2021年10月23日土曜日

墨田区では徹底検査や独自病床で第5波ピークに重症者も死者もゼロ

 日本で、ある時点から感染者数が減少し出した原因は良く分からないようですが、22日の新規感染者数は全国で325人、東京都で26人と非常に落ち着いています(直近の死者数は全国で10数人/日)。
 小池知事によればコロナ患者確保病床、7日時点の6651床(うち重症者用503床)から、20日時点4969床(同372)に減少しました。
 東京都のコロナモニタリング会議は21日、深刻度に応じ4段階に分けている医療提供体制の警戒レベルを、上から2番目の「通常医療が一部制限」から、3番目の「通常の医療との両立可能」に引き下げました。昨年7月に警戒レベルの運用が始まって以来、この水準まで下がるのは初めてということです

 その一方で、コロナ対策の専門家組織の脇田座長は20日夜、北海道や青森などではすでにリバウンドの兆候があるとの見解を示しました。寒冷地では早くも新な流行の兆候が出ているということでしょうか。
 イギリスやロシアでは、既に1日に感染者が数万人という新型コロナの猛烈な感染爆発が起きているということです。日本でもこれから冬に向かって感染が拡大することは間違いないので、政府や地方自治体には今度こそ万全の予防体制を整えて欲しいものです。
 予防体制の要諦は繰り返し言われてきたように、徹底的な検査体制の構築と感染爆発に備えた病床の確保(臨時病床やホテル予約を含む)です。

 東京新聞によれば、新型コロナウイルス第5波のピークだった8には東京都の重症者は297人に達し、約400人が亡くなりましたが、墨田区では重症者、死者ともにゼロでした。保健所の体制強化、地域の病院との連携、素早い抗体カクテル療法の実施が功奏したものです。今後やってくる第6波に向け、ほかの自治体の参考になりそうだと伝えました
 亡くなってしまえば取り返しがつかないし、そうでなくても呼吸困難や重い倦怠感など重篤でいつ改善するのかも分からない後遺症が問題視されています。
 今度こそは第5波までの悲劇は根絶したいものです。以下に紹介します。

 関連してしんぶん赤旗が、政府の「病床機能再編支援」にかかわって新型コロナウイルス感染症対応の中心となる急性期病床などが、20年度分で約3400床の削減となったことを伝えました。これはコロナ下でも「医療費抑制ありき」の自公政権の姿勢をむき出しにしたもので、この政策は新政権は直ちに中止すべきです。
 併せて紹介します。

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コロナ医療体制「優等生」の墨田区に習う 徹底検査や独自病床で第5波ピークに重症者も死者もゼロ
                         東京新聞 2021年10月22日
 新型コロナウイルス第5波のピークだった8月、東京都の重症者は297人に達し、約400人が亡くなった。だが、墨田区では重症者、死者ともにゼロ。保健所の体制強化、地域の病院との連携、素早い抗体カクテル療法の実施が奏功した。今後やってくる可能性のある第6波に向け、ほかの自治体の参考になりそうだ。(原田遼)



◆5チームで24時間自宅訪問態勢
 都は8月、濃厚接触者を探す「積極的疫学調査」を効率的に実施するように各保健所に通知し、調査を事実上縮小させた。だが、墨田区保健所はこれまで通り調査を続けた。濃厚接触者のPCR検査をしないと、無症状の感染者がさらに感染を広げる可能性があるためだ。
 墨田区保健所は人員を第4波の時の1.25倍、約125人に増やしていた。体制強化により、自宅療養者全員に血中酸素飽和度を測るパルスオキシメーターを配布し、24時間体制で自宅を訪問する「健康観察チーム」も5つ整えた。
 西塚至所長は「重症者を増やさないため、重症化リスクのある人や症状の悪化が見られた人に早く抗体カクテル療法を実施することを重視した」と語る。7月下旬、軽症者の重症化を防ぐ効果が期待される抗体カクテル療法が特例承認されていた。

◆抗体カクテル療法可能な病床を捻出
 問題は、抗体カクテル療法を行う病床の確保だった。当時、都内に約6000床あったコロナ病床は、中等症や重症者でほぼ埋まった。墨田区内にコロナ病床は200床あったが、入院調整をするのは都で、区の裁量では使えない。
 そこで、区は区内の病院と協議し、1床当たり上限100万円を補助することで、抗体カクテル療法を行える「緊急対応病床」の確保を目指した。「シャワー設備がない」といった理由でコロナ病床にはできないが、「短期間なら入院受け入れが可能」という病床を区内で33床用意できた。
 7月下旬、軽症の30代女性の酸素飽和度が低下した際、すぐに緊急対応病床で抗体カクテル療法を行い、翌日には快方に向かったという。女性はぜんそくの持病があった。9月までに区内で行った抗体カクテル療法は約100件。第5波では一時、区内の自宅療養者は400人を超えたが、全員の重症化を防げた。

◆カギは「地域の連携力」
 墨田区が第5波を重症者ゼロで乗り切った要因として西塚所長は「地域の連携力」を挙げる。コロナ禍以降、区は週1回、保健所、医師会、全12病院でミーティングを行ってきた。地域の基幹病院で重症者を受け入れる墨東病院などの入院困難事例を共有。当初はコロナ患者の受け入れを渋った病院も、墨東病院などの苦境を知り、協力を申し出るようになったという。
 緊急対応病床に加え、区内の病院による重症から回復期にある患者や妊婦の患者の受け入れが、墨東病院の負担を和らげる。西塚所長は「都に任せきりにすると、一律的な基準で運用され、さまざまな患者のケースに対応できない。地域の事情に応じた課題を病院と一緒に解決することも必要だ」と指摘した。
 後藤茂之厚生労働相は21日、同区保健所などを視察。「第6波が来ることを覚悟し、新たな保健医療提供体制の確保を進める参考にしたい」と話した。
【関連記事】東京都、医療提供体制の警戒レベル引き下げ 運用開始後、初めて4段階の上から3番目に


コロナ 3400床削減 20年度分 自公政権 補助金で誘導
感染症対応の急性期病床など
                       しんぶん赤旗 2021年10月22日
 全額国費の補助金で医療機関を統廃合や病床削減へ誘導する「病床機能再編支援」にかかわって、新型コロナウイルス感染症対応の中心となる急性期病床などが、2020年度分で約3400床の削減となったことが厚生労働省の調べで分かりました。コロナ下でも「医療費抑制ありき」の自公政権の姿勢をむき出しにしたものです。

 再編支援は、25年までに高度急性期病床と急性期病床を計20万床減らすという「地域医療構想の実現」を狙ったもの。20年度限りの「病床ダウンサイジング支援」(全額国費84億円)として創設されましたが、21年度に現在の名称に改め、予算額は2倍超(同195億円)に増額。先の国会で再編支援を法定化し、全額に消費税財源を充てる法改悪が成立しています。
 厚労省がこのほど発表したのは20年度分の実績(計画分含む)。急性期病床の削減が最も多く、医療機関単独の削減と統廃合での削減が計2404床でした。長期入院向けの慢性期病床の削減を含めると計3401床減でした。看護体制が急性期より薄い回復期病床や介護医療院への転換分を除く2846床減を対象に、33道府県143医療機関に計56億7千万円を交付しています。
 厚労省はこれまで、急性期病床で特に看護体制が手厚い「7対1病床」(患者7人に看護師1人)の認定基準の厳格化や診療報酬の総額削減を続け、医療機関に体制縮小を迫ってきました。7対1病床はピーク時の14年時点から19年までに3万8千床減っています。
 病床削減に固執する自公政権に対し、日本共産党は地域医療構想の中止を何度も要求。医療ひっ迫を再び起こさないため、感染症病床や救急・救命体制への国の予算の2倍化、医師の削減計画の中止・「臨時増員措置」の継続を訴えています。