2021年10月16日土曜日

16- 「ゴゴスマ」が小室圭さん母子の金銭問題を詳報することに意味があるのか(森暢平教授)

 10月1日に宮内庁から、眞子様が「複雑性PTSD」を抱えておられると発表されたことを受け、メディアによる真子様への「わがまま」批判や、小室圭さんや母親への非難収まっていたのですが、小室圭さんの母親の金銭トラブルについて、母親の元婚約者のコメントが発表されたことを受けてテレビ各局のワイドショーはまたこの問題を取り上げました。

 中でもTBS系の「ゴゴスマ」は、11日45分もの枠を使って私人間の金銭問題を放送しました。番組中で石井アナは、元婚約者が「母親に直接会い、感謝の言葉を述べてもらいたい」と要求していることについて、「ありがとうって、会って言えばいいじゃない。圭さんのために元婚約者に会って『ありがとう』って言えば終わるのに」と述べたことに対して、この件でメディア側の態度を批判してきた森暢平教授は、「元婚約者は当初圭さんの母親にお金の請求も、会うことも求めない」と述べたのに、その後「解決したとは思わない」、「ありがとうと一言、言ってもらいたい」に変わり、「話し合っての解決は1回の面会では終わらない」とも述べていると明らかにしたうえで、母親が会えないのは第一に、元婚約者がいう「解決」が何を指すのかわからないためで、第二に、守秘義務がない週刊誌の記者が元婚約者の代理人となっているため、小室さん側の要望がメディアに筒抜けになり、誠実な交渉が行えないためだとして、元婚約者が何を求めているのかはっきりしないなかで、会いたいという要望には簡単には応じられないと述べています。得心が行きます。
 そして「この段階でメディアが金銭トラブルを取り上げるのに何の意味があるのだろうか」と述べています
 他に追及すべき問題は沢山あるのにメディの態度は不可解です。
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「ゴゴスマ」が小室圭さん母子の金銭問題を45分も放送することに意味があるのか
                      森暢平 日刊ゲンダイ 2021/10/13
                          成城大学教授
 小室圭さん(30)の母親の金銭トラブルについて、母親の元婚約者のコメントが発表された。これを受けて、テレビ各局のワイドショーはまたこの問題を取り上げた。なかでもしつこさを感じたのは、45分もの枠を使って私人間の金銭問題をなお放送するTBS系(CBC制作)の「ゴゴスマ〜GOGO!Smile!〜」(10月11日放送)である。いったい、この段階で金銭トラブルを取り上げるのに何の意味があるのだろうか
 メディアがこれまでこの問題を取り上げてきたのは、小室家がいかに眞子さま(29)の相手家族として相応しくないかを批判するためである。元婚約者への対応がいかに冷酷であるかを延々と批判してきた。「ゴゴスマ」も、そうした番組の1つであった。
 ところが、小室さんへの「誹謗中傷」が社会的な問題になって、テレビ局は小室さんや母親へのあからさまな批判をしなくなった。小室家批判と切り離して、純粋に金銭トラブルだけを放送したというわけだ。しかし、私人間の金銭トラブルだけなら、どのような公益性・公共性があるのだろうか
「ゴゴスマ」は、TBSの番組「ひるおび!」での、元宮内庁職員・山下晋司氏の次のコメントを紹介した。
(元婚約者は)あくまでも小室家を批判するために利用されてきたのであって、元婚約者(のこと)を週刊誌が本当に思ってやっているわけではない」「週刊誌にとっては、いい対象。自分たちの持っていきたいことを言ってくれる。相当、利用されてきたんだろうなというふうには感じた」
 山下氏のコメント内の「週刊誌」という言葉は、「ワイドショー」「ゴゴスマ」と置き換えてもまったく意味が通じる。「ゴゴスマ」をはじめとする、テレビ各局のワイドショーは元婚約者を「いいカモ」として利用し、トラブルを煽るだけ煽って小室家の不誠実さをなじってきたのである。
 この日の放送にしても、元婚約者の言い分をそのまま垂れ流している

■「お金も会うことも求めない」のに、なぜか「解決したとは思わない」
 番組では、今年4月8日の、いわゆる「小室文書」発表の段階で、お互いの認識を縮めながら解決していくとしていたのに、4日後に急に解決金を渡すことになったと説明された。勘違いである。
 お互いの認識を縮めて解決というのは、2019年の交渉開始時点での方針であった。この間違いは、以前も指摘した。再びこのように説明したことは、小室さんへの意図的な悪意としか言いようがない。
 元婚約者のコメントには、「眞子さまの文書が公表された際に、私はお金の請求も母親とお会いすることも求めないと代理人を通じてお伝えをしました。私の関わる金銭問題がお2人にとって大きな障害となっていると感じたからです。その後、圭さんの文書の公表や解決金の提案など、予想しなかった事態が進展し、再び交渉をすることになっています」とある。
 ゴゴスマ司会の石井亮次アナウンサーは、「このあたりがこの文書の大きなキモ」とそのまま紹介している。しかし、当時、元婚約者は「お金の請求も、会うことも求めない」としながら、「しかし、解決したとは思わない」と矛盾したことを述べていた。ここまで解決に至らないのは、元婚約者が何を求めているのかはっきりしないことが大きな理由である。番組はこのことにはまったく触れていない。
 交渉が進まないのは、小室家の責任であるかのようなこれまでと同じ放送内容に感じた。
 石井アナは、元婚約者が「母親に直接会い、感謝の言葉を述べてもらいたい」と要求していることについて、次のように述べた。
「そんなに高い望みではないような気がします」「ありがとうって、会って言えばいいじゃないみたいな気がするのですが」「圭のため、ここは1つということで、元婚約者に会って『ありがとう』って言えば終わるのに」
 番組MCとして、問題の複雑さを理解して話しているのだろうかと疑わざるを得ない。短絡的な発言に聞こえた。
 母親も会って済むなら、早く解決したい。だからこそ、7月に一度、面会に応じることを伝えたのである、しかし、会えない、あるいは、会いづらい理由がある。

■26日の入籍日までに金銭トラブルは解決し得ない
 元婚約者は、「ありがとうと一言、言ってもらいたい」としながら、話し合っての解決は1回の面会では終わらないとも述べている。母親が会えないのは、第一に、元婚約者が言う「解決」が何を指すのかわからないためだ。元婚約者が何を求めているのかはっきりしないなかで、会いたいという要望には簡単には応じられないのである。
 第二に、守秘義務がない週刊誌の記者が元婚約者の代理人となっているため、小室さん側の要望がメディアに筒抜けになり、誠実な交渉が行えないためだ。
 元婚約者は、代理人交渉を事実上認めておらず、小室さんの母親に直接会って気持ちを聞きたいという点にこだわっている。しかし、母親は病気であるうえ、元婚約者には恐怖を感じている。会いづらい第三の理由は、メンタル面の不安である。
 番組は、小室さんと眞子さまが結婚する10月26日までに解決するかがポイントのように強調した。CBC特別解説委員の石塚元章氏は「(26日までが)解決の方向に向かうとしたらこのタイミングがベストな期間、唯一の期間」などと解説した。ミスリードな解説としか言いようがない。
 強調しておくが、この問題が10月26日までに解決することはあり得ない。小室さんと眞子さまとの結婚とは関係なく、交渉はこの後も続いていくだろう。
 そうだとすると、小室家批判と切り離した形で、このトラブルを放送する意味はどこにあるのだろうか。午後2時9分から2時54分まで、途中のニュース枠を除くと45分。ほかに追求すべき問題があるとは思わないのだろうか。
「ゴゴスマ」は12日も、午後2時22分から3時3分までニュースの時間を除く34分も放送している。途中、横浜の小室さんの自宅マンション前から中継までしている。いくら何でもやりすぎではないだろうか。
 連日の放送はともに、「独自 元婚約者の代理人に真相を直撃!」というタイトルだったが、代理人の話では、コメントがこの時期に発表されたのは「心境を整理するのに1カ月ほど掛かった」など中身のない内容であった。視聴率のための番組づくりと批判されても仕方がない。

▽森暢平(もり・ようへい) 成城大学文芸学部教授。元毎日新聞記者。著書に『天皇家の財布』(新潮社)、『近代皇室の社会史』(吉川弘文館)、『皇后四代の歴史──昭憲皇太后から美智子皇后まで』(吉川弘文館、共著)、『「地域」から見える天皇制』(吉田書店、共著)などがある。