現下の衆院総選挙では、自民党が単独過半数を割る惧れがある中で、日本維新の会が議席数を2~3倍に伸ばしそうだと報じられています。支持基盤は大阪府などに限定されているとはいえ、自民党の後退と相俟って自民党の補完勢力としての存在が一層明確になりそうです。この衆院選に当たっても、大いに目立つのは維新のメンバーによる野党攻撃、野党共闘攻撃で、自民党でも口に出来ないような「口撃」を自民党の別動隊として積極的に果たしています。
それにしてもそんな維新が何故躍進しそうなのかは理解に苦しむ話です。
LITERAが最近の維新の吉村府知事、松井大阪市長の実にいい加減で酷い言動を紹介しました。
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維新幹部の衆院選での言動が酷い! 吉村知事は“暴言王”足立康史を「懲罰動議は勲章」と絶賛、野党へのデマ攻撃煽動
LITERA 2021.10.21
総裁=総理大臣の顔をすげ替えたにも関わらず、自民党が大幅に議席を減らしそうな衆院選。しかし、問題は、日本維新の会が大幅に議席を伸ばしそうなことだ。きょう、報じられた読売新聞の世論調査でも、議席数が3倍近くとなる勢いだと報じられた。
吉村洋文・大阪府知事らのコロナ対策が評価されたという分析だが、馬鹿も休み休み言え、と言いたくなる。吉村知事や松井市長のコロナ対策なんて、実際は“やってる感演出”のパフォーマンスだけ。大阪では、その行政サービス切り捨て路線のツケが出て、コロナで医療崩壊が起きて、全国で最多の死亡者を出している。
この衆院選の候補者も、ひどい顔ぶれだ。自民党以上のネトウヨやゴリゴリの新自由主義者、さらに、元秘書への暴行で自民党を離党した石崎徹(新潟1区)はじめ、不祥事を起こした前国会議員や元市議が出馬しているケースも少なくない。
しかも、選挙戦で何か具体的に国民の生活を良くするようないいことを言っているのか、と思いきや、維新の幹部たちは野党叩きに終始している。代表である松井一郎・大阪市長が『ひるおび!』(TBS)の野党4幹部出演時に立憲民主党と日本共産党にしつこいウザ絡みを続けたことは、先日、お伝えしたが、解散当日の10月14日夜、『報道ステーション』(テレビ朝日)でも、松井氏は同じような行動に出た。
大越健介キャスターから、自民・公明が過半数割れし維新がキャスティングボードを握った場合、自公と連立を組む選択肢はあるかと問われると、松井氏は「連立を組むことはありません」と一言答えたあと、いきなり立憲、共産の野党共闘について話し始め、「外交・防衛という国の根幹の部分をまったくなおざりにして置き去りにしたまま、野合・談合の選挙互助会ですから」などと延々難癖をつけたのだ。
先日の『ひるおび!』でもそうだったが、松井代表の姿勢をみていると、自分の党の方針を説明するより野党共闘に水を差すことのほうが重要なのか、という気さえしてくる。
松井氏だけではない。吉村洋文・大阪府知事は17日、東京・有楽町の街頭演説で、立憲民主党をこう攻撃した。
「ただ単に反対はダメ。文句ばっかり言ってる政党。どことは言いませんが立憲民主党」
「やらないのに文句ばかり。(感染者が)増えたら知事のせいって……誰とは言わないが枝野さん!めちゃくちゃですよ!」
「ただ単に反対」「文句ばっかり言ってる」と言うが、政権与党に対する批判は野党の重要な役割だ。しかも、立憲も共産党も、実際は対案を常に出している。コロナ対策についても野党は数々の対案を提出、国会開催も要求してきた。しかし、自民党がそれを拒否、維新も国会開催要求すらしていない。
立憲、共産に「文句ばかり言って」と言うなら、維新こそ、政権を担当しているわけでもない野党に文句ばかり言って健全な国会運営を妨害している役立たず政党ではないか。
「足立ファン」「YouTubeで観て溜飲を下げた」という吉村知事のネトウヨ性
吉村知事についていえば、もっと呆れたのが、衆院選に立候補している“維新の暴言王”足立康史・前衆院議員(大阪9区)と一緒になって、野党に対してデマ攻撃まで仕掛けていたことだ。
周知のように、足立氏は維新のなかでもとりわけ極右色が強く、国会議員でありながらSNSで「朝日新聞、死ね」だの「立民は北朝鮮の工作員」だの暴言やデマを連発・拡散してきた。国会でも数々のデマや暴言を吐き6回も懲罰動議にかけられている。
ところが、吉村知事はその足立氏の議員活動報告の冊子「あだち康史通信」で同議員と対談。のっけからその暴言を、こう煽っていた。
「最近の足立さん、妙におとなしく感じるけど大丈夫なの?」
「最近は「国会の暴言王」とか「維新のトランプ」とか聞かなくなったから、隠れ足立ファンとしては嬉しいような寂しいような(笑)」
さらに、足立氏が懲罰動議にかけられたことまで、こう持ち上げていた。
「ある意味で、本音で戦う政治家の勲章みたいなものだよね」
「無責任な野党に一切与することなく、言論の力で正論を訴え続けていた足立さんの姿をテレビやYouTubeで観て、何度溜飲を下げたことか!」
足立氏の度重なる懲罰動議については、当の維新も、足立氏の国会でのデマ発言や暴言を問題視し、しばらく謹慎させ国会質問に立たせないという対応をとっていたはずだが、吉村知事は「勲章」だと認識しているらしい。
あげくに「足立ファン」「YouTubeで観て溜飲を下げた」って。吉村知事は、組織的不正の発覚した愛知県知事リコール問題でも、高須クリニック・高須克弥院長に公然と肩入れていたが、実は根っからのネトウヨなんじゃないか。
しかし、これはあくまで序の口。対談では、吉村知事のヨイショに気を良くしたのか、足立氏がデマだらけの野党ディスを開始。いきなり飛び出したのがこんな発言だった。
「「ひるおび!」で八代英輝弁護士が「共産党は暴力革命を捨てていない」という趣旨の発言をしました。共産党は猛抗議しましたが、同じ内容が私の質疑や閣議決定で明らかになっていたので、撤回する必要がありませんでした」
八代弁護士の共産党に対するデマ攻撃については、発言当時から足立氏、松井市長、音喜多駿・参院議員らが便乗していたが、八代弁護士の発言は完全なデマだ。八代弁護士の発言は、「共産党は暴力的な革命を党の要綱(綱領)として廃止してない」というものだったが、日本共産党の綱領にそのような記述はない。また八代弁護士が1度目の謝罪で言い訳に使い、足立氏らも持ち出している閣議決定も、詳細は既報を読んでいただきたいが、自民党政権の政治的意図に乗っかっただけの、なんの客観的根拠もないデタラメのものだ。
不祥事続出で「議員の資質管理は大丈夫か」と問われた松井一郎代表の驚くべき答えとは…
ところが、吉村知事はこれを諌めることもなく、「足立さんは、共産党だけでなく、社民党についても取り上げてたよね」と今度は社民党攻撃を引き出そうとする。すると足立氏は「社民党は、元連合赤軍メンバーや数十人に及ぶ逮捕者を出した連帯ユニオン関西生コン支部との関係を続けています」と言い出し、吉村知事も「威力業務妨害罪などで執行委員長ら多数の逮捕者を出した事件だね」とツーカーで応じる。
「関西生コン」はネトウヨがよく野党叩きに持ち出すネタで、足立氏の懲罰動議のひとつも、立憲・辻元清美氏と関西生コンに関する完全なデマ発言に対するものだった。
労働組合だから関西生コンと社民党との間に関係があるのは不思議ではないが、吉村知事が言っている2019年に執行委員長らが逮捕された事件と、社民党は関係ない。社民党関係者が逮捕されたり事情聴取されたなどのニュースもない。
だいたいそれを言うなら、維新こそ、付き合いのある組織どころか、議員や関係者がどれだけ不祥事を起こしていると思っているのか。最近の逮捕に限っても、2019年5月に「ウグイス嬢」に報酬を渡したとして公選法違反で現職大阪市議が逮捕。2020年9月に衆院候補予定者で東京1区支部長が少女に下半身を露出したとして公然わいせつで逮捕。2020年12月に江戸川区議がひき逃げ容疑で書類送検。2021年2月に現職大阪府議が傷害容疑で書類送検。また2021年4月には梅村みずほ参院議員の公設第一秘書が知人を車ではね殺害しようとしたとして殺人未遂容疑で逮捕(のちに不起訴)。さらに、愛知県知事に対するリコールをめぐる署名偽造事件で逮捕された田中孝博・事務局長も、維新の愛知5区支部長であり衆院候補予定者だった。これらは最近の逮捕案件に限ったもので、政治資金など金をめぐる不正などは、それこそ枚挙にいとまがない。
共産党は公安が何十年も監視し続けても暴力革命の証拠など何ひとつ上がっていないのに対して、維新は現実に逮捕者まで出ている。ところが、吉村知事はこの対談で自党の不祥事は一切棚に上げて、「そうしたオドロオドロシイ世界は過去に追いやって、公正で透明な新しい未来をつくっていかなきゃね!」などとまとめるのだ。
こうした自党の不祥事棚上げは先の松井代表も同じ。18日におこなわれた日本記者クラブでの党首討論で、不祥事を起こした候補者が多いことについて「議員の資質管理は大丈夫か」と突っ込まれると、松井代表はなんと「他党で問題を起こした方々が維新から立候補している。再チャレンジは認めていこうと考えている」などと開き直っていた。
松井代表が「全国民月額6〜10万円」政策の財源を聞かれ「7割近くが税として返ってくる」と回答
しかも、維新がひどいのは、こんな無理やりな野党叩きに血道をあげながら、自分たちの政策に関する主張は、空疎としか言いようがないことだ。
先の吉村・足立対談でも、ほとんどは足立氏の暴言称賛と野党叩きだけで具体的な政策は見当たらない。他の幹部の主張も同様だ。SDGsブームに便乗してか「持続可能な社会」を掲げているが、中身は聞き飽きた「様々な改革」「身を切る改革」の繰り返し。
さらに怪しいのは、経済対策として打ち出した「全国民月額6〜10万円」という政策だ。松井代表は『news23』(TBS)の党首討論でコメンテーターの星浩氏から「維新がいつも言っている行革とか歳費の削減では到底まかないきれない」として財源について突っ込まれると、なんとこんな答えをしていた。
「これはあの、給付しますけども、その部分は所得に換算されますんで、まずはチャレンジできるように生活を守る、給付しますけれども、そのうちの7割近くはのちに税でまた税収として上がってくる部分ですから、全体の約2割から3割の財源を確保すればいいと思っています」
7割近くが税として返ってくる? なんでそうなるのかまったくわからないし、そうなったとしたら、逆に何のための給付なのか、という話だろう。それこそ給付にかかるコストが無駄になるだけじゃないか。
また、松井代表はこのとき、国債の発行を否定したうえで、こう続けていた。
「まずは役所の仕事を徹底的に改革を見直してきた。それから、役所の仕組みと制度、あまりにも昭和の時代のままのものを変えてきた。この形のなかでね、大阪だけでも、府市合わせて、3000億、預貯金を、基金を積み上げてきた。こういう形を全国で広げていく。まずは昭和の制度を令和に合わせて作り変える。我々はこれをやれば財源確保できると思います」
「役所の仕事を徹底的に見直してきた」って、大阪は維新府政によって、行政サービスを削りに削った結果、コロナで全国ワーストの死者を出したのではないか。それを反省するどころか、「全国で広げていく」って。
松井代表は『報ステ』で、「持続可能な社会」をスローガンに、「社会保障の拡充をしなければならない」とまるで社会保障を拡充するかのように言っていたが、維新が主張している「社会保障制度の抜本的見直し」というのは、結局、公的サービスを削ることなのだ。
維新の議員らは度々、高齢者やALS患者など難病患者について、「命の選別」を肯定する発言をしているが、維新の言う「持続可能」は、一人ひとりの国民の生活を持続可能にすることではなく、維新とお仲間の新自由主義者たちの権益を「持続可能」にすることなのではないか。そして、既得権益者のおこぼれをもらうため、利権を拡大するために、自党の政策をアピールするより、自民党の補完勢力として野党叩きに精を出ているのではないのか。
しかし、恐ろしいのは、冒頭で言ったように、こんな政党が今度の衆院選で議席を3倍増に伸ばすのではないかと予想されていることだ。いったいこの国はどこにいこうとしているのだろうか。 (編集部)