2019年11月15日金曜日

「桜を見る会」中止で私物化問題の幕引きは無理 公職選挙法違反の疑い

 政府は「桜を見る会」に安倍晋三後援会の人たちが大勢参加している件が、公職選挙法違反の問題に発展しないようにと、菅官房長官が13日に「来年度は中止する」と発表し、そのあと行われた首相の会見では「中止は私の判断で行った」と、英断を下したかのような言い方をしたということです。
 政府はそれで「桜を見る会」問題に終止符を打ちたいのでしょうが、同時並行的に私物化に関する数々の証拠が出てきているなかでそんなことは許されません。

 共産党の志位委員長は13日に次のようにツイートしています。
「すでに実行された行動の責任」が問われているのであって、「これからはやりません」といくら言ったところで、「すでに実行された行動の責任」をいささかも免れることはできない。
この自明の立場にきちんと立つかどうか。今日、これからのメディアの報道姿勢が試される。
 まさにそれに尽きています。

 首相の「桜を見る会」私物化の問題は呆れるばかりのものですが、なかでも見逃せないのは、(ホテルニューオータニで行われた)前夜祭の会費が5,000円であったのに対して、実体は11,500円以上は掛かっていると見られることから、その差額(6,500円以上)が公選法で禁止されている「地元の有権者に対する寄附行為にあたる」という点です。
 LITERAが2回にわたって取り上げましたので紹介します。紙面の関係で一部を省略しましたので、原文をご覧になりたい方は記載のURLからアクセスしてください。
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安倍首相「桜を見る会」中止で私物化問題の幕引き図るも新証拠続々!
安倍事務所がツアー案内、萩生田文科相も貸切バスで大量招待
LITERA 2019.11.13
(前 略)「桜を見る会」問題。本日、菅義偉官房長官は午前の定例記者会見で招待者について国会議員からの推薦や働きかけがあったことを認め、さらに夕方の会見では午前の会見で否定していた「総理枠」の存在を一転して認め、首相や副総理、官房長官、官房副長官らにも招待者の推薦依頼をおこなっていたと公表。来年の「桜を見る会」開催を中止すると発表した
 さらにその後、安倍首相は官邸で記者団の前に姿を現すと、こう述べた。
「来年の『桜を見る会』については、すでに官房長官が説明したとおり、私の判断で中止にすることにしました」
 時間にしてたったの十数秒。なぜ中止にすることを決めたかや追及を受けている後援会員らの招待問題についての言及は一切なし。だいたい、自分が問題を引き起こしたというのに、「私の判断で中止を決めた」って、いかにも自分が英断を下したかのようなこの言い草はなんなんだ
(中 略)いま問題になっているのは、政府の「開催要領」では招待者数は1万人が目安とされているにもかかわらず、安倍政権になって参加人数が増加してゆき、今年は約1万8200人にまで膨れ上がっていること、そして安倍首相が数百人規模とみられる地元の有権者である後援会関係者を招待していた、という事実だ。
 しかも、大人数の地元の関係者を招待してもてなしていたのは、安倍首相だけではない。 (中 略)安倍首相の側近中の側近である萩生田光一氏も、バスを借り切って地元関係者を招待していた──。このように、「開催要領」を逸脱する参加者数の増加、それによって予算を3倍以上まで増やしたことは、安倍政権での問題なのである。本日おこなわれた衆院厚労委員会でも会計検査院が「検査していく」と明言したが、「民主党もやっていた」だの開催中止の決定だので幕引きできるような話ではないのだ。
 しかも、ここにきて、安倍首相の公職選挙法や政治資金規制法違反疑惑が濃厚になり、さらには「虚偽答弁」をおこなっていたことまでわかってきた
(中 略)本日の朝日新聞朝刊は、2018年4月に「あべ晋三事務所」が送付していたという「『桜を見る会』あべ事務所ツアースケジュール」という資料の存在を報道。「桜を見る会」に参加を希望する後援会関係者に対してツアープランを案内したもので、Aコースは葛飾柴又散策で6万9000円、Bコースは目黒雅叙園の有形文化財・百段階段で7万4000円、Cコースは野球殿堂博物館見学、Dコースは屋形船乗船となっており、いずれも一泊二日で1日目には観光と「安倍晋三後援会夕食会」、翌朝の「桜を見る会」(首相夫妻と写真撮影付き)がセットされている

安倍首相の虚偽答弁、「安倍晋三後援会 桜を見る会前夜祭」にさらなる追及を!
 つまり、これらの「物証」によってはっきりしたのは、安倍首相の事務所が地元有権者である後援会関係者に「桜を見る会」の参加を募り、ツアープランまで用意して、参加者をとりまとめて招待者として案内を送るよう内閣府に伝達していた、ということだ。
 だが、安倍首相は8日の参院予算委員会で追及を受けた際、こう答弁した。
「『桜を見る会』についてはですね、各界において功績・功労のあった方々をですね、各省庁からの意見等を踏まえ、幅広く招待をしております。招待者については、内閣官房および内閣府において最終的にとりまとめをしているものと承知をしております。私は主催者としての挨拶や招待者の接遇はおこなうのでありますが、招待者のとりまとめ等には関与していないわけであります」
 実態は「功績・功労のあった方々」ではなく自分の地元支援者である有権者を「幅広く招待」していたことは明々白々だが、その招待者のとりまとめは安倍事務所がおこなっていたのである。にもかかわらず、安倍首相は「招待者のとりまとめには関与していない」と断言し、シラを切っていたのだ。

 案の定、安倍首相は国会で嘘をついていたわけだが、さらに今後の追及が必要なのは、「前夜祭」問題だ。
 昨日の記事でもふれたが、「桜を見る会」の前日の夜には安倍首相夫妻が参加する「安倍晋三後援会 桜を見る会前夜祭」なる催しが都内の高級ホテルであるANAインターコンチネンタルホテル東京ホテルニューオータニで開催されているのだが、今年はこの会に地元の「桜を見る会」ツアー参加者を含む約850人もの人数が参加したといわれている。だが、この会費はツアー料金には含まれておらず、朝日新聞が報じた2018年の「『桜を見る会』について(ご連絡)」という資料でも、〈会費 5000円(18歳以上お一人様)※当日、受付でお支払下さい〉と記述されている。
 しかし、参加者の会費5000円だけでこの盛大な「前夜祭」が実施できたのか、甚だ疑問だ。

銀座久兵衛の寿司も出たのに会費5000円は安すぎ!? 公選法違反の寄付に当たる可能性も
 実際、ホテルニューオータニHPにある「パーティープラン」を見ても、いちばん安い「立食プラン」でも1名につき1万1000円からの料金となっている。しかも、昨日おこなわれた野党4党による合同ヒアリングでは、オバマ大統領来日の際に訪れた高級店「銀座久兵衛」の寿司までふるまわれていたことが指摘された。ちなみに「銀座久兵衛」のHPによると、ケータリング顧客の下に出向き、その場で調理盛り付けをするの場合、料理代は1名につき1万5000円。200人分を用意したとしてもこれだけで300万円もかかる。ニューオータニには久兵衛の支店が入っているため、このケータリングのサービスを利用したかは不明だが、上記ニューオータニの「立食プラン」には久兵衛の寿司は含まれていない。

 このように、「前夜祭」はとてもじゃないが5000円の会費だけで賄われたとは思えないのだが、もし参加費で賄えていなければこれは公選法違反ということになる。たとえば、きょう放送の『ひるおび!』(TBS)では、政治資金にくわしい岩井奉信・日本大学法学部教授が「5000円(の会費)でニューオータニは無理だろう。私のゼミの催しで利用したときも最低で1万円だった。久兵衛のお寿司なんかが出れば、当然もっと高い」とした上で、こう指摘していた。
「(会費では)足りない部分を安倍事務所なり何なりが補填をしたとなってくると、これは昔、小渕優子(元経産相)さんの問題が出たように、当然、(公選法で禁止されている)地元の有権者に対する寄附行為にあたると。これは大問題にあたるわけですよね」
「差額はどうなっているのかというのが、いちばん問題になりますよね」
 しかも、安倍首相が代表の政党支部や関係する政治団体の収支報告書には、この「前夜祭」にかんする収支の記載がない。政治資金規正法では「対価を徴収して行われる催物」は政治資金パーティーと規定されており、その収入や経費などは収支報告書に記載しなければならず、政治資金規正法違反の疑いがあるのだ。

安倍首相は「桜を見る会」大量招待問題を国会で追及された夜も、公邸に支援者を招き入れ…
 いくら安倍官邸が幕引きをしようとしても、これら安倍首相に持ち上がっている違法疑惑について自ら国会の場で説明しなくては、納税者である国民は納得のしようがないだろう。
 だが、この税金で自分の支持者に接待をおこなっていたという大問題に対し、安倍首相は事の重大さ、いや、そもそも自分がやってきたことが「国民に対する背信行為」なのだということを、まったく理解できていないのではないか。(中 略)
 ようするに、いま一体、何が問題になっているのか、安倍首相はわかっていないのではないか。いや、森友・加計問題と同じで、「自分を支持してくれる人を大事にするのは当然だ」「税金をどう使おうが総理大臣である俺の勝手だ」とさえ考えているのではないか。そうとしか思えないのだ。
 はっきり言って、安倍首相によるこの国民を舐めきった態度が改まることはけっしてないだろう。ならば辞めてもらう。それしか答えはない。 (編集部)


安倍首相「桜を見る会前夜祭」会費5000円では無理 ! ?
ホテルは「最低1万1千円」+「銀座久兵衛の寿司4貫2000円」
LITERA 2019.11.14
「臭いものには蓋をしろ」とはまさにこのことだ。昨日夕、菅義偉官房長官は来年の「桜を見る会」の開催中止を発表し、安倍首相もテレビカメラの前で「私の判断で中止にすることにしました」と述べ、公金を使った私物化問題の追及を封じ込めにかかった。
(中 略)菅官房長官は昨日午前の記者会見では「桜を見る会」招待者の「総理枠」の存在を否定していたのに、夕方に一転してその存在を認めたのだ。ようするに、虚偽の説明を平気な顔をして堂々おこなっていたのである。とんだ国民に対する背信行為ではないか。
 そもそも、だ。来年の開催を中止にしたところで、安倍首相に持ち上がっている重大な疑惑は何ひとつ晴れていない。むしろ、どんどん疑惑は膨れ上がっている。しかもそれは菅原一秀経産相と河井克行法相が辞任したのと同じ、公職選挙法違反疑惑

 本サイトでは繰り返しお伝えしているが、「桜を見る会」の問題とともに焦点となっているのは、「桜を見る会」の前日夜に開催されている、安倍首相夫妻が参加する「安倍晋三後援会 桜を見る会前夜祭」なる催しだ。今年はホテルニューオータニの「鶴の間」で開催され、安倍首相の地元から後援会関係者や支持者らが約850人も参加したといわれている。
 しかし、ここで浮上したのが、この「前夜祭」の費用がどこから出ているのかという問題だ。(中 略)
 そこで、5000円の会費で立食パーティーを開催することが可能なのか、その点についてホテルニューオータニに問い合わせてみた

ニューオータニ に問い合わせると…「1人5000円のパーティプランはない」
 まず、会場費と料理代を含めて「もっとも安くていくらからか」と尋ねると、「1万1000円のプラン」と回答。「5000円でお願いできると聞いたのですが」と訊いてみると、こんな答えが返ってきた。
「そのようなプランはございません」
 ホテルニューオータニは国内を代表する高級ホテルのひとつであって、5000円のプランがないというのは当たり前の話だろう。しかも「前夜祭」では、オバマ大統領来日の際に訪れた高級店「銀座久兵衛」の寿司までふるまわれていたと指摘されている。つまり、最低でも1万1000円+久兵衛の寿司オプションの代金がかかるはずなのだ。
(中 略) そこでホテルニューオータニに、仮に「鶴の間」を600人で借りて、料理が余るかもしれないので300人分でお願いするということは可能かどうか尋ねると、「時々の状況によってお話し合いのなかでないわけではない」ものの、「それを前提でお受けすることはありません」ということだった。この「時々の状況」というのは、宴会場に空きがあるときに直前予約が入るような場合だという。つまり、通常の契約では、田崎氏の言うような「人数の半分くらいしか食事を出さない」というのはありえないのだ。

銀座久兵衛の寿司をオプションでつけると1万1000円+4貫2000円!
(中 略)では、1万1000円の立食プランで久兵衛の寿司をオプションでつけると一体いくらかかるのか。やはりニューオータニに問い合わせると、その答えはこうだった。
「4貫2000円です」
 さすがは高級店だが、4貫2000円ということは、単純に850人の半分にあたる425人が2貫食べたとしても42万5000円が追加され、1人当たりの予算は1万1500円ということになる。
(中 略)その上、今年の「前夜祭」ではシャンソン歌手を招いてステージまで披露しているのだ。そこにギャランティ(出演料)が発生している可能性も考えられるだろう。

 前述したように、この差額を「桜を見る会」ツアーを取り仕切っていた安倍晋三事務所や安倍晋三後援会、あるいは安倍首相自身が私費から出していたとしたら、それは2014年に小渕優子経産相が辞任に追い込まれた「観劇ツアー」問題と同じで、差額分は有権者に対する利益供与となり、公職選挙法違反の疑いが出てくる。
 そして、この「前夜祭」問題を追及されることを、いま安倍首相はもっとも警戒しているのだろう。実際、8日の参院予算委員会で共産党の田村智子議員が「『桜を見る会前夜祭』と翌日の『桜を見る会』がセットになって、山口県のみなさんと親しく懇親をする。そういう場になっているんじゃないですか」と質問すると、安倍首相は「懇親会(前夜祭)に私が出席をして写真等を撮っているのは事実」とした上で、こう答弁した。
「もちろん、それは、各個人がですね、それぞれの費用によって、この、上京し、そして、この、ホテルとの関係においても、それはホテルに直接払い込みをしているというふうに承知をしているところでございます」

安倍首相の「前夜祭会費は各個人がホテルに払った」という答弁の信ぴょう性
 なぜ、安倍首相は訊かれてもいないのに、「個人がホテルに直接払い込んだ」とあえて強調したのか。それはたぶん、政治資金規正法では「対価を徴収して行われる催物」は政治資金パーティーと規定されており、その収入や経費などは収支報告書に記載しなければならないのに、安倍首相が代表の政党支部や関係する政治団体の収支報告書には、この「前夜祭」にかんする収支の記載がないからだ。つまり、安倍首相は「参加者はホテルに直接払い込んでいるから報告義務はない」と主張したのではないか。
 だが、「安倍晋三後援会」と銘打たれたパーティなのに、参加者が個人でホテルに払い込むなどということは現実的に考えにくい。普通、こうしたパーティは主催者側が受付をおこない会費を徴収してとりまとめ、その後、ホテル側に支払うものだ。そうでなければ、ドタキャンが出てきたときにホテル側が損をしてしまう。
 実際、この点もホテルニューオータニに問い合わせてみたところ、「ケースバイケース」だが、やはり主催者側が受付で現金を受け取り、それを幹事がとりまとめて支払うのが「通常」だということだった。
 まあ、普通に考えて当たり前の話だろう。そもそも前述したとおり、最低でも1人当たり1万1000円以上かかっており、「各個人」の会費5000円だけで賄ったとは考えにくいのだ。ともかく、政治団体である「安倍晋三後援会」がこの「前夜祭」を主催していた場合、政治資金規制法違反の疑いまで出てくるのである。
(中 略)安倍首相は菅原・河井両大臣が辞任したことについて、「政治資金規正法や公職選挙法などに関わる疑問が呈されたが、内閣の一員であろうとなかろうと、与党であろうと野党の議員であろうと、説明を果たしていかなければならない」(8日参院予算委)と答弁している。そうであるならば、「桜を見る会」をめぐって公選法違反疑惑の「前夜祭」の差額問題と政治資金規正法違反疑惑が濃厚になったいま、安倍首相にはしっかり「説明を果たして」いただこうではないか。 (編集部)