安倍・菅政権は「TV放送」に対して「忖度させる」という手法を用いて戦後史上例のない異常な干渉を行いました。それは安倍氏が小泉内閣官房副長官時代に、NHK教育テレビが「戦争をどう裁くか 問われる戦時性暴力」を作ったとき、放送の前日に番組制作のトップ二人を呼び出して様々にクレームをつけて放送内容を改変させたことを、後日、報道への干渉だと内部告発を受けた際に、「自分は指示はしておらずNHK側が自発的に改変した結果だ」と主張して裁判でも認められたことが、成功体験になっていたからといわれています。
09年に民主党政権が出来て在野暮らしをしたときには、安倍氏は世耕氏らと今日のネットサポーターをいち早く組織し、ネット上で自民政権を熱心に応援し反政権勢力には執拗な攻撃を浴びせるという今日のネトウヨ(ネット右翼)を生み出しました。それとは別に電通のプロも公然と取り入れています。
そんな中でフォロワー数17万超をもっているツイッターの発信者「Dappi」は、自民党や維新を持ち上げる一方、政権を批判する野党やメディアに対しては事実と異なる情報を投稿し拡散させてきました。「Dappi」から全くのデマを書かれた立民党の小西洋之、杉尾秀哉両参院議員が発信者情報の開示請求を行ったところ認められて、それが個人ではなく都内に本社を置く10数人規模のウェブ・広告制作会社で、自民党が得意先になっていたことが分かりました。
しんぶん赤旗日曜版編集部は、同社の社長が自民党本部の元宿仁・事務総長の親戚で、17年に建物を新築した際、住宅ローンを組むに当たり「りそな銀行衆議院支店」を利用したことを明らかにしました(同支店は、国会通行証を持ってそこに勤めている人のみに利用が限定されているので、本来であれば社長は利用できません)。
同社は、自民党東京都支部連合会から毎年ホームページ関係費や「自民党政経塾」の費用として支払を受けており、第2次安倍政権下の13年以降だけでも、都連からの支払は計約725万円に上ります。自民党が巨額の「政治資金」を使ってこの企業に世論操作をさせていたとすれば、民主主義を揺るがす重大事態です。
「LITERA」と「日刊ゲンダイDIGITAL」は、この企業の社長が、自民党本部事務総長の親戚だったという「しんぶん赤旗」日曜版(24日号)の調査報道について、「衝撃の赤旗日曜版スクープ」として取り上げました。
・LITERA ⇒ Dappi運営会社と“安倍の懐刀”自民党事務総長・元宿氏との関係! 社長は“自民党事務総長の親戚”を名乗り、元宿氏の親族の土地に家を
・日刊ゲンダイは「大疑獄事件に発展するかもしれない。日本共産党の機関紙『赤旗』が大スクープを放った」と報じました。
しんぶん赤旗の記事を紹介します。
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野党攻撃のツイッター「Dappi」運営企業社長、自民党本部事務総長と親戚
「赤旗」日曜版報道に大反響
しんぶん赤旗 2021年10月23日
ウソ情報で野党やメディアを攻撃する投稿をしていたツイッターの匿名アカウント「Dappi」。その運営にかかわっていた企業の社長は、自民党本部の事務方トップ・事務総長の親戚だった―。「しんぶん赤旗」日曜版(10月24日号)の調査報道が「衝撃のスクープ」と反響を呼んでいます。
「ついに核心に迫る大スクープが飛び出した」と日曜版記事を紹介したのはニュースサイトの「LITERA」。「日刊ゲンダイDIGITAL」は「赤旗日曜版スクープの衝撃」との見出しで「大疑獄事件に発展するかもしれない。日本共産党の機関紙『赤旗』が大スクープを放った」と報じるなど反響が広がっています。
フォロワー数17万超と大きな発信力を持つ「Dappi」。自民党や維新を持ち上げる一方、政権を批判する野党やメディアに対しては事実と異なる情報を投稿し拡散させてきました。その運営にかかわっていたのが個人でなく、自民党と取引のある企業だったことが大問題になっていました。
企業の存在が浮上したきっかけは、立憲民主党の小西洋之、杉尾秀哉両参院議員による発信者情報の開示請求でした。
「Dappi」は2020年10月25日、森友事件で公文書改ざんを強要され自殺に追い込まれた財務省近畿財務局職員についてのコラムを要約。「近財職員は杉尾秀哉や小西洋之が1時間吊(つ)るしあげた翌日に自殺」などと投稿しました。
自殺した近財職員に説明を求めたことも面会した事実もない両議員。投稿で名誉を傷つけられたとして損害賠償請求訴訟に向け、東京地裁に発信者情報の開示請求を申し立てました。それが認められ、アカウントに関与していたのが企業だと判明。両議員は10月、訴訟を起こしました。
日曜版編集部は、独自に問題の企業名を特定しました。都内のビルの一室に本店を置く従業員十数人のウェブ・広告制作会社です。設立は01年11月。民間調査会社などによれば、得意先は「自由民主党」となっています。
一般市民が意見を発信しているかのような投稿が、実は自民党と取引のある企業が組織的に行っていた疑いが浮上したのです。
Dappi運営企業 自民が資金
「Dappi」の運営に関わった企業の得意先がなぜ「自由民主党」なのか。自民党関係者が驚きの証言をしました。
「その社長とは会ったことがある。『元宿さんの親戚』と紹介され、本人もそう名乗り、名刺交換もした。自民党本部や都連を闊歩(かっぽ)していた」
「元宿さん」とは、自民党本部の事務方トップである事務総長の元宿仁氏(76)のこと。同党の事務局長を務め、その後、新設された事務総長に就任しました。
日曜版編集部は複数の関係者の証言や登記簿などから、社長が元宿氏の親族である事実を確認しました。
元宿氏の父方の親族(群馬県在住)の不動産登記簿によると、社長は17年5月、同地に建物を新築し、所有者となっています。
社長はその際、住宅ローンを組みました。抵当権者は独立行政法人住宅金融支援機構。その取扱店が、りそな銀行衆議院支店でした。編集部の取材に同支店は説明します。「当支店は議員会館に勤めている方の福利厚生施設となっている。そのため、一般の方は入れず、国会通行証を持ち、お勤めの方のみ利用や口座開設が可能だ」
民間人の社長がどうして衆議院支店を利用できたのか―。元宿氏の関与はなかったのか―。
同社の大口の収入源となっていたのが自民党です。
政治資金収支報告書によると同社は、「自由民主党東京都支部連合会」から毎年ホームページ関係費や「自民党政経塾」の費用として支出を受けています。第2次安倍政権下の13年以降だけでも、都連からの支出は計約725万円に上ります。
この企業に自民党が世論操作をさせていたとすれば、民主主義を揺るがす重大事態です。巨額の政治資金を使って世論操作できることになるからです。
日曜版編集部は、「Dappi」の投稿への関与や社長と元宿氏の関係について両者に質問しましたが、回答はありませんでした。