆院選の投開票日を迎える。読売新聞の終盤情勢では「自民党の単独過半数維持は微妙」と報じられたほか、甘利明幹事長や複数の現役閣僚の劣勢が伝えられており、自民党にとって厳しい戦いになっていることは間違いない。
 だが、そんなことで安心はまったくできない。重要なのは、改憲勢力をいかに削り取るか、ということだからだ。
憲法改正の国会発議には衆参両院それぞれで定数の3分の2が必要だが、自民だけで単独過半数の維持ができずとも、公明党とあわせた与党で過半数を確保するのは確実な情勢になっており、さらに改憲勢力である日本維新の会の躍進も伝えられている。
 しかも、岸田文雄首相はこの選挙期間中も、安倍晋三・元首相や高市早苗政調会長と並んで極右雑誌に登場し、憲法改正を果たすと堂々宣言している。
 たとえば「月刊Hanada」(飛鳥新社)は、表紙に「岸田文雄総理 憲法改正宣言!」と銘打ち、岸田首相のインタビューを掲載。そのインタビュー記事のタイトルは、「岸田文雄内閣総理大臣 憲法改正は必ずやる!」。
 そして、インタビューで岸田首相は「総裁任期中の憲法改正の実現を目指します。これは当然のことです」と述べると、自民党の改憲4項目について、こう語っている。
九条への自衛隊の明記は、当然です」
緊急事態条項の創設も、災害の時代といわれ新たな緊急事態が予想されるなか、必須です」
 さらに、岸田首相は同じく極右雑誌の「WiLL」(ワック)にも登場し、同様の主張を展開。岸田政権下での改憲に「手応えを感じています」と答えている。
 そもそも、一国の首相がヘイトスピーチを連発しつづけるネトウヨ雑誌に平然と登場するというだけで一発アウトなのだが、この改憲をめぐる発言をひとつとっても、岸田首相がいかに安倍元首相にハンドリングされ、自分の意思のない危険な人物となっているかがはっきりとした。

「Hanada」では高市早苗が人権制約の改憲を、「WiLL」では安倍晋三が敵基地攻撃能力保有を主張
 そもそも、岸田首相は安保法制が成立した直後の2015年秋におこなわれた宏池会の研修会で「当面、憲法9条を変えることは考えない。これが私たちの立場」と発言したが、この発言が報じられると、安倍元首相は激怒。そこからは一転して安倍元首相の顔色を伺ったような発言を繰り返すようになっていた。そして、ついに安倍元首相を後ろ盾にして総理に成り上がったいま、安倍元首相の意向を蹴ることはけっしてできない。
 実際、「安倍元首相の代理人」として岸田政権の政策を動かしている高市早苗政調会長は、岸田首相のインタビュー記事が掲載されたのと同じ「月刊Hanada」に登場し、櫻井よしこ氏と対談。櫻井氏が「いまの日本国憲法は、どこを読んでも「ああ、日本人だな」と思うところがありません」と振ると、高市氏は「ありませんし、もう時代に追いついていません」と同意を示すと、高市氏は憲法12条に定められた「公共の福祉」や22条の「移動の自由」、14条の「法の下の平等」などを挙げて疑問視。岸田首相が改憲4項目を語るにとどめていたのに対し、人権の制約に直結するような条文にまで改正の必要性を匂わせている。
 しかも、安倍元首相にいたっては、岸田首相が自分の傀儡であることを隠そうともせず、むしろ誇示している。
 こちらも岸田首相が登場した「WiLL」に同じく安倍元首相も登場し、櫻井氏と対談。そのなかで、安倍元首相が退陣前にぶち上げ、岸田首相が選挙公約に盛り込んだ「敵基地攻撃能力の保有」について話題が及ぶと、安倍元首相はこう語っているのだ。
「私が防衛・安全保障について少しでも発言すると、なぜか野党やメディアは興奮してしまい、冷静に議論できなくなる(笑)。リベラルな印象の岸田さんが同じことを言っても、私ほどは反発を受けないはずです」
 大前提として、敵のミサイル発射拠点を破壊する「敵基地攻撃」は、国際法にも憲法にも反する先制攻撃にほかならず、第二次世界大戦の反省から日本が原則としてきた専守防衛から逸脱するものであり、到底容認できるものではない。現に、ほかならぬ岸田首相自身が外相時代の2015年に「他国から武力攻撃を受けていない段階で自ら武力の行使を行えば、これは国際法上は先制攻撃に当たる」と国会で答弁していた。それを、総理の座を欲するあまりに岸田首相は総裁選時から「敵基地攻撃能力の保有」に前向きな姿勢を見せたのだ。
 この岸田首相の露骨なご機嫌取りは信念のなさを如実に示しているが、その芯のなさ に付け込まれ、安倍元首相も「岸田さんはリベラルな印象だから反発を受けない」などと、岸田首相が自分の意志のままに操られるだけの存在であることを平然と語っているのだ。

所得「倍増」は撤回し、防衛費「倍増」は安倍・高市の言うがまま強行する岸田首相
 無論、これは「敵基地攻撃能力の保有」だけにとどまる問題ではなく、すべてにおいて当てはまる話だろう。つまり、憲法改正にしても同様に、安倍元首相は「自分が言うと反発を食らうが、リベラルの印象がある岸田なら反発を受けない」と踏んでいるはずだ。
 岸田首相は総裁選で大々的に打ち出した「令和版所得倍増」の文言を自民党の選挙公約に盛り込まず、ついには「平均所得や所得総額の単なる倍増を企図したものではない」と閣議決定。その一方、これまではほぼGDPの1%以内に抑えられてきた防衛費については「GDP比2%以上も念頭に増額を目指す」とし、安倍元首相や高市政調会長が目指す防衛費増額に弾みをつけた。つまり、「倍増」を謳った所得の話は撤回し、安倍・高市が主張する防衛費にかんしては「倍以上」を確約したのだ。この一件からしても、岸田首相がどこを見て政治をおこなっているかは一目瞭然だが、改憲も同じように、そもそも国民の関心が低いことや国民投票法のCM規制問題などすっ飛ばし、安倍・高市の言いなりとなって強行的に推し進めていくことは間違いない。

 本サイトでは繰り返し指摘してきたが、今回の選挙は「安倍・菅政権の延長」を求めるか否かの選挙であり、同時に強引な改憲議論に歯止めをかける選挙にしなければならない。自民・公明、さらには維新の議席を1つでも削り取ること。明日は、安倍元首相が地団駄を踏むような日にしなくてはならないのだ。 (編集部)